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「出てきた時点で怪しいと思って」 闇バイトに引き込む通信アプリの危険 ITジャーナリスト三上洋さんに聞く 強盗事件の加害者にならないために

相次ぐ「闇バイト強盗」の実態や、対策です。
今回は、多くの事件で実行役と指示役の連絡手段として使われる通信アプリの実態を探ります。

2年前の12月、広島市西区の店舗兼住宅で、男性が殴られ現金が奪われるなどした事件…。

実行役のリーダーとみられる男に、無期懲役が言い渡されました。

広島に移送される永田陸人被告(2023年8月)

裁判では、男ら実行役が、指示役からアプリで細かい指図を受けていたことが明らかになりました。

永田陸人被告
「テレグラムの通話をスピーカーにして、全員に聞こえる状態にして指示がありました。殴ったり蹴ったりしないと報酬がありません。ただし、殺してはいけません」と。

いまも首都圏で相次ぐ強盗事件でも、その多くで「秘匿性の高いメッセージアプリ」が使用されているとみられています。

では、「秘匿性の高いメッセージアプリ」とはどのようなものなのでしょうか?

ITジャーナリストの三上洋さんに聞きました。

ITジャーナリスト 三上 洋さん

ITジャーナリスト 三上 洋さん
「近年の闇バイトの事件ではですね、テレグラムやシグナルと呼ばれるメッセンジャーのアプリが使われております。」
「これらの秘匿性の高いメッセージアプリはですね本来は自由やプライバシーを守るために作られたものですが、身元を隠せるということが、犯罪グループの悪用に繋がっています。」

闇バイトで使われるテレグラムやシグナル。これらのアプリについて、街の人はどんなイメージを持っているのでしょうか?

(テレグラムやシグナルってアプリ聞いた事ありますか?)
街の人A・B「ないです」

街の人C・D「ちょっとないですね」

街の人E「知らないです」
街の人F「テレグラムの方は名前だけ」

街の人G「聞いたことないです」
街の人H「聞いたことはあります」

(どんなイメージですか?)
街の人H「ちょっと怪しいというか、犯罪に使われてたりするっていう(イメージです)」

広島市の中心部で10~30代の男女70人以上に聞いて、テレグラムやシグナルを知っていたのはわずか7人。

アプリを「使ったことがある」という人はいませんでした。

一般的ではないこれらのアプリですが、犯罪グループが積極的に使っているのには、3つの理由があると三上さんはいいます。

「テレグラム」と「シグナル」

ITジャーナリスト 三上 洋さん
「一つは、秘匿性が高いということです。ユーザー間同士が暗号化されますので、たとえ運営会社であっても、中身を見る事ができません。」
「二つ目は、情報やり取りを消すことができるということです。例えば設定すると、相手が開いてから10秒後に消えるといった機能もあるんです。」
「三つ目の理由は、情報開示にあまり積極的ではないということです。海外のものであるためにですね、犯罪ではなかなか情報開示で警察の捜査に応じてくれないということがあるようです。」

誰もが加害者になってしまう闇バイト…。
忍び寄る魔の手から身を守るためにはどうすればいいのでしょうか?

青山アナ
取材した佐藤記者です。

佐藤 勇希記者
テレグラムとシグナル、どちらの海外のアプリですが、基本的な使い方はLINEと似ています。

1対1やグループのやり取りができて、音声通話もできるというものです。

では、なぜ犯罪グループが積極的にこれらを使うのか。

三上さんの解説にもありましたが、犯罪グループにとって特に都合の良い特徴が2つあるようです。

▼ひとつが、「メッセージの自動消去機能」です。

これは、もし実行役が警察に捕まった場合でも、やり取りを消してしまうことで指示役までたどりつけなくする目的で使われています。

▼もうひとつが、「情報開示にあまり積極的ではない」ということです。

テレグラムもシグナルも海外の会社なので、日本からの情報開示請求にあまり積極的ではありません。

中根アナ
では闇バイトに引き込まれないためにはどうすればいいですか?

佐藤 勇希記者
重要なことは「テレグラムやシグナルなどのアプリが出てきた時点で怪しいと思うこと」です。

闇バイトはXやインスタグラムなどメジャーなSNSでのやり取りからこれらのアプリに誘導してきます。

最近ではSNSだけでなく、フリーペーパーや大手求人サイトなどから誘導する例もあるようです。

三上さんは、今の日本でこれらのアプリに誘導されて「仕事」と言われたら、闇バイトや犯罪の勧誘だと考えて、すぐに退出してほしいと話していました。

自分の身を守るためにも、犯罪グループの手口やツールを知ることが重要です。

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