岡山県の南端に位置する玉野市。小豆島や直島行きのフェリーが出航している宇野港周辺は、3年に一度開催される『瀬戸内国際芸術祭』の舞台の一つにもなっています。
そんな宇野港近くにあるのが、1951年の開設以来、地元民に親しまれている競輪場『玉野競輪』。風光明媚な瀬戸内海に臨むこのスタジアムは2022年3月、アートなホテルを併設した競技場へとリニューアルされました!
『玉野競輪』のマスコットキャラクター・ガッツ玉ちゃんも地元ではよく知られた存在です。
ユニークなホテルに滞在しながら、宇野港周辺の屋外アート作品を巡る旅はいかがですか?
スポット 1
『KEIRIN HOTEL 10』は、日本初のスタジアム一体型ホテル。149室中126室が『玉野競輪』に面しており、バンク(競走路)とその向こうに広がる瀬戸内海の景色を部屋から眺めることができます。
競輪は70年以上の歴史があり、戦後の貧しい日本復興のために始まった日本発祥のプロスポーツ。そんな競輪の面白さを伝えるために生まれたのが同ホテルです。
旧競輪場の記憶を受け継ぐため、かつて場内で使用されていた座席や柵、看板などの廃材をアップサイクルして内装に活用しています。
この看板に使われているのも、旧競輪場の観戦席に並べられていたイスです。さっそく中に入ってみましょう!
こちらがエントランス兼ショップ。白を基調とした空間を、自転車の部品や廃材で作られたオブジェやインテリアが彩ります。か、かわいすぎる……! 旧競輪場にあった選手の写真をペイントした作品も目を惹きます。
ショップでは『KEIRIN HOTEL 10』のオリジナルグッズなどが販売されています。人気アーティスト・Face
Okaさんのイラストが描かれたマグカップやエコバッグ、「玉野けいりん」のロゴが施されたキャップ、客室のアメニティにも使われている特注の黒い備前焼きのカップや岡山のスペシャルティコーヒー専門店『ONSAYA
COFFEE』とコラボしたドリップバッグコーヒーなどなど、おしゃれなデザインのものばかり! 自分用はもちろん、友人へのお土産にも喜ばれるはず。
客室は全部で5タイプを用意。こちらはテラス付きのオーシャンバンクビュー・ツインルームです。写真は最上階8階のお部屋。テラスに出てみて、「本当にスタジアムと瀬戸内海の多島美が一望できるんだ!」と感激しました。
同じく最上階8階に、2部屋だけあるスイートルーム。廃材を活かしたオブジェや岡山の競輪選手から寄付された自転車部品で作られたシャンデリア、カラフルなラグなどが配された客室は遊び心満載かつ、ゆったりとくつろげる雰囲気です。
この日はレースがお休みだったので、リラックスした様子で練習する選手たちの姿をテラスから見ることができました。もちろんレース開催時は白熱した試合を観戦できます。選手の息づかいや自転車を漕いでいる音が聞こえてくるほどの距離で観戦すれば、応援にもより力が入ること必至!
ちなみにスマホアプリを使えば、客室にいながら車券の購入も可能です。
浴室からもスタジアムと瀬戸内海が見渡せます。ライトアップされた夜の競技場も美しいのだとか。
こちらは2~6階にあるコンパクトダブルの客室。高層階よりもさらにスタジアムとの距離が近いため、臨場感たっぷりの光景を満喫できます(下の写真)。コンパクトな造りなので、ひとり旅やワーケーションに最適。
5階の山側にも同じタイプの客室が設けられており、そちらは『玉野競輪』でのレース開催中、出場選手が宿舎として利用する部屋なのです!
