8年の空白期間を経て、再びマイクの前へ。60歳のこのタイミングで、もう一度、実況アナウンサーの道を歩みはじめたRCC中国放送・長谷川努アナウンサーの胸のうちに全3回で迫る最終回です。
還暦の再チャレンジ
放送席を離れたのは50歳台。動体視力に基づく打球判断は、若かった頃とは違っていた。管理職の比重が高くなり、中継担当は月に1試合程度だ。技術を維持することも、簡単ではなかった。
60歳。また、野球中心の生活に挑む。長時間の資料作成、テレビの野球中継に見入る時間も増えた。
「妻は大変だと思います。ナイターなら、昼食も用意しなきゃいけませんし、午前中は黙々と資料をつけています。『ちょっと車で送って』なんて、言いにくいでしょうしね」(長谷川努アナウンサー)
当然、最も重圧を背負うのは本人である。
「昔は、中継前に眠れないことがありました。それがいつの間にか、テンションが上がらなくなり、すっかり眠れるようになりました。気持ちでやっていくタイプなのに、そこにひと苦労することもありました。そう考えると、今は楽しいし、怖さもあります」
怖さ6割、ワクワク4割。だからこそ感じるやりがい
怖さ6割、ワクワク4割。
一見すると微妙なバランスに、長谷川はやりがいを感じる。
「何でこの現場に戻りたいと思ったかといえば、実況が終わった後の充実感。そこに向かう作業。眠れない夜。夜を徹してイメージを繰り返し、思いもしなかった言葉が口から飛び出す快感。あの時の感覚の1割でもいいから味わいたいです。最後に、自分が楽しいと思ったことを、もう一回やりたいです。ダメと言われればやめなきゃいけませんが、聴く人のため、自分のためにやってみたいです」
果実が欲しいのではない。果実が実る季節を過ごしたいのである。
「胴上げ実況をしていないのが心残り」
8年前、そう話した男が、マイクの前に帰ってくる。
「究極的に胴上げは喋ってみたいですが、そこまでは・・・」
ただ、そう話す本人が、「スポーツの現場は何が起こるかわからない」ことを、一番知っているはずである。
緊張の再デビューは、今月18日、広島対DeNA戦だ。
▽ 長谷川 努(はせがわ・つとむ)
1965年9月2日生まれ。1989年、中国放送に入社。現在は、RCCラジオで毎週日曜日あさ6時30分~『長谷川努の音楽大好き』(土曜夕方4時再放送)や日曜午後1時15分~『野球の時間だ!最速Veryカープ』に出演中。趣味はキャンプ、レコード鑑賞

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