サイクリストの聖地・しまなみ海道が通る『生口島(いくちじま)』では、島内の至る所で不思議な形のオブジェを見られます。
これらは『島ごと美術館』と呼ばれるアート作品群。各作品はアーティスト自らが設置場所を選び、その場所の風景や音などから受けたインスピレーションを現代アートで表現しています。
そんな生口島『島ごと美術館』の全17作品の見所・行き方を徹底解説!
一つ目のアート作品は『地殻(岡本敦生 作)』。生口島の北の玄関口である『生口橋』の近くにあり、対岸には因島が見えています。
生口島の海岸沿いをしばらく西へ進むと『尾道市瀬戸田B&G海洋センター』が見えてきます。
ご当地ジェラートで有名な『ドルチェ瀬戸田本店』の隣にあり、入口近くの芝生広場にモノリス!?のようなオブジェを発見!
この作品は『地上と地下の間で(崔 在銀 作)』。昔の公衆電話ボックスのようにも見えますね(笑)。
作品の中(地下)がどうなっているか、ぜひ現地で確認してみてください!
次のアート作品を見るのは、少し難易度が高いかもしれません。というのも瀬戸田小学校の中庭に設置されているから。
通常は校門にあるインターホンで、アート作品を見学したい旨を伝えると中へ入れてもらえますが、曜日や授業時間などのタイミングによって必ずしも見学できるとは限りません。どうしても見たい場合は、事前に連絡しましょう。
中庭に設置されている作品は『飛石(福岡道雄 作)』。
キャップをかぶった男の子がジャンプして、池の飛石を渡ろうとしている瞬間でしょうか。
「ちょっと石の間隔が空きすぎじゃない!?」
と、思わず心配してしまいますね……。
造形がリアルで、そのまま理解しやすい作品です。
瀬戸田小学校のすぐ隣にある『瀬戸田町観光案内所』には島の特産物であるレモンやミカンなどの巨大オブジェが設置されていて、SNS映えスポットとして人気の場所です。
この柑橘類のオブジェ自体は『島ごと美術館』の作品ではないのですが、この周りに3つのアート作品が集まっています。
観光案内所のすぐ隣にあるのが『一羽の鳥の為に(田中信太郎 作)』。
黄色い小鳥が止まって羽を休めているように見えます。
そして、道を挟んで設置されているのは『海からの贈物(山本正道 作)』。
違う角度から見ると印象が変わる不思議な作品ですので、現地でじっくりと鑑賞してください。
『風の中で(瀬戸田)(西野康造 作)』も隣接して設置されています。
楽器のサックスをモチーフにしたアート作品です。
実は『島ごと美術館』の作品は生口島だけに設置されているわけではありません。
生口島の西部に架かるミカン色の『高根(こうね)大橋』を渡って、高根島へ上陸。
少し北へ向かうと次のアート作品が設置されています。
高根島の東岸にある『球を包む幕舎(保田春彦 作)』。
巨大な球を、四角いテントで囲っているような作品。円と四角というシンプルな素材の組合せなのに、見る角度によって多様な造形美を楽しめます。
ちなみに、高根島の北端には『日本の灯台50選』に選ばれた高根島灯台がありますので、時間に余裕があれば合わせて訪問してみてくださいね。
再び生口島に戻り、海岸線をしばらく南下すると海中にユラユラと動くアート作品が!
この作品は『波の翼(新宮 普 作)』。
風が吹くと帆が動き、形が次々と変化していきます。ただ眺めているだけで、自然の息吹を感じられる作品です。
さらに海岸を南下していくと白砂のビーチがあり、そこに巨大な直方体の石が二つ並んでいます。ビーチの北端にある突堤の上にもアートオブジェのようなものが!
突堤の上に設置されているのは『うつろひ(宮脇愛子 作)』。
実はこの作品は同作者によるシリーズもので、全国各地にこれと似た作品が残されています。
そしてビーチにある物体は『ねそべり石(山口牧生 作)』。
ベッドとしては堅くて痛そうですが、実際に寝そべってみると、意外と寝心地が良いかも!?
ただ、夏は直射日光で表面がアツアツになるので火傷(やけど)に注意しましょう!
