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東洋額装スペシャル「大妻コタカの生涯」 第6話 運命の出会いは突然

今から140年前、広島県の世羅町に生まれた大妻コタカ。
明治・大正・昭和の時代に立ち向かい、
ただ一筋に女子教育の道を切り拓いた、その生涯をたどります。

第6話 運命の出会いは突然

明治40年、コタカさんは鎌倉尋常高等小学校の教員になりました。
ふるさとの世羅から上京して、5年目のことです。

ある日、東京に住む従兄から、
「今度の日曜日、自分の写真を持って我が家に来なさい」
という手紙が届きました。
わけが分からないまま家を訪ねると、そこには先客があり、
その男性を初めて見たときの印象を、コタカさんはこう語っています。
「がっちりした立派な体格で、
 陽やけした顔にきりっと結ばれた口元が、
 見るからに怖い感じの人でした」

従兄に写真を渡して帰ろうとすると、
席につくよう促され、飲めないお酒をすすめられました。
「まねだけでいいから」と言われ、
渡された盃に仕方なく口をつけると・・・
「簡単ですが、これをもって三三九度の盃といたします」

信じられないような話ですが、何も知らされずに顔を合わせた相手と、
その日のうちに結婚することになったのです。

突然のことに驚いたコタカさんは、
よたよたと台所に下がると、泣きくずれてしまいました。
その姿を見た従兄は、
「結婚というのは宝くじを引くようなものだから、
 知らぬ者同士でも心を合わせれば、きっとうまくいくよ」と言い、
コタカさんは、なかばあきらめの気持ちで引き受けたのです。

お相手の名前は、大妻良馬(おおつま りょうま)。
日露戦争に従軍したのち、退役して宮内省に勤めている役人でした。

帰り道、二人は言葉を交わすこともなく、汽車に乗りました。
上野駅へ着くと、ちょうど開催されていた博覧会の会場に向かい、
無言のままひとまわりして、近くの蕎麦屋へ。
これが初めての、ささやかな2人きりの食事でした。
コタカさんは、良馬さんのあとをついて行くだけでしたが、
口には出さない優しさを、感じたひとときでもありました。

こうして、コタカさんが22歳、良馬さんが35歳のときに、
二人は晴れて夫婦になったのです。

世羅町の大先輩、大妻コタカさんの物語はいかがでしたか。
つづきは、また来週。
ごきげんよう。さいねい龍二でした。

▶番組ホームページはこちらをクリック「大妻コタカの生涯」を聞くこともできます。

この企画は、世羅町合併20周年と、世羅町出身の教育者で女性リーダーの草分け的存在・大妻コタカの生誕140年を機に、同氏の生涯を辿るオーディオコンテンツを制作、RCCラジオでシリーズ企画として放送するものです。

■ナレーター さいねい龍二
■ライター 角田雅子
■企画 奥土順二
■ディレクター・音効 石塚充
■プロデューサー 増田み生久

■協力 世羅町、大妻コタカ記念会、大妻女子大学
■写真提供 大妻コタカ記念会

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