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東洋額装スペシャル「大妻コタカの生涯」 第8話 実技実学の精神

今から140年前、広島県の世羅町に生まれた大妻コタカ。
明治・大正・昭和の時代に立ち向かい、
ただ一筋に女子教育の道を切り拓いた、その生涯をたどります。

第8話 実技実学の精神

新婚生活を始めた東京の自宅で、
ご近所の娘さんに裁縫と手芸を教えることから始まった、
コタカさんの塾は評判を呼びました。

「先生の教え方がとっても親切」
「学んだことがすぐに役立つ」
そんな評判が瞬く間に広まって、生徒の数がふくれ上がったのです。

この人気をもたらしたのは、「教育には実技が欠かせない」という、
コタカさんの信念だったかもしれません。
その根底には、社会のどんな出来事にも対応できるような実力を養う、
「実学こそが真の学問だ」という強い思いがありました。
この「実技実学」の精神は、今も大妻学院に受け継がれています。

生徒たちを自分の娘のように愛したコタカさんが、
「実技実学」を大切にしたのは、
当時の女学校教育に足りないものがあると感じていたからです。
家庭生活に役立つことを実践的に教える女学校が少なく、
ともすれば「頭でっかちになりがちだ」と言われることがありました。
そんな世間の声に対して、実技に力を入れた学校を自らつくり、
裁縫や手芸を通して人間形成ができることを伝えたのです。

ひと針ひと針積み上げていく手芸は、
努力がはっきりとカタチになって現れるため、
知らず知らずのうちに、手抜きをしない勤労の習慣がつきます。
自分で苦心した経験があれば、他人がつくったものに対しても、
心から敬意を払い、感謝することができる・・・
とコタカさんは考えていました。

いつでも、どんな時でも、実践の人だったコタカさんは、
こんな言葉も残しています。

「社会には、口先ばかりの物知りが多くて困ります。
 そんな人ほど、自分は何もしないから、
 せめて口だけはと、やかましく言わざるを得なくなります。
 どうか皆さまは、口の人よりも手の人になってください。
 やかまし屋にならないで、静かな実行家になってください」

令和の時代になった今でも、多くの人の心に響く言葉ではないでしょうか。

世羅町の大先輩、大妻コタカさんの物語はいかがでしたか。
つづきは、また来週。
ごきげんよう。さいねい龍二でした。

▶番組ホームページはこちらをクリック「大妻コタカの生涯」を聞くこともできます。

この企画は、世羅町合併20周年と、世羅町出身の教育者で女性リーダーの草分け的存在・大妻コタカの生誕140年を機に、同氏の生涯を辿るオーディオコンテンツを制作、RCCラジオでシリーズ企画として放送するものです。

■ナレーター さいねい龍二
■ライター 角田雅子
■企画 奥土順二
■ディレクター・音効 石塚充
■プロデューサー 増田み生久

■協力 世羅町、大妻コタカ記念会、大妻女子大学
■写真提供 大妻コタカ記念会

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