そのまま浜辺を南下していくと、夏の海水浴場としても有名な『瀬戸田サンセットビーチ』が見えてきます。
ここには3つのアート作品があり、上の写真は『空へ(眞板雅文 作)』。
ビーチによく似合うトロピカルな雰囲気の作品ですね!
少し南に歩くと『凪のとき 赤いかたち/傾(植松奎二 作)』も設置されています。
周辺の椰子の木ともマッチしていますね。
さらにサンセットビーチの南端には、もう一つ巨大なメガネのようなアート作品も。
この作品は『千里眼”のぞいてみよう、瀬戸田から世界が見える。”(松永 真 作)』。
両脇には小型のオブジェもありますので、黄色いメガネ枠を通して見る景色も楽しんでください。
瀬戸田サンセットビーチから海岸線をさらに南方に進み、しまなみ海道『多々羅大橋』の下も通過して、生口島の最南端付近へ移動します。
ここにも『島ごと美術館』のアート作品が設置されています。
この作品は『空/海(海老塚耕一 作)』。
国道から少し外れた場所にあり、見落としがちですので注意してください。
護岸に放置され、錆びついてしまった鉄板のように見えますが、れっきとしたアート作品です。
この作品は、秋から冬にかけて、朝日を拝むスポットとしてもオススメ。
近くにサイクリストに人気のゲストハウスもあり、早起きすれば岩城島付近から昇る神々しい朝日とアート作品のコラボも堪能できますよ。
『島ごと美術館』の作品群は、そのほとんどが海岸沿いか、あるいは市街地の平坦な場所にあるのですが、一つだけ高台に設置されたものがあります。
現在は休園中の『シトラスパーク瀬戸田』の駐車場近くにある『CATS DANCE(滑川公一 作)』です。
その名のとおり、猫が輪になって踊っているような作品で、見ていると楽しい気分になります♪
なお、休園中のため普段は『シトラスパーク瀬戸田』の園内に入れませんが、実はここは生口島随一の桜名所として知られ、毎年お花見の期間のみ無料開放されています。
しまなみ海道の島々と瀬戸内海、そして桜が一望できる絶景のお花見名所ですので、ぜひ春にも訪れてみてください。
再び海岸方面へ戻り、国道を北東へ移動すると、旧『南小学校』の跡地近くにアート作品を発見。
これは『ベルベデールせとだ(川上喜三郎 作)』で、干潮時には階段から上へ登れるようになっています。
写真で見ると大人サイズに見えますが、階段と比較してみてください。かなり、巨大です。
横から見ると円は二重になっていて、スロープを登って円の中央部まで行けるようになっています。
この作品は、マイ自転車と一緒に円の中央に立って自撮りができる、サイクリストのSNS映えスポットとしても有名です。
いよいよ最後の17番目のアート作品は、沿岸をさらに北東に進んだ場所にあります。
国道から細い道へ入るため、やや分かりにくいのですが、ひときわ大きなご神木(?)が目印。
鳥居の右横に設置されている作品が『潮池(青木野枝 作)』。
この写真では少し隠れていますが、実は鳥居の左側にも似た形のオブジェがあり、一対になっています。
鳥居の奥には『龍明神』が祀られていて、よく見ると古墳のような盛り土にたくさんの木々が密林のように植えられていて、それらがまとまって一つの大木に見えていたんですね!
神秘的な雰囲気の、パワースポットとアートの融合作品でした。
以上、生口島にある17基のアート作品群、いかがでしたか?
島内の至るところにさりげなく設置されている作品たちを一つひとつ見つけていくのは、宝探しのようなゲーム感覚も味わえて想像以上に楽しい旅になりますよ!
もし、どうしても場所が分からない場合は、島の人たちに話しかければ教えてもらえるかも。
生口島で普段とは違った、アート巡りの旅を満喫してください!
島ごと美術館
住所/広島県尾道市瀬戸田町 一帯
電話/0845-27-2210(尾道市瀬戸田支所しまおこし課)
駐車場/場所により異なります
最寄駅/なし
https://www.city.onomichi.hiroshima.jp/soshiki/44/2787.html
瀬戸内Finderフォトライター 松岡広宣
▼記事提供元
「瀬戸内Finder(ファインダー)」は、瀬戸内を共有する7県(兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県)の魅力を世界に発信しています。
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