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「誰かが止めないと際限なく上がる」コメ高騰のなか“5kg3500円”にこだわる広島の農家 「もう1度、生産者と消費者の対話を」

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コメの価格が高止まりしています。しかし少し前まで、生産者消費者双方が納得できる「適正価格」という言葉が話題になっていたのを覚えていますか?広島県庄原市東城町に「適正価格」にこだわるという農園があります。価格は5kg税抜き3500円。そこには、主食のコメが置かれた現状への危機感がありました。

10月26日、庄原市東城町の藤本農園で開かれた収穫感謝祭。普段、この農園のコメを食べている広島や大阪の消費者およそ130人が参加し、稲刈りに汗を流しました。

「高すぎると続かない…」

この農園ではアイガモ農法など安心安全なコメづくりを売りに37年前から、産地直送に取り組んでいます。その一般的な商品が減農薬・特別栽培米です。

藤本聡代表
「3500円、5キロがですね。送料とか消費税入れてくと、また値段変わって来るんですが」

広島市内の消費者へは宅配や米穀店などを通して販売、消費者の購入価格は4000円台前半から半ばということです。

藤本聡代表
「高いに越したことはないんですけど、あの高すぎると続かなくなってしまう」

以前はスーパーのコメより高かったが…

ちなみに以前はスーパーのコメより高いコメでした。去年の“コメ騒動”を機に価格が逆転しました。

しかし、農園の藤本代表はそのことより主食のコメが置かれた現状に強い危機感を持っています。

藤本聡代表
「みなさんの心配事でありましょうおコメの値段。今、一番危惧しているのは生産者と消費者の声がお互い届いてないなと」

それが「適正価格」の議論です。

「適正価格はいくらか」藤本さんと答えは

8月初め生産者・消費者双方が参加して廿日市市で「お米サミット」が開かれました。テーマの一つが「適正価格」でした。

会場から「おコメ適正価格はいくらなのか」という質問に藤本さんは、こう答えました。

「今、出している昨年のおコメ5kgがだいたい3500円です。うちとしてはそれぐらいの金額が最低限ないと売り上げがすごくガッと落ちる」

「適正価格」とは生産者がコメ作りを続けられ、消費者も買うことができる価格のことです。

しかし、新米の収穫が始まるとJAと民間業者が激しい集荷競争を展開、価格は去年以上に高騰し「適正価格」は話題にさえならなくなりました。

「誰かが止めないと際限なく上がっていく…」

コメの価格が高騰していく現状に、藤本さんは…。

藤本聡代表
「誰かが止めないと際限なく上がってしまう。誰の口にも入れない。じゃあ外国に頼りましょう。外国の外米に門戸を開いてしまうのが一番やってはいけないこと。もう一度、消費者と生産者が膝をつき合わせて、『この金額なら買えますか』『この金額では生産できない』っていう話し合いをもう1回持たないといけないところにきている」

藤本農園では37ヘクタールの田んぼでコメを栽培。社長以下、従業員9人の賃金や肥料・農薬代、機械代、アイガモ農法の費用などを賄っています。

実は、5kg3500円はもともと「税込み」でした。ところが収穫期を迎えた先月はほとんど雨の日で刈り取ったモミを乾かす燃料代が相当な額になりやむなく「税抜き」にしたということです。

「皆さんの笑顔が…」

10月に農園で開かれた収穫感謝祭には、収穫体験もありました。コメ作りにかかるコストを少しでも感じてもらう狙いがありました。

参加者
「適正価格が分からなくて。きょう体験をさせてもらって、こんなに大変なんだなというのが身にしみた」

昼食には、農園自慢のコメを使ったむすびなどが振る舞われました。

藤本聡代表
「皆さんの食べてくれている笑顔を見ることで、我々も気を引き締めて手が抜けないなという風に思いますし、1年間暑い中でも戦うことができる」

この日、藤本さんに国の農政局の職員が声をかけました。来年春、食料の価格に関する法律が施行されるのを前に「適正価格」について広島市内で勉強会を開くというのです。

藤本聡代表
「この会を通して消費者への食育をしてきた。もっと輪を広げて、価格に対する食育というものに結びつけることができれば」

来年は、藤本さんにとって忙しい年になるかもしれません。

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