熱中症対策としての水分補給に、栄養たっぷりの牛乳がおすすめだそうです。一方で、現場の牧場では、牛の夏バテや資材の高騰に深く悩まされています。酪農の厳しい現状を取材しました。
広島県庄原市東城町の牧場にある牛舎では、85頭のホルスタインが飼育されています。大型の扇風機を24時間稼働させていますが、連日の暑さで息を荒くする牛の姿も見られました。

和田牧場 和田慎吾さん
「全く風がないのと比べると、だいぶ楽になると思うが、牛はしんどいと思う。食べたい時にエサがある状態も『ストレス軽減になる』ので…」
水分の取りすぎで「牛乳の味」が落ちる?
一方、水分の取り過ぎはかえって、牛乳のおいしさの秘訣である「乳脂肪分」を下げてしまうリスクも抱えています。

和田牧場 和田慎吾さん
「水の飲み過ぎで、血液の濃度が低くなる。血液が細胞を通って牛乳になる。その過程で、脂肪の作られる量が減ってくる」
乳脂肪分が3.5%を下回ると取引価格で減額され、利益率も落ちてしまうといいます。
機械代は倍増も「価格転嫁が追いつかない」
近年の過酷な暑さは、牛のエサづくりにも影響を与えています。炎天下のもとで刈り取られているのは、「ソルガム」と呼ばれる牧草の一種。高さは2メートル近くあります。
気温と日照時間の積み重ねで成長速度が決まりますが、そのサイクルが年々早まっており、収穫のタイミングの見極めが難しく苦労が多いといいます。刈り取った牧草は、重さ400キロにも及ぶロールに仕上げて保管します。

和田牧場 和田慎吾さん
「トラクターなど機械の価格は(10年前と比べ)2倍近く。牛乳の店頭価格は上がっているが、生産者が受け取れる金額は、約1.2倍。全く価格転嫁が追いついていないのが酪農」
「自然の摂理」に抗いながら生乳を搾る
大型の専用機械は耐久性などの面から、多くを海外からの輸入品に頼っています。牧草を包むフィルムなどの原材料であるナフサの高騰も加わり、あらゆるコスト増が重くのしかかります。

和田牧場 和田慎吾さん
「3.5パーセント以上の乳脂肪分は『おいしい』と言われてたが、自然の摂理からすると、これだけ暑くなると、お金をかけ維持しないといけない。乳質基準の改正や暑さに強い牛を作る・牛の健康を維持することに注力するしかない」
「牛乳で熱中症に強く」一方、酪農家は激減
三次市にある広島県酪農業協同組合には、県内各地で搾られた生乳がローリー車で運ばれてきます。到着したらすぐ検査を行い、においに異変がないか・細菌が繁殖していないかなど厳しくチェック。翌日には、メーカーに送り届けます。
広島県酪農業協同組合 西中晃専務
「タンパク質・カルシウム・必須アミノ酸もある。夏だから牛乳がぶ飲みではなく、運動との組み合わせで、熱中症に強い体作りに貢献できる」

しかし現在、生乳を出荷する酪農家は約80戸。30年前の約380戸と比べ、数は激減しています。
広島県酪農業協同組合 西中晃専務
「酪農家の減少が全国で進んでいて、なくなってからでは遅い。50~100円高くても応援していかないと、子どもたちが牛乳にありつけない。(消費者に)意識して選んでくれるとうれしい」



































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