新たな歴史をつくるために、挑戦する者がいる。そんな広島を代表する人たちに迫る。テレビやラジオで紹介できなかった人物像を、「生涯野球監督・迫田穆成 83歳、最後のマジック」(ベースボールマガジン社)の著者である坂上俊次が描く。第5回は、90年以上の歴史がある三谷製菓(広島市)の三谷憲生社長の後編だ。用途の広がりを受け需要が高まる「もなかの皮」に迫る。
もなかの皮は、業界でも1ロット500~1000枚あたりが一般的だ。それが、東京のセレクトショップから「20枚」単位での発注がある。あきらかに和菓子店ではない。誰が購入しているのか?
1929年の創業以来、もなかの皮を製造している三谷製菓(広島市)の5代目社長・三谷憲生は不思議に思った。
どうやら料理人が買っていくらしい。そんな話も耳にしたが、確証はなかった。しかし、すぐに事実は明らかになった。
「そのうちに、料理人さんから直接の注文が入るようになりました。人気の日本料理店やフレンチレストランが、もなかの皮を食材に使ってくれているようでした。これまでは業者にだけ販売することが多かったですが、料理に用いられているようでした。もなかの「皮だけ」が売れる日が来るとは思いませんでした」
独特の香ばしさが魅力である。一方で、今や、形やカラーの鮮やかさも商品の妙味である。三谷は、かつて新婚旅行で訪れたパリを思い出した。
「ずいぶん前ですが、パリのデパートでは色鮮やかなかわいいお菓子が大ブームでした。マカロンでした。1~2年後には、日本でも人気になっていました。そう考えれば、小さいもなかの皮、カラーのもなかの皮も需要があるだろうという気がしました」
昔では考えられないようなバリエーションのもなかの皮をつくり、インターネットでの販売もいち早く開始した。
小ロットの流通をためらわず、そこに疑問を持ち。自分の人生を通しての知見を加えた。三谷製菓のサイトでは、もなかの皮のイメージを変えるようなかわいらしい商品がズラリと並ぶ。モナロン、monaca、花もなかお吸い物・・・響きからも、伝わるところはあるだろう。
創業94年、新たな息吹をもって、これからも伝統は続いていく。
坂上俊次
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