競輪は、9人の選手が順位を競うスポーツ。ホテル名にある『10』には、「10人目の選手になった気分で宿泊を楽しんでほしい」という想いが込められています。レーサーたちが利用する部屋に滞在できるのも、『KEIRIN
HOTEL 10』ならではの魅力です。
※レース開催期間中、コンパクトダブルの客室は選手の宿舎となるため、ツインルーム・スイートルームのみ宿泊可能
館内には大・小浴場も完備されています。ガッツ玉ちゃんのシルエットが目印。
大浴場(写真)と小浴場は男女入れ替え制です。なんと大浴場もバンクに面しており、広いバンクを見ながら湯船に浸かっていると、なんだか自分もレースを終えて汗を流す選手になったような感覚に…(笑)。ドライサウナと水風呂もありますよ。
ただし、レース開催時とその前後は選手専用の浴場となるため、客室のお風呂やシャワールームを利用しましょう。
『KEIRIN HOTEL 10』に滞在していると「せっかくバンクを間近で眺めることができるのに競輪のことを知らず、推しの選手もいないのはもったいないなぁ……」という気持ちになってきます。
でも大丈夫! ホテル棟とスタンド棟をつなぐ2階連絡通路に、競輪の歴史や豆知識などをパネル展示で学べるギャラリーがあるのです。岡山所属の選手を紹介している「FUTOMOMO HEROES」というコーナーは、レース前の予習にも◎。
客室や浴場のあるホテル棟から連絡通路を通り、全国の競輪場で行われるレースがモニターで観戦できるスタンド棟へ。スタンド棟2階には、スタジアムレストラン『FORQ(フォーク)』が併設されています。モーニングは宿泊者限定ですが、ランチとカフェ(土日祝のみ営業)、ディナーは宿泊者以外も利用OK。
広々とした店内にも、やはり旧競輪場で使われていた廃材や自転車部品があしらわれています。ちなみに「フォーク」とは自転車の前輪を支える部品の名前だそう。バンクに臨む店内からは、迫力満点のレースを観戦しながら食事を楽しめます。
ランチメニューで人気なのは、本格スパイスが香るキーマカレーやチキンカレー(各1500円、サイドメニューとフライドポテト、ドリンク付き)。
瀬戸内レモンのパウンドケーキや、ブルーベリー&クリームチーズのマフィンといった焼き菓子でひと息つくのもおすすめ。また岡山県のクラフトビールも充実しているので、次回はレース開催時に訪れて、昼間からビール片手に試合観戦しようと思います!
ディナータイムは創作コース料理が登場します。岡山県産の旬食材を、玉野産の塩のみで味付け。シンプルな調理法で、地元食材の魅力を最大限に引き出したグリル料理を召し上がれ。
レストランに直結したスタンドでは、地元の常連客たちに混ざって車券を購入できます。スタッフさんが買い方や競輪のルールを教えてくれるので、ビギナーでも安心。
KEIRIN HOTEL 10 (競輪ホテル)
住所/岡山県玉野市築港5-18-3
電話/0863-31-0555
https://keirin-hotel10.com
車で5分
スポット 2
デザイン性の高いホテルを拠点に、宇野港周辺のアート作品巡りへGO! 自転車競技に触れたからには、自分も自転車で颯爽と駆け抜けたいもの。レンタサイクルで、海辺のまちを散策しましょう!
『KEIRIN HOTEL 10』でも、電動自転車をレンタルできます(1時間500円、1日2,000円)。
▲小沢敦志『終点の先へ』
また『玉野観光案内所』では、「アートレンタサイクル」を貸し出しています(1日700円)。これは放置自転車に熱して叩いた鉄を溶接し、新たな自転車に再生するアートプロジェクトから生まれた『終点の先へ』という作品。アート作品を、実際に乗って楽しめるという斬新な取り組みです。
玉野観光案内所
住所/岡山県玉野市築港1-1-1(JR宇野駅構内)
電話/0863-21-3546
営業・貸出時間/9:00~17:00
自転車で2分
スポット 3
▲エステル・ストッカー『JR宇野みなと線アートプロジェクト』(宇野駅)
宇野港すぐそばにある宇野駅。『JR宇野みなと線アートプロジェクト』により、レトロな駅舎が白×黒で装飾されました。白地に黒のラインが施されたシンプルな構成ながら、街の中でひときわ目を惹く存在となっています。
宇野駅
住所/岡山県玉野市築港1-1
自転車で5分
スポット 4
▲淀川テクニック『宇野のチヌ』
宇野港周辺の沿岸や児島湖で集められたゴミや漂流物を使い、現代美術家・淀川テクニックが制作したオブジェ『宇野のチヌ』。世界各地から海を渡って瀬戸内に漂流した廃棄物が新たなフォルムとなり、宇野港で圧倒的なインパクトを放っています。隣には滑り台になっている『宇野コチヌ』も展示されています。
宇野のチヌ(宇野港)
住所/岡山県玉野市築港1
自転車で15分
スポット 5
▲金氏徹平『S.F. (Seaside Friction)』
『玉野競輪』の横にある『日之出公園』には、旧競輪場でかつて使用されていたイスや手すり、元競輪選手の写真などの素材を基にした彫刻作品が複数点在。周囲に植わっているヤシの木と、鮮やかなカラーの作品を見ていると南国に来たかのような錯覚を覚えます。
日之出公園
住所/岡山県玉野市築港5-20
競輪場のバンク×瀬戸内海という「ここにしかない風景」と、廃材を活用したポップな内装が写真映えする『KEIRIN HOTEL 10』。そして、穏やかな港町でひときわ存在感を放つアート作品の数々。ぜひスマホやカメラを持って滞在&散策してくださいね!
瀬戸内Finderフォトライター ヒロエ カナコ
▼記事提供元
「瀬戸内Finder(ファインダー)」は、瀬戸内を共有する7県(兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県)の魅力を世界に発信しています。
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