香川県と徳島県の県境を東西に走る、阿讃(あさん)山脈。
最高峰の竜王山を中心に約100km連なる山々は、トレッキングや縦走登山を楽しむ人たちにも広く親しまれています。
今回は、そんな阿讃山脈の自然に包まれた大人旅にぴったりの上質な宿をご紹介します。
2017年にオープンした『湯山荘 阿讃琴南(ゆざんそう あさんことなみ)』は、香川県仲多度(なかたど)郡に位置する山の中のリゾートです。
緑に溢れた阿讃琴南のコンセプトは、「暮らすように泊まる」こと。訪れる宿泊客は、この湯宿での滞在そのものを目的とする方が少なくないといいます。
おすすめの時期は、山の木々が織りなす鮮やかな色やコントラストが楽しめる春と秋。春には桜が咲き誇り、秋には燃えるように美しい紅葉が迎え入れてくれます。
今回訪れたのは、晴れた秋空が空高く広がる日。建物が美しい里山に包まれるようにして建っています。
本館へと続くこの橋は、非日常への特別な入り口。橋の下を覗くと、讃岐平野、そして瀬戸内海へと続く香川の一級河川『土器川』が流れており、そのせせらぎの音もまた風流を感じさせてくれます。
ロビー横のラウンジには広々としたスペースが用意されており、美しい緑が窓から私たちを出迎えてくれました。
インテリアには、デザイン性の高い囲炉裏やジョージ・ナカシマ(木とともに生きた人・ジョージナカシマの哲学に触れる静謐なひとときを/ジョージナカシマ記念館(香川県高松市))の椅子が採用されており、洗練された上質な空間や落ち着いた雰囲気は、まさに大人旅にぴったりの設え。囲炉裏では、マシュマロを焼いてゆったりと寛ぐこともできるのだとか。
今回宿泊したのは、本館にある露天風呂付の和洋客室。暖かみのある空間が広がる客室と、山景を満喫できる広々としたウッドテラスでゆったり寛ぐことができます。
こうして風景を眺めながらほっと一息していると、不思議とこの時だけは日頃の悩みや心配事が吹き飛んでいきそう。
客室露天風呂から聞こえてくるのは、渾々と流れ出る温泉と自然の音だけ。静寂の中、自然に包まれながら入る自分だけの温泉はまさに極上の一言です。のんびり湯浴みを楽しみ、火照った体をデッキチェアでクールダウンさせたら、また湯船へ……。
専有露天風呂では、誰の目も気にすることなく、自分だけの贅沢なひとときをゆっくりと堪能できます。
客室露天風呂だけでなく、ぜひ足を運んでみてほしいのがこちらの大浴場。
自家源泉の河畔風呂『せせらぎ』では、目下に流れる川や滝の音が楽しめる岩風呂、寝湯や深湯など、多彩な湯浴みを思う存分楽しめます。山峡というロケーションを余すことなく堪能できるこの大浴場は、宿の自慢のひとつで、目の前に広がる緑を眺めながら開放感たっぷりのひとときが満喫できますよ。
離れの別棟『里山ヒュッテ』は、山の斜面を活かした別荘のような客室。その内4室は『ドッグフレンドリールーム』で、ドッグランや愛犬グッズなども完備されているためペットと一緒に宿泊も可能です。ヒュッテ宿泊者にはサウナや岩盤浴チェア付きの貸切露天風呂も用意されており、プライベート感溢れる滞在が叶うのが特徴なんです。
扉を開ければ山の木々が目の前に広がるヒュッテでは、散歩や山歩きも気軽に楽しめそうです。
温泉に癒やされた後は、宿に併設されている『フォレストヒーリング マナスパ』のマッサージで旅の疲れを癒やすのもおすすめです。
今回はリラクゼーションをメインにしたコースをセレクト。セラピストによる丁寧なカウンセリングのもと、身体の状態を伝え、その日の気分に合わせてアロマをチョイスしたら、あとは体を委ねるだけ。優しいマッサージとアロマの香りで、日頃の疲れが一気にほぐれていくのを全身で感じます。
お待ちかねの夕食は、メインダイニング『穀雨』で。
今回いただいたのは、オリーブ地鶏、醤油豆、讃岐さーもん、オリーブ牛など、四国の豊かな食材をふんだんに使用した絶品料理の数々。地産地消にこだわる阿讃琴南では、春は山菜、夏は鮎、秋や冬には猪肉などのジビエ料理…と、里山料理が年中楽しめることが自慢です。
マネージャー・畠山さんの一推しは、『釜炊きの讃岐米コシヒカリ』。
「この地域で大切に育てられたお米を使用していて、どのお客さんにも大変喜ばれている人気の一品なんです」
ふっくらつやっと炊かれたごはんは、思わずおかわりしたくなるほどのおいしさ。
地酒やローカルドリンクの種類も充実しており、地元の味を存分に堪能する至福の時となりました。
四国の恵みに舌鼓を打っていると、外はもうすっかり暗闇の中。
食後は足湯に浸かってみたり、ロビーの暖炉で火がはぜる音を聴きながら読書を楽しんでみたり、囲炉裏ラウンジでお話ししたり。まるでここで暮らしているかのように、思い思いの時間を過ごします。
屋上の『星見テラス』は星を眺めるためだけに用意された場所で、天体観測をご家族やお友達と楽しむことができます。遮るものがなく静かで真っ暗なこのテラスから空を仰ぐと、そこにあるのは満天の星空。星たちに包まれたような感覚になり、ずっと見ていたくなるのは私だけではないはず。
専用のブランケットも用意されているので、寒い時期も安心して楽しむことができるのも嬉しいポイントです。
翌日早起きすると、テラスからは阿讃山脈をたゆたう幻想的な朝靄が望めました。
朝のひんやりした爽やかな空気の中、露天風呂に入って気持ちの良い一日の始まりです。
朝食には、ポトフ風鍋をはじめとした10品が食卓に並べられ、朝から満腹!
郷土料理である『茄子素麺』もあり、最初から最後まで香川の味をしっかり堪能できました。
ロビー横の『セレクトショップ』では、お菓子や雑貨など、香川や徳島のお土産が勢揃い。お気に入りの一品を見つけて、お土産話と一緒に大切な人に送ってみたくなりました。
阿讃琴南は、連なる山々の景色や自然の音と共に、その空間全体を味わい尽くしたい上質な湯宿。静謐で贅沢な滞在が叶う宿として、高い人気を得ていることが体感できた二日間でした。
日常の喧騒から離れ、この里山で過ごすひとときは、あなたにとってもきっと特別なものになるはずです。
湯山荘 阿讃琴南(ゆざんそう あさんことなみ)
住所/香川県仲多度郡まんのう町勝浦1
電話/0877-84-2611
駐車場/あり
https://www.asankotonami.com
※ 大浴場での撮影は特別な許可を得て行っています
瀬戸内Finderフォトライター 山田芽実
▼記事提供元
「瀬戸内Finder(ファインダー)」は、瀬戸内を共有する7県(兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県)の魅力を世界に発信しています。
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