新たな歴史をつくるために、挑戦する者がいる。そんな広島を代表する人たちの「言葉」に迫る。テレビやラジオで紹介できなかった人物像を、「生涯野球監督・迫田穆成 83歳、最後のマジック」(ベースボールマガジン社)の著者である、坂上俊次が描く。第一回は、バスケットボールBリーグ広島ドラゴンフライズの浦伸嘉社長(前編)だ。
「20×2×100=4000」。広島ドラゴンフライズ社長の浦伸嘉は、何やら計算式を持ち出してきた。
「これですか?20人の職員が、2枚ペアのチケットを100回売れば、4000枚になるということです。究極的には、それだけのチケットを職員で一丸となって「手売り」する覚悟はあるのか?という話です」
元・バスケットプレーヤーの浦は42歳。経営者としては、若い部類に入る。2016年に35歳で広島ドラゴンフライズの社長になって7年が経った。B1昇格も果たし、アリーナも満員にできる日が増えた。昨シーズンの1試合平均観客動員は3335人。リーグ内でも、悪くはない。しかし、浦は、この夏、かなりの危機感を抱いている。
リーグは安定経営とさらなる価値向上を目指し、「Bリーグプレミア」という構想を打ち出した。ここに参入するには、①基準を満たしたアリーナ②売上高12億円③観客動員4000人の基準を満たす必要がある。
「1番大きな課題は観客4000人です。これまでもあらゆる努力をして3335人です。これを4000人にするには、よほどの何かが必要です」
といっても、奇策を弄するわけではない。「最終的には、体を張ってチケットを手売りするくらいのことが必要です。今回、このBリーグプレミアに参入できなければ、これまでやってきたことの意味がなくなってしまいます。それくらいの危機感です」
ただ、浦は悲観的にはならない。そもそも1億6千万円の債務超過から経営者のキャリアはスタートしている。リスクを背負っての就任であった。
「あのときも、確信がありました。絶対日本のバスケット界は良くなると思っていました。だから、リスクのことばかりを考えはしませんでした」
そんな浦は、自らにユニークなルールを課した。それは、次回、紹介する。
坂上俊次
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