広島の名産、カキの水揚げは、例年より3週間延期となりました。猛暑の影響で、水温が大幅に高かったことが影響しています。
創業300年以上、廿日市市の宮島口でカキを養殖している島田水産です。
RCCウェザーセンター 末川徹気象予報士
「午前6時半です。何かを着こんでいないと、非常に冷える朝となりました。船が出発して、カキ筏へ向かいます」
従業員が筏の上に乗り、水揚げの準備です。長さ約10メートルのロープには、数えきれないほどのカキがついています。海の中から次々と引き上げられ、船に移されました。
今シーズンは、例年より20日遅い水揚げとなりました。
島田水産 島田泰昌代表取締役
「夏に高温が続くと、産卵回数が増える。エネルギーを使うので、へい死が多い。昔と比べると、生産しにくい」
カキは、水温がある程度低くならないと、おいしく育ちません。広島市水産振興センターによりますと、広島湾の海面水温が、7月下旬に30℃を超えました。9月に入っても水温が下がらず、過去30年の平均と比べ、5℃高い日もありました。海の中でも、異例の暑さが続いたのです。
島田水産 島田泰昌 代表取締役
「解禁日なので待ち遠しかった。11月から水揚げする生産者もいて、カキの状況をみながら判断している」
RCCウェザセンター 末川徹気象予報士
「恒例のカキ打ちです。丁寧かつスピーディーに、黙々と作業が進んでいます」
2年半、瀬戸内の海で大事に育てられたカキ…、水揚げが遅れた分、身の入りは、例年と変わらない状態だということです。
島田水産 島田泰昌 代表取締役
「生産者は『私のカキが一番』との思いで作っている。たくさんカキを食べてもらって、一番おいしい場所を探してほしい」
生産者が足並みを揃え水揚げを遅らせたのは、海水温が高いほか、カキ殻の発生を抑える狙いです。昨シーズンは、約16.8万立方メートル。小学校の25メートルプールに換算すると、約460杯です。カキ殻はほぼ100%再利用されるが、最近は「余る」傾向になっています。
広島県内では、2020年以降、鳥インフルエンザが毎年、報告されています。カキ殻を飼料としていたニワトリの数が激減し、いわゆる「需要と供給のバランス」が崩れています。広島県などは、むき身重量が小さい時期には、かき打ちの週休日を自主設定し、排出を抑えるよう呼びかけています。
一方、カキ殻は海にまくことで、海底のヘドロを抑える浄化する効果もあります。カキ殻を減らす抜本的な対策について、県や生産者などの試行錯誤が続きます。
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