新たな歴史をつくるために、挑戦する者がいる。そんな広島を代表する人たちの「言葉」に迫る。テレビやラジオで紹介できなかった人物像を、「生涯野球監督・迫田穆成 83歳、最後のマジック」(ベースボールマガジン社)の著者である、坂上俊次が描く。第2回は、バスケットボールBリーグ広島ドラゴンフライズの浦伸嘉社長(後編)だ。
Bリーグが構想を明らかにした「Bリーグプレミア」。ここに参入するには、観客動員4000人(1試合平均)が高いハードルになる。周囲からは順調に見えるドラゴンフライズの歩みだが、代表取締役社長の浦伸嘉は、ここ数年でも最大級の危機感を抱く。
デジタル戦略にも長けている。マーケティングの感覚も鋭い。しかし、浦は、この局面を「空中戦」で打開できるとは思っていない。
2016年、1億6千万円の債務超過から経営者のキャリアはスタートした。この局面も、「体を張った努力」で乗り越えてきた。その証明が、経営者・浦のマイルールである。関係者は明かす。「浦さんが飲み会を断ることを見たことがありません。たとえ30分でも、ビール一杯でも参加しているみたいです」
本人にぶつけてみた。
「確かに、週5回参加することもあります。あんまり断らないですね。資金や体制があれば、飲み会のみならず代役も立てられます。でも、そういう状況ではありません。とにかく、人を知ってもらうこと、チームを知ってもらうこと。全員に愛されるべきスポーツチームを運営しているわけですから、人と話してナンボです。地域は、人のつながりの中にあるものですから。意識としては、そういうことを選手にも浸透させたいです」
いかに元・アスリートとはいえ、体調が心配にもあるが、本人は平然としたものだ。「睡眠時間3時間くらいのこともありますが、回復力がありますから大丈夫です」
選手時代スリムだった浦の体形が「ふくよか」になることを気遣う職員もいるが、こちらも心配は無用だ。
「そこはね、問題ないです。いざとなれば、しっかり動いて調整できますから」
このときばかりは、言葉にアスリートのプライドが覗いていた。
坂上俊次
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