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「国スポ」は本当に要らないのか? 財政負担大きいと見直し議論も 過渡期に模索「佐賀・国スポ」まで1か月

1946年からの歴史がある「国民体育大会(国体)」―。ことしからは「国民スポーツ大会(国スポ)」に名称変更され、新たなスタートを切ります。

これまでスポーツ施設やインフラ整備、さらには競技力の向上に貢献してきましたが、一方で開催県の費用面の負担などから8月、全国知事会は、この大会についてあり方の見直しなどを提言しました。開幕まで1か月、国スポは本当に必要ないのか? この機会に考えます。

坂上俊次 アナウンサー
あらためて「国体」と言った方がみなさん、ピンとくるかもしれません。国民体育大会は歴史がすごくて、1946年から始まっているんです。地域が勝手にやっているわけではなくて、日本スポーツ協会・文部科学省・開催都道府県の共催で、各都道府県持ち回り方式で行われています。だから国体が来ると体育館ができたりとか、道路ができたりとか…

中根夕希キャスター
あっ。福岡にありました。なじみがありすぎて、国体があるからできた道路って知らないぐらい。

青山高治 キャスター
国体道路っていうの? へえ。

中根夕希キャスター
かなり車通りの多いメインの通りの1つです。

坂上俊次 アナウンサー
福岡だけじゃなくて、福島・群馬・長野・兵庫・和歌山・岡山・鳥取・島根・熊本・沖縄にもあります。

青山高治 キャスター
国体道路が…、へえ。

坂上俊次 アナウンサー
で、この国体(国スポ)の “不要論” みたいなものが出ているんです。日本スポーツ協会が有識者会議(諮問会議)を開きました。青山学院大学陸上部の 原晋 監督、スキージャンプの 原田雅彦 さん、水泳の 田中雅美 さんですね。ほか政財界の方もたくさん集まっていました。全国知事会から見直しを求める声が上がる中、持続可能な大会運営について議論をした模様です。

委員のある方にお話を聞いてみたんですけれども、収益化・簡素化という話も出たんですが、それより前に「そもそも何のためにやっているのか。もう1回、理念をちゃんとした方がいいんじゃないかな」っていう話が出たようです。

この国スポを選手たちはどう見ているのか、チームの現場を取材しています。

ソフトテニス成年男子で出場するNTT西日本が、国スポのユニフォームを着用し、全体練習を行いました。3連覇中のチームにあって、エースの上松選手は、大会に向けての “秘密兵器” に磨きをかけていました。

NTT西日本 ソフトテニス部 上松俊貴 選手
「上からのサービスで速いサーブと、変化量をつけたサーブを使い分けられるようにしていて、これを国スポに向けてどこかいい場面で自分が発揮できればなと思っている技術の1つです」

全国的に珍しく、SNSでもけっこう話題の “魔法のサーブ” 。実は、あるきっかけから生まれたものでした。

NTT西日本 ソフトテニス部 長江光一 選手兼コーチ
「(このサーブは)ぼくがやっていたんです。それを上松選手が “パクって” 、あっちの方が威力がでちゃったので、上松選手の武器になっちゃいました(笑)。ヒントはぼくが年末、埼玉の高校にテニスの講習会に行ったんですけど、そこで1人、ジャンピングサーブをする高校生がいて、『それ、いいな』と思って、おれもやってみるわって」

ここまでの取り組みをするのには理由があります。彼らにとって国スポの存在は極めて大きいからです。

上松俊貴 選手
「国スポ(国体)となると、ほかの競技も同じ国スポのジャージを着てやるっていうのは、本当に広島県、なかなかそうやって全競技が同じウエアーを通してやるっていうのはなかなかないことなので。そういうものを通しても広島県を背負って、いろんな競技が広島県のために戦っている気持ちになります」

NTT西日本 ソフトテニス部 掘晃大 監督
「実業団・日本リーグは、やはり『NTT西日本』という名前で出るんですけど、国スポは『広島県』という看板を背負って県の代表として出るので、やはり特別な思いというか、県のために戦う唯一の大会なので、みんな一丸となって燃えている、燃える大会です」

  ◇  ◇  ◇

坂上俊次 アナウンサー
選手たちにとっては大きな大会です。なぜ全国知事会でこういう議題に挙がるかというと、やはり費用の問題です。負担が大きいです。直近のデータでいいますと、岩手国体100億円とか栃木国体177億円で、ことしあります佐賀の国スポですけれども一般会計予算が105億円組まれていると。けっこう負担が大きいんです。

ただ、出るばかりではなくて、鹿児島国体では600億円の経済効果があったという面も。しかし、やはり負担が大きいと。では、広島の現場の幹部はどう考えているのか、こちらも取材しています。

この日の練習に、広島県スポーツ協会の幹部が激励に訪れました。30年にわたってバレー選手だった経験もある 堂本ひさ美 さん。広島県が去年の鹿児島国体で23位と低迷しただけに来月、開幕の国スポに期待を寄せています。

広島県スポーツ協会 堂本ひさ美 常務理事
「広島県の競技、少年・成年を合わせたチーム、そして、ほかの競技とのチームとして “チーム広島” として戦うことがいいことだと思います。それがジュニアの成長につながるのかなと期待しています」

一方で、見直しの議論も浮上する国スポについて競技力向上の面での意義を強調します。

堂本ひさ美 常務理事
「議論はたくさんしていただきたいですね。今までやってきたいいこともありますし、継承していかなきゃいけないこと、それとあとは今からの時代に合った、より精度の高い国民スポーツ大会になっていただけるんじゃないかなというふうに期待はしています」

また、選手時代から国体を沸かせた、ハンドボール界のレジェンドである 中山剛 さんも過渡期の大会にエールを送ります。

イズミメイプルレッズ 中山剛 GM
「やはり国民に対してスポーツのトップの選手がいいプレーを。つい、このあいだ、オリンピックでみなさんがすごいものを見せてくれましたけど、それに次ぐ、国内でのいろんな競技が集って、その一番をがんばって獲りにいく。そういう部分っていうのは見ていて、みなさんに応援もしていただけるし、逆にがんばっているところを見せて感動していただけるような、そういうものだと思うので、ぜひ、これからも長らく続いてほしいなと思います」

  ◇  ◇  ◇

坂上俊次 アナウンサー
県によって温度感も違うんです。正直、メディアの中で話になるのは、広島はプロ野球もあって、Jリーグもあって、いろいろあるじゃないですか。一方でそうじゃない県だったら、もうちょっと熱が高いっていう…

青山高治 キャスター
なるほどね。

坂上俊次 アナウンサー
47都道府県が、どう考えるかなんですが、持ち出しがけっこうあります。議論は進んでいるんですが、国スポ開催を1か月後に控える佐賀県が、先んじて挑戦する、攻めるんです。

まず、これまでけっこうセレモニー的だった閉会式に光と音の演出。アーティストも参加するというウワサもあります。これまで競技者優先だったんですけど、今回、ナイター開催を導入。動画配信も増やします。

おもしろいのが、大会を地域づくりにつなげるということ。国体をゴールじゃなくて、する人・見る人・支える人を増やすことによって県の人口増加とか地方の創生につなげていこうという動きもあるようです。

今、過渡期なので、このあと、どうなるか注目したいと思います。

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