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9日投開票の広島県知事選を前に、県の課題をお伝えする「広島の声」。今回は「中山間地域と公共交通」を考えます。夜間の公共交通がほとんどない庄原市ではじまった、一般ドライバーが乗客を送り届ける事業を取材しました。
人口およそ3万人、広島県北東部の庄原市の課題は「夜の交通空白」。一部区間が存廃問題に揺れる芸備線は、備後落合方面は午後6時1分、三次方面も午後8時すぎには、備後庄原駅からの最終列車が発車します。庄原市内を走る路線バスも、大半の路線は午後8時までに運行を終え、時刻表や路線にとらわれないタクシーも、去年5月以降は営業時間が限定されています。
庄原商工会議所 佐々木 満 会頭
「夜の飲食店の皆様が結構悲鳴を上げていらっしゃって、家族の方が迎えに来られるならいいが、必然的に飲みに出る機会が減ってきますよね」
お酒を飲んだあとの移動手段がなくなり、去年の庄原商工会議所などの調査では、庄原市の37%の飲食店の売り上げや客足に影響が出ていました。
そこで、去年の秋、庄原商工会議所などが主体の事務局は、夜間の移動を支えるオンデマンドバスの実証運行を実施。得られたデータをもとに、収益性や運行形態を研究し、ことし、ライドシェア「よるくる」にリニューアルして、11月4日から再び実証運行が始まりました。
ライドシェアとは、一般ドライバーが自家用車などを使って有料で乗客を送迎するサービスです。日本では、去年からタクシー運転手が不足している地域や時間帯に限って、運行事業者の管理の下、営業が認められています。
庄原市でおこなわれるライドシェアは、バスやタクシー事業を営む備北交通が、一般ドライバーのアルコールチェックや運転・接遇の研修など、運行管理を担います。運賃はタクシーの9割ほど、タクシーが走っていない月曜から木曜の夜に限り、電話やアプリで予約を受け付け、営業します。
実際に運転するのは、市や商工会議所の職員のほか、応募のあった市民などおよそ30人。庄原市の副市長もハンドルを握ります。
庄原市 木村 洋 副市長
「公共交通のドライバーが減っていく中で、皆で支え合いながら地域の交通を確保していくことが、これからすごく大事になってくると思っています。私が少しでもお役に立てることがないかなと思ったときに、自らドライバーをさせていただくという決断に至りました」
国の補助金を活用して導入した車両を使い、地域全体で夜間の移動を支えます。4日の運行初日。はじめての乗客は、飲み会帰りの2人組でした。
乗客
「今までは気合いで歩いて帰るか、お酒を飲まずに誰か犠牲になってもらうか、という状態でした。飲めない番(ハンドルキーパー)になると、飲めないなか夜1時2時まで付き合うのはなかなかしんどいですね」
2人を家まで送り届けるのは、普段は庄原市議会議員を務める国利知史さんです。
庄原市議会議員 国利 知史さん
「去年、利用させてもらって非常にありがたかったなというのがありますし、ドライバー不足というのも聞いていましたので、是非力になれたらと思って、(去年)ベロンベロンに酔っていた僕が、今回ドライバーやっているという状態です」
国利さんは、去年のオンデマンドバスの実証運行を飲み会の帰りに利用。夜の移動手段の重要性をあらためて感じ、ことしのライドシェアの運転手募集に手を挙げました。
およそ10分の道のりを送り届け、家の前に到着しました。
乗客
「運転は上手でしたね。安心して乗ってられるような感じでした。普通のタクシーと特に変わりも無かったです。ぜひ毎回使わせていただき、忘年会と新年会ではしっかり飲もうと思います」
庄原市議会議員 国利 知史さん
「知らない方をお金を貰って乗せることは責任も伴いますし、慣れない部分もあるので、回数を重ねて徐々に慣れていきたいと思います」
実証運行は、忘年会・新年会シーズンを挟んだ来年1月15日まで。事務局は今後、この取り組みを本格運行に移したい考えですが、行政の支援なしには成立しないと話します。
庄原商工会議所 佐々木 満 会頭
「私どもによく似た課題を抱えているところは全国にごまんとあると思うんですね。こういう中山間地こそ、新たな取り組みというか、規制緩和をしたライドシェアなり、色んな新しい交通体系が求められるんだろうと思います」
佐々木会頭は新たな知事に、中山間地域に目を向けた支援を期待しています。
庄原商工会議所 佐々木 満 会頭
「民間の力だけでなんとかと思いますけれど、現実的には行政の手厚い支援というものが本当に大事だと思ってますから、新しい知事さんにはその応援をしっかりしていただきたいと思っています」
なお、9日の知事選に立候補している3人は、中山間地域に関する公約などでは、次のように訴えています。※届け出順
◆横田 美香 氏
「都市機能の強化と、自然・農村地域との近接性を活かした暮らしやすい地域」
◆大山 宏 氏
「広島県内23市町の全ての役所に『すぐやる課』を設置」
◆猪原 真弓 氏
「市街地優先・災害対策軽視から、どの地域も取り残さない県政へ」































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