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山林火災の背景に瀬戸内海沿岸の「真砂土」土壌 森林大きく育たず地面に太陽エネルギー 枯れ葉の乾燥で火災リスク高まる 専門家が指摘

今、岡山市と愛媛県今治市で大規模な山林火災が起きています。冬から春にかけて山林火災が起きやすい気象条件になることに加えて、延焼が拡大した要因として、広島など瀬戸内海の沿岸に特徴的な土壌も指摘されています。

愛媛県今治市の山林火災は、発生から4日目を迎えますが、依然として延焼が続いていて、焼損面積は400ヘクタールを超えました。

飛び火による建物の火災も相次ぎ、住宅と倉庫あわせて9棟が全焼。避難指示の対象はおよそ4000世帯、7500人に増えました。現場ではヘリによる上空からの放水が続けられているほか、広島県と香川県の消防も加わって消火活動が行われています。

岡山県南部の山林火災も、延焼が続いていて鎮圧の目途は立っていません。焼損面積は500ヘクタールを超えていて、岡山県では過去最大規模の被害になる見通しです。昨夜から、岡山市南区と玉野市の一部の地域およそ1100世帯に避難指示が出ています。

広島県によると、過去5年間の県内の山林火災件数は、2月~5月の期間に増えています。出火原因は「たき火」が55%、「火入れ(枯れ草などの野焼き)」が10%などとなっています。

広島県は、山林火災が多い県です。過去35年間のうち29年間は、都道府県別でワースト5位になっています。島しょ部で山が多く、海からの風であおられやすいことが背景にあります。

そして、冬と春は火事の発生しやすい気象条件となります。冬は「西高東低」の気圧配置になり、日本海の湿った空気を含んだ北風が中国山地に吹き付けて、雪を降らせます。一方、南部では、乾いた空気となり、雨が少なく、乾燥します。

春は、周期的に雨が降るものの、風が強まります。

今回の山林火災の背景にはこうした気象条件があるんですが、さらに瀬戸内海の沿岸の山林で特徴的な「真砂土」の土壌も関係していると、専門家は指摘しています。

森林総合研究所 玉井幸治 研究ディレクター
「(瀬戸内海沿岸では)風化花こう岩に由来する真砂土で、土壌が形成されている場所が多い」

森林総合研究所の玉井幸治研究ディレクターによりますと、瀬戸内海の沿岸に多い真砂土の土壌では、水や栄養をためにくいため森林が大きく育ちにくいといいます。

森林総合研究所 玉井幸治 研究ディレクター
「十分に大きく成長しない森林だと、樹木についている葉の量が少ないので、太陽エネルギーが葉で遮断されずに、多くの太陽エネルギーが地面に届いて、地面の落ち葉が乾燥しやすい傾向があるため、林野火災の発生リスクが高い」

岡山・愛媛を含めた瀬戸内海沿岸は、風化花こう岩由来の「真砂土」の土壌で構成されています。このため、木々が大きく育ちません。そして、葉が十分に繁らないと、太陽のエネルギーが地面に届いて、枯れ葉が乾燥しやすく、火災が発生しやすくなります。

落ち葉が乾燥して燃えやすい状態になる年間の日数は、全国平均が10数日、風化花こう岩=つまり真砂土の地帯では約100日と大きく異なっています。

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