「騙されるわけないと思ったが、当事者になったら…」。そう語るのは、特殊詐欺の被害に遭う直前だった80歳の男性です。RCCの取材に応じ、当時の状況を話しました。
きっかけは11月、広島市に住む男性(80)の携帯にかかってきた一本の電話でした。
「(男性に)未払いの請求がある。その会社では回収できないので、私どもが代理でやることになりました」
優しい口調の男性の声だったといいます。未払いの請求をされる覚えはありませんでしたが、続けて出た言葉は…。
「もしお支払いにならないようなら、横浜の裁判所で訴訟を起こしますから。そちらまで出向いて、対応してもらうようになります」
当時の状況を語る男性
不審に思いながらも「訴訟」や「裁判所」という言葉に、男性は動揺したといいます。
「自分では、騙されるわけはないと思う。ただ、当事者になったらなかなかそうはいかなかった。そこに人間の弱さみたいなのがあるのか…」
男性は、当時をこうふり返りました。
どうするか困っていたところ「電子マネーカード30万円分を支払えば解決する」と告げられました。
指示された通りに、家族にも伝えず電話も繋いだまま、家電量販店に買いに行きました。
当時の状況を語る男性
「焦っている様子だった」。そうふり返りるのは、店頭で対応したヤマダデンキ テックランド広島八木店の高倉三千代さんです。
男性は高倉さんに「この商品を売ってほしい」と伝えました。しかし、高倉さんは、高齢者が高額な電子マネーカードの購入を希望していることを不審に思ったといいます。
また、高倉さんは男性が発した「電子マネーカードっていうのを買いたい」という言葉の「っていうのを」が気にかかりました。
高倉三千代さん
「『っていうのを』ということは、何かわかっていないのだろうなと感じた。男性に話を聴くと、『高額で買いたい』と言われたから『ん?』と思った」
店長の杉原大志さんと連携して対応し、男性には「売ることはできません」と伝えたといいます。
詐欺を未然に防いだ杉原さん(前列左から2人目)と高倉さん(同3人目)
男性は電話で、詳しい用途などを他人に言わないよう伝えられていましたが、高倉さんたちに事情を話しました。
すると「詐欺ですよ」と伝えられ、すぐに警察に連絡することになったといいます。警察官が駆けつけ、つなぎっぱなしの電話に代わったところ、すぐに通話は切られたということです。
詐欺の被害を免れた男性は、「やっぱり今回のような話を聞いたら、他の人にまず相談しないといけない。自分で判断してはいけない。思い込みがあるから」と話します。
この詐欺被害を未然に防いだのは、店長の杉原大志さんと高倉三千代さんに、安佐南警察署は16日、感謝状を贈りました。
ヤマダデンキ テックランド広島八木店 高倉三千代さん
「高額な購入の際はお断りするか、すぐに管理職に相談することを徹底していた」
ヤマダデンキ テックランド広島八木店 杉原大志店長
「30万円という大きい金額を、詐欺に加担することなく、防ぐことができたのは本当に良かった」
門田圭吾署長は「お客様に対して『お断りする』や『詐欺を疑う』ということは、お店としては言いづらいことと思う。声をかけ、怪しいと思ってすぐ警察に通報したことで被害を未然に防ぐことができました」と話しました。
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