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「揺れ始めて数十秒で倒壊も…」古い木造住宅が抱える地震リスク ”住宅耐震”と”地盤”を専門家が解説 耐震不足の木造住宅はまだ15万戸超え 広島

深掘りニュースDIGです。阪神・淡路大震災の発生からきょうで30年です。「直下型地震」で都市部で甚大な被害が出た震災の教訓をふり返り、広島のリスクについて考えます。

阪神・淡路大震災から30年…。地震発生時間の午前5時46分に広島からも祈りが捧げられました。

午前5時46分 黙祷ー。

明石市で被災(夫)
「たくさんの人が亡くなっているので『忘れてないよ』『神戸に届いてね』という気持ちで祈った。何より忘れないのは『におい』。街が焼けたのは何とも言えないにおいだった。あれは忘れたくても忘れられない」

神戸市で被災(妻)
「思い出すと辛いが神戸の街はすっかりきれいになった。あのときの記憶を留めてこれからの各地の復興に生かしてほしい」

30年前のきょう、淡路島北部を震源にマグニチュード7.3の地震が発生。神戸市などで最大震度7を観測し、東北から九州の広範囲が揺れに襲われました。

住宅被害は63万棟以上で、このうち10万棟あまりが全壊。鉄道や高速道路なども甚大な被害を受け、災害関連死含め6434人が犠牲になりました。

大地震を引き起こした原因。それは都市の真下を走る「活断層」でした。活断層は過去に大地震がくり返し起こっている痕跡で、全国に2,000あるとされ、広島の周辺にも分布しています。

阪神・淡路大震災の教訓「古い木造住宅」の耐震

「建築防災学」が専門の広島大学・三浦弘之教授は、30年前の震災の教訓を次のように話します。

広島大学 大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「阪神・淡路大震災で明らかになったのは1981年を境に、それ以前の以降では耐震性が非常に異なる。つまり古い建物は非常に壊れやすく被害が大きくなりやすいのに対して、新しい建物は被害が小さかったということが明らかになった初めての地震」

当時、神戸市などでは1981年より前の「古い耐震基準」で建てられた木造住宅が密集。地震の激しい揺れによって次々に倒壊しました。こうした被害を受けて、耐震基準は厳しく見直され、改正されています。

こちらは古い木造住宅の耐震実験です。片方は耐震補強をしていて、もう片方はしていません。(映像提供:防災科学技術研究所 Eーディフェンス)

広島大学 大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「地震で揺れ始めてから数十秒くらいで壊れる。この動画通り。変形が進んで自分で支えられなくなったらすぐ倒壊する。逃げる余裕はない。できるとすれば倒れてくる家具から身を守るくらいしかできないと思う」

広島県の住宅の耐震化率は2020年度時点で「84.5%」。全国平均をやや下回っています。

県内の住宅18万9000戸で耐震性が不足し、このうち15万6000戸が木造と推計されています。しかし新たに耐震補強する住宅は毎年50件程度で、耐震化率の更なる向上は険しい道となっています。

広島大学 大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「住宅などは個人資産なので、国が強制的に何かをするのは難しい。安全性をまず考えて、必要であれば耐震診断や耐震補強を検討してもらう。意識の流れにつながっていけばいい」

能登半島地震被災地と「揺れやすさ」比較 広島の地盤リスク

三浦教授は広島の地盤リスクについても指摘します。

広島大学 大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「瀬戸内海の沿岸部は川の流れによって柔らかい地盤が堆積。こういうところでは揺れが大きくなりやすい地域になる」

三浦教授は「活断層型」で24年1月に発生した能登半島地震の被災地と広島の地盤の特徴をデータ化。それぞれの揺れ方をグラフにまとめて分析しています。

広島大学 大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「似たような特徴を持っている。もし大きな地震が広島市近郊で起きた場合は輪島市や穴水町のような被害が発生する可能性があると表している」

いつ起こるかわからない地震災害…。自分たちが暮らす土地や建物のリスクを事前に知り、行動することの重要性について、過去の災害が警鐘を鳴らしています。

広島県住宅耐震化率=84.5% 旧耐震基準と新耐震基準の違い

梅川千輝記者(気象予報士)
きょうで阪神・淡路大震災から30年。30年前私は3才だったので、この震災をリアルタイムでは知らない世代になります。

こちらが阪神・淡路大震災で住宅の倒壊や火災が広まった要因の1つが「古い住宅」の密集でした。こちらは同じように活断層が要因となった熊本地震(16年)の木造住宅の被害をまとめたものです。

建築された年代によって住宅が倒壊した割合に大きく差があります。

この理由が耐震基準の見直しです。1981年を境に基準が厳しくなっています。広島県の住宅の耐震化率は2020年度現在で「84.5%」と推計されています。

自分の家がいつ建てられたのかきちんと把握して、不安がある場合は県の建築課に耐震診断や補強などについて相談をしてください。

現在の技術でも地震がいつ起こるのかはわかりません。特に住宅などのハード整備には時間もお金もかかるので、平穏なときにそれぞれの家庭で備えについて考えておくことが重要だと改めて感じました。

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