広島県三原市の地中から男性が遺体で見つかり、友人の男が強盗殺人容疑で逮捕された事件。この2人は東広島市であった殺人・放火事件の「共犯関係」にあったとみられている。2人の間に何があったのか。見えてきたのは2人が抱える複数の”金銭トラブル”だった。(【「まさか幹太が…」会社の未来を担うはずだった男が…】から続く、全3回の3回目)
徳田雅希さん(29)が遺体で発見された4月29日、広島県警は、友人の倉本幹太容疑者(29)を詐欺容疑で逮捕した。
倉本容疑者はその後も再逮捕され、計3回、詐欺や横領の罪で起訴された。
会社の金を巡り…詐欺と横領容疑で浮かんだ別の顔

倉本幹太容疑者
起訴状によると、自身も働いていた川本さんのリフォーム会社が請け負った工事の着手金や、架空の工事に関する外注費をだまし取ったとされている。その額は合わせて1000万円にのぼるとされている。
そして、その金のほとんどをギャンブルにあてていたとみられている。
背景には、倉本容疑者が抱えていた金銭トラブルもあるとみられている。
700万円の借金に8000万円の損失…
まず、倉本容疑者が徳田さんから借りていた「700万円の借金」。警察は倉本容疑者がこの”700万円の返済”を免れようとしたとみている。
この700万円は主に、「別の借金の返済」や「個人的な物の購入」などにあてていたとみられている。

倉本幹太容疑者
このほかにも、倉本容疑者はオートレースや競輪といったギャンブルによる多額の損失があったという。
警察によると、その額は2025年5月からの約1年間で、およそ8000万円にのぼるという。
倉本容疑者の周辺では、ギャンブルによる多額の損失や、相次いで立件された詐欺・横領事件など、小さいとはいえない金銭トラブルの疑いが浮かび上がってきている。
ただ、今回の事件を「金に困った末の犯行」とだけみるには、不可解な点もある。被害者の徳田さんは、単なる金の貸し手ではなく、倉本容疑者にとっては、古くから付き合いのある友人でもあった。
金銭トラブルの裏で、2人の関係はどう変わっていったのか…。
「地元で仲の良い友人関係だと…」倉本容疑者と徳田さんに何が?

徳田さん(左)と倉本容疑者
倉本容疑者と徳田さんは、同い年で、地元の同じグループで友人同士。2人を知る人物は「中学、高校くらいの頃からの付き合いで、普通に仲のいい友人関係だと思っていた」と振り返る。SNSでも一緒に映る2人の姿を見たという人も。
しかし、その友人関係の裏側には、多額の借金があったとみられている。
倉本容疑者が抱えていたのは徳田さんから「700万円の借金」。捜査関係者によると、この返済期日が、事件当日の3月9日前後にあったとみられている。
一方で、徳田さん自身もまた別の借金を抱えていたという。
「お金を貸してほしい」数年ぶりの電話で…
徳田さんに金を貸していたと話す男性…。徳田さんが中学生のころから知っていて、かつて、自身の会社でも雇っていたことがあるという。
今年2月、数年ぶりに徳田さんから連絡を受けた。
「お金を貸してほしい」

そう言われ、男性は現金500万円を貸したという。これまでにも徳田さん金を貸す機会があり、いずれも返済されていたことで信用もしていたという。
「借用書」に書かれた返済期日
男性と徳田さんとの間で交わされた「借用書」には、返済は、3月5日と10日に、250万円ずつ支払う約束であることなどが書かれていた。
ところが、3月5日の返済は実現せず、徳田さんからは「9日に持って行ってもいいか」と連絡があったという。
男性は最終的に「10日に500万円をまとめて持ってきてくれたら良い」と伝え、徳田さんも了承した。

しかし、その返済期限の前日である3月9日、徳田さんは行方不明となり、その後、遺体で発見された。
700万円を返さなければならない倉本容疑者。500万円を返さなければならなかった徳田さん。
それぞれが金銭的な事情を抱えていたことが見えてきた。
事件当日の防犯カメラ2人で現場へ、1人で離れたか
事件が起きたとされる3月9日…。
徳田さんの遺体が発見された現場は、かつて徳田さんが、鉄工業を営んでいた場所だった。
捜査関係者によると、この現場は、倉本容疑者が個人的に土地の管理者から、整備を依頼されていた場所だった。

また事件当日、遺体が発見された三原市の現場周辺の防犯カメラが、倉本容疑者と徳田さんの2人が一緒にダンプカーに乗っている姿を捉え、その後、倉本容疑者が1人で現場から離れる様子を捉えていたという。
倉本容疑者は逮捕前、事件当日のことについて、「徳田さんに仕事を手伝ってもらい、その場で別れて一人で現場を出た」などと話していたほか、「徳田さんは奥さんに連れて帰ってもらう」という趣旨の話もしていたという。
東広島の事件から早い段階で捜査線に浮上

今回の事件をより複雑にしているのが、2月に東広島市で起きた殺人・放火事件との関係だ。
警察は、倉本容疑者と徳田さんについて、東広島市の事件で「共犯関係にあった」とみている。
警察によると、東広島市の事件では、防犯カメラの映像などから、”比較的早い段階”から徳田さんが捜査線上に浮上していたという。
“口封じ”のため殺害か
その後の捜査の過程で、三原市の会社敷地に何らかの証拠品が埋められている可能性をつかみ、掘り起こしを行った。
その結果、見つかったのは徳田さんの遺体だった。

東広島市で起きた殺人・放火事件と、三原市で起きた強盗殺人事件。
警察は、倉本容疑者が自身の別事件への関与発覚を避けるため、いわゆる「口封じ」として殺害したとみている。
一見、別々の2つの事件は、倉本容疑者と徳田さんの関係によって結びついている可能性がある。
2つの事件の全容解明へ捜査は続く
関係者によると、徳田さんは東広島市で事件が起こった2月16日から1週間、無断で仕事を休んでいた。後日「風邪を引いていた」と連絡があったという。
また、川本さんを知る人は、「将来的に役員を約束されていたみたいで、そういうのがあっても会社内でトラブルがあったと耳にした」と話す。

東広島市の”殺人・放火事件”と三原市の”生き埋め強盗殺人事件”。別々に見える2つの事件には繋がりが見えてきた。その一方で、2人が東広島市の事件にどのように関与していたのか、役割分担があったのかなど、詳しい構図は明らかになっていない。
捜査本部は、事件の全容解明に向けて、懸命な捜査が続けられている。
【この連載を最初から読む】
完全無料で広島情報


コメント (0)
IRAWアプリからコメントを書くことができます