台風10号は、26日朝には日本の南の海上にあって西北西へと向かっています。中心気圧は980hPa、中心付近の最大風速は35m/sで暴風域を伴っています。
この1日は勢力はほとんど変わっていませんでしたが、衛星画像をみると中心付近に台風の目のようなものができつつあります。このあとは海水温や上空の風の状況が発達しやすい環境となるため勢力を強める予想です。
気象庁進路予想(JMA)
台風10号はこのあと西寄りへと進んで、28日(水)朝には九州の南の海上を中心とする予報円に達する見込みです。その後は進路を北から北東寄りへと大きく変えて、九州・四国・中国・近畿方面へと進む予想となっています。これまでの予想に比べてだいぶ西寄りへと進み大回りとなっています。本州付近を直撃するタイミングが今週後半にずれ込んでいます。
台風が進む予想となっている海域の海水温度が30℃前後と非常に高いことや、鉛直シアは小さく台風の発達を妨げるような上空の風の場とはなっていないため発達しながら九州の南の海上に達する28日(水)朝には「非常に強い勢力」となる予想です。
【画像で確認】台風10号の接近タイミング&影響長引くおそれ 31日までの大雨・暴風シミュレーション
アメリカ海軍進路予想(JTWC)
アメリカ・ハワイにあるアメリカ軍の合同台風警報センター(JTWC)の情報です。ここでは監視すべき対象となりうる熱帯低気圧についての情報や台風となった場合の警戒情報などが表示されます。
アメリカ海軍の進路予想では、傾向は気象庁と大きく変わりません。九州の南の海上までは北西方向へと進んできて、その後、北東よりに進路を変えて九州から中四国方面へと進む予想となっています。最大風速をみると九州の南の海上に達したあたりで勢力が最も強くなっています。
ちなみにアメリカ海軍の最大風速はノット表示です(1ノット=約0.514m/s)。ただアメリカ海軍と気象庁では最大風速の定義が異なるため、気象庁の最大風速と単純に比べることはできません。(アメリカ海軍(1分平均風速)の方が、気象庁(10分平均風速)よりも大きな値となります)
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アメリカ海洋大気庁(NOAA)
台風の進路予報は「アンサンブル予報」という手法で行います。数値予報の計算に使う最初の値をわずかに変えたものを複数計算して、その平均やばらつきの程度といった統計的な情報を用いて進路を確率的に予想するものです。
アメリカ海洋大気庁のアンサンブル予報の結果をみると、さらに西寄りへと変わり九州から中国または四国地方を通る予想データが多くなっています
ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)
ヨーロッパ中期予報センターのアンサンブル予報結果です。他のモデルと同様に九州の南の海上まで進んだのち、進路を北東寄りに変えて日本列島に上陸する予想となっています。ヨーロッパモデルでも九州東部・四国あたりに進んで中国・近畿あたりを直撃する予想データが多くなっています。
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台風進路予想モデルとは異なりますが、日々の天気予報で使われる気象庁の別の数値予報モデルの結果です。予想が更新される度に本州への接近が遅くなっていて、台風10号は28日後半から29日にかけて九州・四国・中国地方に直撃して日本海へと進む予想を示しています。
気象庁の進路予想やアメリカ・ヨーロッパなど海外モデルの予想をみると、非常に強い勢力となって九州の南の海上まで達して、その後、北東方向へ向きを変える傾向はそろっていますが、ただどこを進むのかはかなりのブレ幅があります。これだけ短い時間で進路予想が大きく変わるのはあまりなく、それだけ予想が難しい台風となっています。今後の台風情報に警戒してください。
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この4日間の進路予想を比べると、次第に西寄りへ大回りする方向へと変わってきています。その分、本州へ接近するタイミングも遅くなっています。
台風の進路予想図で示されている白い円の大きさは「予報円」で、台風の中心が到達すると予想される範囲を示しています。 予報した時刻に、この円内に台風の中心が入る確率は70%です。 円が大きくなっているからといって台風が大きくなることを意味するものではなく、予報のバラツキを表しています。
26日(月)朝の時点の予想では、28日(水)未明でも九州の南の海上にあり、その後、29日(木)未明に九州に上陸、30日(金)未明に日本海へ抜けるかどうかという予想になっています。
ただまだ29日(木)以降の予報円は非常に大きくなっていて予報のブレ幅は非常に大きいです。これは進路コースのブレ幅もありますが、台風が進むスピードの予想のブレ幅によっても予報円が大きくなっているとみられます。
また、台風が向きを変えるタイミングである28日(水)未明に速度はゆっくりとなり、その後、29日(木)、30日(金)の予想でも台風の速度は時速15~20キロと比較的ゆっくりとしたスピードが予想されています。31日(土)でも予報円の中心は北陸沿岸の日本海にあり、本州付近での影響が長引くおそれがあります。
では、なぜ台風の進路予想はだんだんと西寄りに変わり、また本州付近でも“ノロノロ”とした速度が予想されているのでしょうか。
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台風の進路は周辺の上空の風の流れに大きく左右されます。
上空5500メートル付近の気圧配置を見ていくと、25日(日)までは上空の太平洋高気圧の勢力が日本列島付近まで張り出していて北上できずに西寄りへと進んでいます。
26日(月)になると高気圧の張り出しはやや弱まりますが、西日本付近まで張り出しているため、台風はその縁に沿って九州の南の海上へと進んでいく予想です。
その後、27日(火)になると高気圧の張り出しがさらに弱まるため、北東方向へと進んでいきます。
28日(水)以降に中四国や近畿地方への上陸が予想されています。秋台風であれば、このタイミングで上空の気圧の谷の通過などで偏西風が吹いて台風を加速させてスピードが速まることが多いですが、27日(火)以降の予想をみても、台風を加速させるような上空の風の流れは予想されていません。
逆に上空の風の流れがないため本州から日本海へ抜けても動きが遅く、週末にかけて影響が残る可能性もあります。このあたりの上空の風の流れの予想が定まっていないのも予報円が大きい理由のようです。
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