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これは戦後、お好み焼を広島のソウルフードに育て上げた“みっちゃん”こと井畝満夫さんの物語である。
父がはじめた屋台を引き継ぎ、店の名を「みっちゃん」に変えたみっちゃん。いよいよここから快進撃スタート!・・・と行きたいところですが、早くもトラブル発生です。
父)「おう、みつお、今度お好みにカマボコ入れてみいや」
父)「こんなうっすいソースじゃ客は喜ばんで。明日までに直しとけ」
父)「そこのチリ紙とってくれ。それからの、あと腰もんでくれ」
みっちゃん)「ああああ、わしもうやっとれんわ!」
父)「あ?おまえ父親にそんな態度とってええと思っとんか。 カーッ!」
親子だけに短気でケンカっ早い性格はウリ二つ。みっちゃんは父の井三男(いさお)さんに勘当され、広島を飛び出してしまったのです。
仕方なく店を回すことになったのはお姉さんと妹。しかし若い女性2人の店は、大変でした。
当時「みっちゃん」があったのは、今はアリスガーデンと呼ばれる西新天地広場。ここは50軒ほどが軒を連ねる巨大な屋台村を形成していました。
決して治安がいいわけではありません。流川も近く、ヤクザもやってきます。ケンカも日常茶飯事です。
姉)「お父さん、やっぱり私らだけじゃお店やっていけんよ。男の人がおらんと」
父)「・・・ミツオは、どこにおるんや」
妹)「お兄ちゃん、名古屋でバーテンやりよるよ。すっごいきれいなカクテル作るって評判らしいよ」
父)「はよ黒電話持ってこい! カーッ!」
再び広島に帰ってきたみっちゃん。
友人A)「お、みっちゃんおかえり」
友人B)「みっちゃん、今度呑みにいこうやぁ」
友人C)「みっちゃん、わし新しいバイク買うたんで」
街中が遊び場だったみっちゃんにとって、まわりは顔なじみばかり。
みっちゃんが帰ってきてからイザコザが一気になくなったのだから、持つべきものは頼れる元・遊び人のお兄ちゃんです。
みっちゃん、今度こそ頼みますよ!
■作・演出 清水浩司
■朗読 二階堂 和美


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