「坂の上の雲」の主人公は、愛媛県松山市で生まれ育った、歴史に名を残す3人の男たち。松山では今まさに、本作にまつわる各スポットの注目度も上昇中なのだとか。
ここに行くと、「坂の上の雲」の世界がもっと楽しめる!?見どころ満載の所縁ある施設を紹介します
松山市の中心となるアーケード街・大街道。そこから徒歩約5分、繁華街からすぐの松山城の麓にあるのが「坂の上の雲ミュージアム」です。
その名の通り、このミュージアムには小説『坂の上の雲』の世界観を楽しむための展示が盛りだくさんとなっています。
小説の舞台は明治維新後から。日本は激動の時代に近代国家への礎を築き、幾多の困難を乗り越えながらも日露戦争での勝利を掴み取りました。
そんな時代の中で日本陸軍における重要人物であった秋山好古と、彼の弟であり日本海軍の重要人物でもあった秋山真之、そして真之の昔馴染みであり、近代文学に大きな足跡を残した正岡子規。
作品では、この3人の物語が描かれています。
展示のメインは、主人公3人の資料と彼らが生きた明治時代の社会的背景に関わる資料です。
彼らがどんな時代に生まれ育ち、何を以てそれぞれの道を志したか?数々の資料をもとに、物語の世界へ思いを馳せることができますね。
展示内容は明治という時代に関するものが多数ですが、正岡子規に関する資料の中には、同時代に愛媛・松山へ滞在していた小説「坊っちゃん」の作者・夏目漱石との交流を示すものも。
文学好きの方はぜひチェックしておきたいですね。
明治時代の愛媛・松山の歴史。そして正岡子規という人物によって繋がる文学の世界。
それもまた、当時の歴史・社会背景を知る醍醐味のひとつかもしれません。
小説の内容にまつわる資料のみならず、司馬遼太郎と小説『坂の上の雲』に関する展示や、ドラマ版「坂の上の雲」の出演者たちの作品も公開されています。
小説の文章やあとがきの抜粋、ドラマ出演者のサインやコメント、そして本館を訪問した際に撮影されたお写真などなど…。
館内では常設展と、年に1度内容が一新される企画展を随時開催中。
『坂の上の雲』の小説が好きな人も、ドラマしか見てないという人も、あるいは小説家・司馬遼太郎が好き!という人も楽しめるミュージアムとなっています。
展示以外にも見どころのある点が坂の上の雲ミュージアムの人気の秘密。
それはやはり、モダンでスタイリッシュなミュージアムの建物そのものです!
実はこの坂の上の雲ミュージアムの建物を手がけたのは、世界的にも有名な建築家・安藤忠雄さん。芸術としての美しさを持つ建築物を数多く手がけた日本を代表する建築家のひとりで、打ちっぱなしのコンクリートが大きな特徴です。
ミュージアムに訪れる人の中には、この建物に興味や魅力を感じて足を運ぶ人もいるとのこと。施設内観の一番の見どころは、2Fから4Fのフロアを柱なしで一直線に繋ぐ空中階段!写真映えも抜群のスポットゆえに、ここで撮影した写真をSNSにアップする人も多いようです。
また建物の構造は、三角形がひとつの大きなテーマになっています。館内展示スペースの導線が三角形を描いていたり、建物自体も三角錐をひっくり返したようなユニークな形状になっていたり。雨の日でも窓が濡れにくく、建物内から松山城麓の緑あふれる景色を鮮明に眺められる点も隠れた注目ポイントなのだとか。
またミュージアム入り口やショップ・カフェなどがある2Fフロアには、無料で利用できるライブラリー・ラウンジも併設されています。展示見学のみならず、このスペースでドリンクを飲みつつ小休憩もOK!コワーキングスペースや、勉強スペースとして利用する地元の学生さんなどもいるようです。
さらに安藤忠雄さんが全国各地に建設し、寄附している図書施設「こども本の森」が来年2025年7月に「坂の上の雲ミュージアム」の2階に、「こども本の森 松山」として増築される予定!オープンが待ち遠しいですね!
坂の上の雲ミュージアム以外にも、松山市には小説『坂の上の雲』にまつわるスポットが多数存在します。
ミュージアムの目と鼻の先にある「萬翠荘」も、ぜひ訪れたい施設のひとつです。
旧松山藩主の子孫にあたる陸軍軍人・華族の久松定謨伯爵の別邸として建てられた、この萬翠荘。
彼に付き従い渡仏した秋山好古が現地で騎兵戦術を学び、のちに“日本騎兵の父”と呼ばれるようになったのは、『坂の上の雲』の物語を読んだ人であればよく知る話でしょう。
国の重要文化財にも指定されており、これまで様々な映画のロケ地にもなってきたこの萬翠荘。大正時代当時の建造物が、そのまま現代まで残っている非常に貴重な建築となっています。
当時の最先端であったフランス式の意匠が随所に施された美しい室内。建物自体が大正ロマンを感じさせる美術品であるとも言えるでしょう。入場料を払えば見学自由。また時には館内で結婚式の前撮りや七五三の撮影会、展示会・コンサートなどが開かれることも。
敷地内に併設された夏目漱石の下宿先に因む「漱石珈琲店 愛松亭」とあわせて、ぜひゆったりとノスタルジックなひと時を過ごしてみては。
運が良ければ施設の看板猫・坊ちゃんにも会えるかもしれませんよ。
このほかにも、松山城に登るロープウェーすぐ近くの「秋山兄弟生誕地」や、道後にある「松山市立子規記念博物館」など。
坂の上の雲ミュージアムを主として、『坂の上の雲』の小説&ドラマにまつわる見どころ満載のスポットが松山市中心街にはたくさん。
街自体が非常にコンパクトな造りのため、短い旅程でもこれらの施設を一気見できる点は松山旅行の大きな魅力でもありますね。ちょうどこれから冬にかけて、愛媛名物のみかん&温泉も楽しめるシーズン。
「坂の上の雲」を巡る旅を、ここ愛媛松山で計画してみては?
■坂の上の雲ミュージアム
住所 / 愛媛県松山市一番町3丁目20
最寄り駅 / 伊予鉄道市内電車 大街道駅
営業時間 / 9:00~18:30(入館は18:00まで)
定休日 / 毎週月曜日(休日の場合は開館、その他臨時開館あり)
電話 / 089-915-2600
料金 / 一般400円、高齢者(65歳以上)200円、高校生200円、中学生以下無料
※2025年4月より料金改定予定
公式サイト / https://www.sakanouenokumomuseum.jp/
■萬翠荘
住所 / 愛媛県松山市一番町3丁目3−7
最寄り駅 / 伊予鉄道市内電車 大街道駅
営業時間 / 9:00~18:00(イベントにより時間変更がある場合があります)
定休日 / HPの開館カレンダーをご確認ください。
電話 / 089-921-3711
料金 / 大人300円、小人100円、未就学児無料
(展示会・コンサートへの入場は別途必要な場合があります)
公式サイト / http://www.bansuisou.org/
駐車場 / 20台
瀬戸内Finderフォトライター 曽我美なつめ
▼記事提供元
「瀬戸内Finder(ファインダー)」は、瀬戸内を共有する7県(兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県)の魅力を世界に発信しています。
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