核兵器禁止条約の発効から22日で5年となるのに合わせ、被爆地の広島・長崎両市長が共同アピールを発表しました。「核兵器を含む軍拡競争の激化」を憂慮し、条約への署名・批准を求めています。

これは、世界166国の8560都市が加盟する(1日時点)平和首長会議を代表し、広島市の松井一実市長(同会議会長)と長崎市の鈴木史朗市長(副会長)が発表したものです。

共同アピールで両市長は「核兵器を保有する大国間での領土や経済を巡っての勢力争いが激化し、核軍縮・廃絶に向けた動きも頓挫している」と指摘。

また、米ロ間の唯一の核軍縮・軍備管理の条約である『新START条約』が2月に期限を迎えることに触れ、「世界各地で核兵器をはじめとした軍拡競争が激化する事態を深く憂慮している」との認識を示しました。

その上で、22日で発効から5年の節目を迎える核兵器禁止条約について「被爆者の『こんな思いを他の誰にもさせてはならない』という願いを原動力として成立した、核兵器の開発・実験・使用・威嚇などを容認しない強力な国際規範であり、憂鬱な国際情勢の中の希望の光だ」と主張。

「全ての国が、核兵器による壊滅的で非人道的な結末を認識し、条約に署名・批准するよう要請する」と訴えています。

この共同アピールは、国連のグテーレス事務総長や各国政府代表部に送付されるということです。

「平和首長会議共同アピール」の全文は以下の通りです。

第二次世界大戦の終結から、そして人類史上初めて広島と長崎に原子爆弾が投下されてから80年という大きな節目の年の2025年が終わり、新たに2026年がスタートしました。昨年、平和首長会議は様々な平和の取組を行い、特に8月には長崎市において第11回平和首長会議被爆80周年記念総会を開催し、世界各国の加盟都市と議論を重ね、核兵器のない世界の実現に向けて決意を新たにしたところです。

しかし、現在、核兵器を保有する大国間での領土や経済をめぐっての勢力争いが激化することにより、世界情勢はますます混迷を深め、国家間の疑心暗鬼は一層強まり、欧州、中東、中南米、アジアの地域情勢の悪化や、多くの戦禍が地域を覆い、何の罪もない多くの一般市民が犠牲となっています。さらに、核兵器の使用をタブーとする考え方が著しく後退する中で、核軍縮や核兵器廃絶に向けた動きも頓挫している状況です。

このような中で、現在米国及びロシア間で締結され、現存する、唯一の核軍縮、軍備管理の条約である新START条約(新戦略兵器削減条約)がこの2月に期限を迎えます。私たちは、世界の約9割の核弾頭を保有する両国政府が同条約の合意に基づく制約を尊重すると共に、率先して核軍縮に取り組むことを強く求めています。同時に、核超大国間での重要な軍備管理の枠組みが失われることにより、世界各地で核兵器を始めとした軍拡競争が激化する事態を深く憂慮しています。

本年1 月22日は、2021年に核兵器禁止条約が発効して5年となる節目です。同条約は、被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という願いを原動力として成立した核兵器の開発、実験、使用、使用の威嚇などを容認しない強力な国際規範であり、現下の憂鬱な国際情勢の中の希望の光です。私たちは、全ての国が核兵器によってもたらされる壊滅的で非人道的な結末を認識し、同条約を署名、批准するよう要請します。

市民の安心安全な生活を守る自治体の首長で構成され、世界166か国・地域の約8600都市が加盟する平和首長会議は、これまで40年以上にわたり、核兵器廃絶のための活動を行ってきました。全ての為政者が、対話による平和的解決に向けた外交努力を尽くし、核兵器のない平和な世界の実現に向けた具体的な行動へ歩みを進めることを求めます。