福山市内の自宅で、当時2歳の娘に睡眠薬を飲ませたとして、暴行の罪に問われた無職の母親(30)の裁判が8日、広島地裁福山支部で開かれました。検察側は懲役6ヶ月を求刑し、即日結審しました。
起訴状などによりますと、母親は8月8日午前4時ごろから4時半ごろまでの間、子どもなどの服用に安全性が確立されていない「ゾルピデム」を含む睡眠薬を入れたジュースを飲ませたとされています。
初公判で、母親は「間違いない」と起訴内容を認めました。
検察は冒頭陳述で、「以前から寝そうにない娘を寝させるために睡眠薬入りのジュースを飲ませていた」とし、娘が寝た後には酒を飲んだり、友人と電話するなどしていたと指摘しました。
県東部こども家庭センター
県こども家庭課によりますと、「子どもに睡眠薬を飲ませているのではないか」という連絡を受けた県東部こども家庭センターが8月8日に自宅を訪問しました。
その際、母親が睡眠薬を飲ませたことを認めたため、娘を保護。この際、意識障害を起すなどして病院へ緊急搬送されていました。
この日の裁判では、女の夫が証人として出廷しました。母親から睡眠薬を飲ましたことを聞いた際には「あっそうなん」「いけんよ」と伝えたといいます。
しかし一方で、「睡眠薬が危険とは思わなかった。かぜ薬にも睡眠薬があると聞いていたので」とも述べました。
広島地裁福山支部
裁判では、動機についても明らかになりました。当時、母親は午前10時から午後2時までのアルバイトに就いたといいます。
しかしーー。
「娘が夜間に寝ないことで寝不足のまま仕事をし、ミスが多く、怒られたりしていた」
「次の日も仕事があり、夜中に寝てくれないのは困る」
母親は、自身に処方されている睡眠薬の半錠をジュースに入れ寝させたと述べました。
「危険とは思わなかった。私も半錠を飲み、気持ち悪くなるが、その時は子どものことを思わず、ただ眠って欲しかった」
広島地裁福山支部
睡眠薬入りジュースを飲んだ娘は14時間も寝たといいます。「寝過ぎでまずいと思った」との認識があったものの、この後2回、睡眠薬の量を減らして飲ませたといいます。
「量が多すぎたから減らせば良いとの思いだった。『寝ていないね』と夫に言われるのが責められている感じだった」
母親は声を震わせながら話しました。
検察側は論告で「短絡的かつ身勝手な犯行動機に酌量の余地はない」として、懲役6ヶ月を求刑。弁護側は、女が真摯に反省していることから執行猶予判決を求めました。
判決は11月26日に言い渡されます。
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