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水をかけ合いながら楽しく踊る ミャンマー伝統の「水かけ祭」 母国では開催難しくなる中 広島に集った人々の思いとは

ゴールデンウィーク(GW)中、いろんなお祭りがありますけど、4月最後の週末に開催されたのは、「水かけまつり」。名前の通り、水をかけ合うお祭りです。

これ、実はミャンマーの伝統的なお祭りなんだそうで…。広島では2023年に続いて2回目の開催でした。“ウワサ” を聞いて、カメラマンがその裏側まで潜入取材してきました。広島の水かけ祭に込められた願い…、伝えます。

広島!ミャンマー水かけ祭… 前夜の集いにカメラマンが行ってみた!

カメラマンの 石原泰鵬 です。遊んでいるのではありません。

これは、ミャンマーの「ティンジャン(水かけ祭)」と呼ばれる伝統行事。1年間の辛かったことや失敗したことを水に流して、また元気にがんばろうという、新年を祝う4月の祭です。

4月27日、広島市安佐南区のとある公園で開催されました。

祭の前日、準備をしているという場所におじゃましました。SNSを通じて県内外から集まったミャンマーの人たちです。

石原泰鵬 カメラマン
「ミンガラーバー(こんばんは)」

ミャンマー人女性
「パパイヤの皮をむいています。あす、パパイヤサラダを作ります。辛いです。日本人にとっては、めちゃ辛いよ」

祭りに並ぶ料理は20種類以上。ニンニクは、いろんな料理に使えるからたっぷり切っておくんだそうです。

1年に1度のビッグイベントへの期待が高まっていました。

ミャンマー人女性
「水かけても濡れちゃうけど、全然、カゼはひかないで、もっと元気になる」
「車とかオートバイに乗って(行く)、友だちと、彼氏がいれば彼氏と」
「人が倒れるくらい(の勢いで水をかける)」

石原泰鵬 カメラマン
「ウソじゃ! それはウソ」

ミャンマー人女性
「ウソじゃないよ、本当よ!」

この場で唯一の日本人、小武さん。去年から始まった広島の水かけ祭りをサポートしています。

ミャンマーを支援する会 小武正教 代表
「えらい力の入れよう。日本人のわたしからすると。盆も正月も何もかにも一緒に年に1回やる。今の日本人のわたしたちの感覚とは、思いの込めようが違うんだってことを去年、知った」

祭の収益は、ミャンマー国内の避難民の支援に使われる、ということでした。

母国ミャンマーが「毎日毎日 心配で」

ミャンマーでは、2021年2月1日、軍がクーデターを起こして以来、空爆などで、大勢の市民が亡くなったり、家を失い避難生活を強いられたりしています。

広島のミャンマー人や支援者たちは、クーデター以降、毎月1日に街頭で支援を呼びかけています。

広島ミャンマーコミュニティー アウン・チー・ミィン代表
「ミャンマーの国民たちは日々、殺されています」

2019年に来日した留学生のアウン・チー・ミィンさんは、水かけ祭の発起人です。母国で楽しめなくなった祭りをここ広島で開催して、ふるさとを助けたいといいます。

広島ミャンマーコミュニティー アウン・チー・ミィン代表
「家族が逮捕されたり。ここの中にもいますけど。みんな家族がミャンマーにいて、自分はここに暮らしていても、安心ではないんです。みんな、毎日毎日、心配で。自分たちにできるだけはしないといけないということで」

♪歌「タジャンモー」
水かけ祭で必ず歌われるという、この歌は、水をかけ合いながら楽しく踊ろうという意味で、ミャンマー人なら誰でも知っているといいます。

広島ミャンマーコミュニティー アウン・チー・ミィン代表
「これ、食べてみて」

― え? いいの?
「いいです」

ー おいしい!
「あしたはもっとおいしい」

広島の水かけ祭の準備は、前日深夜まで続きました。

いよいよ当日… 公園にはミャンマーの香りが充満

祭り当日。わたしたちが到着した午前10時すぎにはすでに準備は万端で、会場にはミャンマーの人たちがあふれていました。

広島に暮らすミャンマー人は1000人ほどです。この日の参加者は日本人を含めておよそ800人ということでした。

前日に準備されていた食材が、次々と参加者の胃袋に収まって行きます。会場中にスパイスの香りが漂って、行ったこともないミャンマーに来たような気分になりました。

参加した日本人
「これとか、なんかミントが入ってたりして、全然、日本食とは違う、おもしろいお味」

ステージでは、不思議なリズムの歌やダンスが次々と披露されました。

舞台の上だけでなく、多くの女性が、民族衣装をまとい、髪には新年を象徴する黄色いパダウの花をつけていました。

この日の盛り上がりは、準備に奔走してきたアウンチーさんにも、驚きだったようです。

広島ミャンマーコミュニティー アウン・チー・ミィン代表
「こんなに人が来るとは思わなかったので、みんなで楽しむことができるように思いますし、そのお金は、ミャンマー国内にいる避難民たちに届けることができるので、一石で二鳥という意味になりますよね?」

最後に出てきた「水」「水」「水」!!!

午後4時…。祭りのフィナーレとなって、ようやく水が用意されました。まだ暑くない気候と、濡れたくない日本の人への配慮だそうです。

情勢の危うい母国を離れて、日々、つらい気持ちでいるというミャンマーの人たちがこの時ばかりは大はしゃぎする姿に、まぶしいエネルギーを感じて、彼らの国をもっと知りたくなりました。

広島ミャンマーコミュニティー アウン・チー・ミィン代表
「がんばろう!」

ミャンマーでは水かけ祭が開催しにくくなっている今、日本では、東京や名古屋・佐賀など各地で開催されています。

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