ことしも島の男たちの熱い闘いが繰り広げられました。少子高齢化が進む島でこの闘いも世代交代が進んでいます。

島の男のプライドをかけたレース。大崎上島木江エリアの櫂伝馬競漕です。地区ごとに分かれた4チームで争われます。

潮待ちの港として栄えた大崎上島で、200年以上の歴史がある櫂伝馬競漕。島の若者達が船の速さを競う海の祭りです。

今年それぞれのチームを率いる船頭はこちらの4人。天満チームは18年目のベテラン、郷チームと宇浜チームは船頭デビューとなる新人。そして岩白チームの船頭は2年目。3連覇中のベテランに新鋭3人が挑みます。勝負は4回のレースの総合得点で争われます。

宇浜チーム・船頭デビューの行武幸将さん「凄い緊張してます、でも今年は水主(かこ)の力も出来上がっているので」

郷チーム・船頭デビューの多保友裕さん
「(デビューに向けて)気合い入れて落ち着いていこうかなと思っています。(自信は?)あります」

先輩の船頭も後輩のデビューを見守ります。

郷チームの前船頭・浜田慎太郎さん
「彼は凄くプラス思考なので、彼ならやってくれると思う」

宇浜チームの前船頭・佐々木悠さん
「一年目にしたら立派に舵取りもしてるし、チームも引っ張っていってるし僕からしたら心配ないですよね」

★第一回レース★
第一回レースは湾内を回る300メートルのショートコース。赤の天満チームが貫禄の1位でゴール。青の郷チームの多保さん、デビュー戦は3位でした。

郷チーム・船頭デビューの多保友裕さん
「悔しいっすね、本番のと練習は違うねというところですね」

一方、1位でゴールした藤原さんにも特別な思いがあったようです。

天満チーム・18年目 藤原啓志船頭
「(同年代)の船頭と一緒にやってきたのとはプレッシャーが全然違って、若い子たちが僕の背中を追いかけてくるんで、この子たちに負けないように勝つ事によって勉強さすというか、うん」

★第二回レース★
第二回レースは1・5キロの長距離レース。勝ったのは、郷チーム。

郷チーム・多保友裕船頭
「(おめでとうございます)ありがとうございます、凄いうれしかったですね。長距離でしんどいところで、水主(漕ぎ手)が盛上がってたんでそれが勝因」

宇浜チーム・行武さんは謙虚にレースを振り返ります。

宇浜チーム・行武幸将船頭
「焦らず自分が出来ることだけやっていこうと思います。めちゃくちゃ漕いでくれてるんで僕がジャマしないように頑張ります」

岩白・渡辺さんはコース獲りで苦労したと言います。

岩白チーム・渡辺貴之船頭
「沖(外)に回るしかなかったので厳しかった」

★第三回レース★

レース実況
「さあ、始まりました第三回競漕、湾内周回競漕です」

第三回レースは、海面に浮くブイ3か所を回る旋回コース。毎年波乱がおこる鬼門のレースです。

レース実況
「おっと、ここで少し接触4艇それぞれ櫂が固まっているか」

出遅れた青の郷チームが最下位となりました。

郷・多保
「熱くはなりますね。接触が難しいのは熱くなるので冷静にいかんといけんなと思いました」

岩白チーム・道林拓斗さん(16)
「めっちゃ楽しいですね、祭りをしに頑張ってきたし」

第三レースで混戦から抜け出し、1位でゴールした岩白チームの道林拓斗さんは高校2年生、4人兄弟の三男。

(就職で島外に出た兄2人は櫂伝馬競漕に参加するため島に帰ってきた)

岩白チーム・道林拓斗さん(16)
「今櫂伝馬が始まって家が盛り上がって、めちゃくちゃいい空気で」

天満チーム・道林家 次男・隼斗さん(19)
「昼から切り替えてしっかり休憩とって頑張りたいと思います」

岩白チーム・道林家 長男・海斗さん(20)
「次、昼一発1位とりたいです」

岩白チーム・道林家四男・湊斗さん(中学1年)は兄たちを応援、来年のデビュー目指す。

(今年7年ぶりに女性の櫂伝馬が復活)
(櫂伝馬は昔、女人禁制で触ることも許されなかった)

参加した英語教師「櫂伝馬は大崎上島の文化、みんな地域の誇りがあります」

参加した地元の中学生
「メッチャ楽しかったです、中学校卒業して高校生になってもやりたい」

島の伝統、櫂伝馬も世代交代が進み若人に引き継がれる

大崎上島・谷川正芳町長
「今日も顔ぶれ見て若いですよね。若い子たちが数が減っている中でみんなで力を合わせてという形で、島がまとまるためのこれが伝統行事、地域の宝ですね」

★第四レース★
櫂伝馬競漕の優勝争いは最終レースまでもつれました。天満は3位以内で優勝でしたが・・・まさかの4位。

総合得点で天満チームと郷チームが並び14年ぶりの優勝決定戦です。

天満チームと郷チームは幼なじみの船頭2人が激しくぶつかり合うなどこれまで激闘を繰り広げてきました。郷の浜田さんが去年で引退し後を継いだ多保さんが藤原さんに挑む因縁の対決です。

レース実況「さあ2艇によります優勝決定戦」

郷チームが天満チームの4連覇を阻止し優勝。

郷チーム・多保友裕船頭
「もう現実感がないくらい、頭の中にずっとこれを思い描きながらやったんですけどそれがほんとに現実になって不思議な感じですね」「(18年の先輩に勝ちましたね)そうですね、ただ藤原啓志さんはホントに上手なんで、まだまだ勉強させてもらってるんですけど、ただただうちの水主(漕ぎ手)がよく漕いでくれたんでほんとに感謝しています」

がっくりとうなだれる天満チームのこちらの男性。藤原さんから船頭を引き継ぐ決心をした細川蓮太さんです。

天満チーム・藤原啓志船頭
「もしかしたら、神様もずっと味方してくれてたんですけど、オマエも世代交代だよ空の上から言っていたかもしれんし」

18年続けてきた船頭は、来年を最後に細川さんに引き継いでいきます。

天満チーム・船頭を引き継ぐ細川蓮太さん(28)
「(櫂伝馬は)せんでもいいこと、なのにそれに対して、こんなにもの人が熱くなって勝ちに喜んで負けに悔しんでができるのが櫂伝馬、来年は勝ちます」

(スタジオ)
4チーム中、3チームの船頭が世代交代。18年目のベテラン船頭、天満チームの藤原さんも来年を最後に船頭を引退。谷川町長も話していた「地域の宝」櫂伝馬の魅力をこれからは世代交代した若手が伝えていきます。