がんを患った子どもの治療に、VR=仮想現実のゲームが一役買う、そんな時代が始まりそうです。広島大学病院で7日に公開されました。

広島大学病院は、小児がん治療の中四国唯一の拠点病院です。漫画「はたらく細胞」の出版元である「講談社」などの協力を得て、3年前から、日本で初めての小児がん治療用VRソフトの開発を進めてきました。

「はたらく細胞VR」では、プレイヤーは物語の主人公となって、漫画のキャラクターと一緒に、身体の中のがん細胞と闘います。

がん細胞をやっつける! VRで闘う意味は?

「白血球」の声(声優:前野智昭さん)
「まずいな。がん細胞か。すでに広まってしまっていたのか」
まだ字が読めない幼い子どもにもわかるように、アニメと同じ声優の声で物語が進行します。

広島大学病院小児外科 佐伯勇准教授
「小児がんの子どもたちっていうのは、よくわからない中で、非常にきつい抗がん剤を(点滴で)入れながら、何度もこの抗がん剤を入れると吐く、そういった体験をするとですね、抗がん剤がまだ入りきる前から、もう嘔吐反射が出てくるような子どもとかがいる」

全国で毎年2000人以上が小児がんを発症しています。がん細胞を完全に死滅させて長く生きていくために、小児がんは根治を目的としていて、大人よりも強い治療が必要になります。痛みや吐き気などの副作用を薬で抑えきれず、治療を拒否する子どもも少なくないと言います。

「はたらく細胞VR」に期待すること

広島大学学術・社会連携支援部 檜山英三上席特任学術研究員
「この治療をすると吐き気が苦しい、体がだるくなるので嫌だと言って治療を拒否する子が非常に多かったんですよ。ある意味でその治療がきちっとできない子がたくさんいたということがあるんです。子どもに、治療に積極的に、点滴してがん細胞をやっつけたい、というような気持ちを持たせることは非常に重要なことで、それで治療成績を上げるということは十分期待できるので、これは非常に有用な手段でないかと思っています」

理解して治療に臨むことは、モチベーションを上げるだけでなく副作用の薬も少なくて済む、ということにつながります。また、小児医療では、VRが痛みや不安を軽減することが実証済みだそうです。

広島大学病院では、「はたらく細胞VR」で子どもたちが治療の意味を理解できれば、モチベーションアップや副作用の抑制につながると期待していて、今後、臨床研究で、心理的、身体的にどんな影響を及ぼしたかを調べるということです。