「ウサギの島」として知られる広島県竹原市の大久野島で、ウサギが暴行された事件。逮捕された男は、「いじめた時にどんな反応をするか気になった」と話しています。ウサギを蹴る男を目撃し、取り押さえたのはウサギと大久野島を愛する写真家でした。
竹原市の沖合にある大久野島。500匹から600匹のウサギが生息していると言われ、「ウサギの島」として、観光客に人気を集めています。その大久野島で21日、男に蹴られたウサギがその後死にました。
観光客
「正直ショックでしたね、そういう人間がいるってことが。その人の都合で暴行するというのが絶対許されないし、これからもあってはならないことだと感じます」
観光客
「毎月くらい大久野島に来ているが、なぜそんなことするのか全くわからない」
愛護動物に指定されているウサギを蹴る暴行を加えたとして、動物愛護法違反の疑いで23日に送検された、滋賀県大津市の会社員・堀田陸容疑者(25)は、警察の調べに対し、容疑を認めているということです。
警察によりますと、堀田容疑者は、去年秋から数回島を訪れた際も、ウサギを蹴ったという趣旨の供述をしているといいます。
環境省によりますと、大久野島では去年11月ごろから、短期間にまとまった数のウサギが死んでいるケースが3回確認されていて、あわせて77匹が死んでいます。ウサギの死因は現在のところ特定されていませんが、死んだウサギのなかには骨折している個体も複数あったということです。
警察は、ウサギの去年秋からの大量死に堀田容疑者が関与している可能性があるとみて、事件をくわしく調べています。
この事件で、堀田容疑者がウサギを蹴る様子を目撃し、取り押さえて通報したのが、大久野島のウサギをおよそ25年間追い続けている、写真家の中村隆之さんと麿矢さんです。
事件は日も落ちかけていたおとといの午後5時半ごろのことでした。
中村隆之さん
「うさぎが蹴られた場所から、15m~20mくらい離れたところから見ていたので、走って少し離れた場所で犯人を捕まえました。逃げられないように手を握って、その際はあまり抵抗せずにおとなしく観念した様子でした。あそこにシミがあると思うんですけど、そのあたりでウサギが亡くなっていまして…」
中村さん夫婦は警察が来るまでの間、堀田容疑者から話を聞いたといいます。
中村麿矢さん
「しどろもどろながらも『僕が全部やりました』みたいな話をしていました」
中村隆之さん
「こちらからの名前とか『どこから来たの?』とかいう問いかけにはわりと淡々と答えて、そこまで取り乱した様子ではなかったんですけれど。動機とかを聞くと『ウサギが可愛くてやりました』『守りたくなってやりました』とか支離滅裂なことを話していて、私たちでは理解できないようなことを喋っていました」
警察によりますと堀田容疑者は動機について「ウサギが可愛いと思う反面、いじめたときにどんな反応をするかが気になった」と話しているといいます。
ウサギを追い続けている中村さん夫婦にとって、今回の事件は容疑者への怒りよりも悔しさがあるといいます。
中村隆之さん
「島に25年通っていて、ある意味我が子のように見守っているうさぎさんが次々と亡くなっていって、本当にずっとこの1,2ヶ月はもう色んな思いが巡って、純粋に島に来て写真を撮って楽しめるという心境ではなかったです」
中村麿矢さん
「やっぱり人だったんだと思いました。一番やってはいけないこと、同じ人間として“ウサギさんに申し訳ない”という気持ちも芽生えています。人を信じているからこその今回の事件だったのかなって思ってますね。信じ切ってるからウサギがこの島でゴロゴロできているので」
中村さん夫妻は今回の事件で、ウサギと人間との距離を少し見直す必要があると感じていました。
中村麿矢さん
「(大久野島での)ウサギさんとの距離感が、今ちょっと近すぎると感じます。少しだけ離れる距離感というのが取れると事故も減るし、今回みたいなことも、もしかしたら防げたのかなという気がします」
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