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家事はやりません(笑)。それでも凄腕税理士は野菜の値札に視線を注ぐ

 新たな歴史をつくるために、挑戦する者がいる。そんな広島を代表する人たちの「言葉」に迫る。テレビやラジオで紹介できなかった人物像を、「生涯野球監督・迫田穆成 83歳、最後のマジック」(ベースボールマガジン社)の著者である坂上俊次が描く。第6回は、㈱合同総研 代表取締役税理士 篠原敦子さん(後編)だ。

 1952年、父・篠原喜八郎が税理士事務所を開所したのが合同総研のルーツである。喜八郎は進取の気質を持つ人だった。税務を軸にしながら、あらゆる分野において顧客と向き合ってきた。それだけに、創業70年、あらゆる職種にクライアントを持つ。
 ただ、農業分野だけはスムーズにいかなかった。20年前、喜八郎は農業について取り組もうとすると、役員は全員が反対の意思を示したのだ。「農業分野は仕事にならない」というのが理由だった。
 しかし、篠原敦子は父の魂を受け継いだ。スタッフと共に、農業税務の研修を受けた。そして、農協・県・公庫に積極的に顔を出した。すると、相談を受ける機会も増えていった。篠原は、農業分野における「数字の必要性」を力説する。
 「つくることに一生懸命で数字を見ない生産者は少なくありません。売価、仕入れ、そういったことの把握が必要です。利益が出るかわからないまま生産するようでは上手くいきません。やる気のある担い手が、長く続くようにしたいです」
 生産者に寄り添うからこそ、篠原はスーパーマーケットの「野菜の値札」に視線を向ける。「高いのには理由もあるはずです。地元の野菜が売れないようでは、おかしいです」。
 クライアントに寄り添う姿勢が、野菜の値札への視線に象徴されている。 
 「まだまだ興味のある業界はあります。マッサージや整体なんかも気になりますね」
 不思議なものだ。数字に向き合えば向き合うほど、現場が大事になってくる。血の通ったコンサルティング。この時代だからこそ、強く求められることであろう。

前編はこちら

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