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「お父さんカッコよかった」一度は引退も再び舞台へ…“空中ブランコ”ベテラン団員の決意 サーカスを続ける理由は

広島では3年ぶりに木下大サーカスが開催されています。この広島公演に、特別な思いを持つ団員に密着しました

木下サーカスの華、空中ブランコショー。その中でも最高難度の技「目隠し飛行」を決めるのは、サーカス団員歴24年の服部健太さん(45)です

木下サーカス 服部健太さん
「脇にバーを挟んで帰るのが、いい帰りかた。体のどこかにあたれば反応する感じ。(空中ブランコは)恐怖を楽しめるくらいの感じがいい」

広島公演開始10日前、テントの設営が団員総出で行われていました。重機の操作や電気工事や溶接など、団員がほとんどの作業にあたります。

団員
「(公演は)三か月間ある。強風にも耐えるように」

服部健太さん
「他人任せにできない。自分たちでやる舞台なので、何かトラブルあったときも自分たちで対処できる」

サーカスの技だけでなくテント設営技術もなんなくこなすベテランの服部さん。実は、サーカスを一度引退しています。

もう一度サーカスへ 妻「1人でも多くの人に感動を伝えてほしい」

服部さんは19歳の時、団員募集をみて入団しました。小さいころから器械体操を習っていたこともあり、入団わずか4か月でデビューしました

服部健太さん
「やりがいあって楽しくて天職だと思いました」

服部さんは家族と一緒に全国の巡業地をまわっていましたが、子どもたちの就学をきっかけに、広島に定住するため引退を決めました。

長男 礼依くん
「(どんなお父さんですか?)かっこいい顔…(お父さんの仕事みたことは?)ない」

服部健太さん
「覚えてないみたい、3歳まで見ていたのにね」

3年前の広島公演中、団員に新型コロナの感染が広がり、期間途中で公演が打ち切り。それと共に、引退しました。

その後、別の仕事につきましたが、悩んだ末1年前にサーカスに復帰しました。現在は単身赴任です

服部健太さん
「転々としてると、どうしてもすぐ転校となって、仲のいい友達とかができないと思うんですよね。そういう面で(定住は)子供たちのためにはいいのかなと思います。離れて暮らすのはちょっと寂しいですけど、妻が一生懸命やってくれているんで、そこは安心して任せている」


「“サーカスが好き”から入って健太さんと結婚したんです。(家族が)しっかり応援して、1人でも多くの人に感動とかを伝えられたらいい。お父さんの代わりとしては頑張らず、帰ってきたらしっかりお父さんの役目を果たしてもらおうと思ってます」

サーカス団員の仕事は技を披露するだけではない!

「本番リハーサルをやります。安全最優先に」。公演がはじまる前日、すべての演目について照明、衣装なども含めた本番さながらのリハーサルが行なわれていました。

サーカス団員の仕事は技を披露するだけではありません。自分が出演する演目以外の時間は、他の団員のサポートや器具の出し入れといった後見にあたります。

服部健太さん
「坂綱ってやつで、これの後見が終わったら、(私は)羽出しに出ないといけない。和妖精をやっている間に着替えて、着替えた状態で片付けを手伝って、すぐ出て、帰ってきたら、次の出番のために、次着替えてって感じになります」

そのほかにも、チケット確認やグッズ販売、観客の誘導から公演ごとの換気や消毒など、休む間はありません。

団員
「服部さん、“くだけ梯子”ですか?お願いします、すいません」

団員は、急な代役にも対応する必要があります

団員
「今日体調が悪くて変わってもらった。『無理してやるよりは(自分が)出るから』と、代わってくださって。(服部さんが)いてくれるだけで安心感がある」

服部健太さん
「(みなさん色んな芸ができるんですね?)そうですね。ほんとに助かります。今日は、たまたまです。誰かケガすると、その芸はなくなってしまう…」

「空中ブランコ」チームで、服部さんは2番目に高い年齢。後輩団員への指導は、若い時の経験を基にしているそうです。

服部健太さん
「自分が若いとき、年齢が上の人の気持ちはわからなかった。年下の子に言ってところで『なんだこいつは、うるさいな』とたぶんなると思う、わからないけど。『助けてほしい』と言ってくれれば、全力で応援してあげたい」

団員
「あの体形を維持するのは、年齢的にも難しい、いつもストイックだと思う(トレーニングするところを見たことないのですが?)影でやってます」

何も話さなくても、服部さんの存在は後輩にとって刺激になっているようです。

服部健太さん
「ひさしぶりにやったら怖かったです。怖いんですブランコ。久しぶりだと余計に。最後の紹介で落ちるやつが怖い」

「お父さんかっこいい」3年ぶりの広島公演スタート

3年ぶりの広島公演。続々と観客が会場に入っていきます。

団員
「ケガ無く頑張っていこう!」

コロナ禍の時に新調した衣装やセットで、新しく磨いた技を団員たちがおしげもなく披露します

服部健太さん
「目の前で生でやってることが今の時代だからこそ価値がある、それを体感してほしいですね」

服部さんは、最後の演目「目隠し飛行」をしっかりときめて、3年ぶりの広島凱旋を果たしました。服部さんは、一度引退したことは、決して無駄ではなかったといいます

服部健太さん
「(サーカスに)戻らせてもらって、改めてみんなの協力を得て働けてることに感謝。ありがたいです。家族みたいな感じ」

服部さんの息子たちにも、お父さんの仕事姿を見せることができたそうです。

長男 礼依くん
「(お父さんどうだった?)カッコよかった」

服部健太さん
「定年まで面倒みてくれるので、木下サーカスが。後輩の指導して育てていければいいな、自分もできる限り舞台に立ち続けていたいと思う」

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