今回は、呉市南部と橋で繋がった島、「倉橋島」に車で向かいます。
広島市内から有料の広島呉道路(クレアライン)に乗り、呉ICで降りてさらに車を走らせること約30分。目の前に、真っ赤なアーチ橋「音戸大橋」が現れます。
その音戸大橋を渡り、その橋の下にある「音戸大橋駐車場」に車を停めて、海岸沿いから一歩踏み込んだ先には、音戸の旧道が延びています。
狭い路地には日本家屋や商店がポツポツと。まるで時間を巻き戻したかのような懐かしい町並みに、わざわざ行きたくなるような素敵なお店があるのです。
1軒目にご紹介するのは、カフェ&ギャラリー『天仁庵』。元々は、創業1882年の老舗の呉服店でした。5代目にあたる、数田祐一さんが2012年に店を継ぎ、カフェ、ギャラリー、服飾、きものを扱う複合ショップにリニューアルしました。
美味しいランチと、古民家の重厚感を生かしたセンスあふれる店のデザインが口コミで話題となり、県内外からたくさんのお客さんが訪れるようになりました。今では音戸といえば必ず名前があがる人気ショップです。
これだけの店舗を当時29歳という若さで創り上げた数田さん。そんな彼を慕って、音戸に移住してきたり、おしゃれなショップをオープンさせる若者たちも少なくないとか。お店はもちろん、数田さんという存在こそが、音戸の顔といえるかもしれません。
店内には服飾や雑貨のほか、祐一さんがセレクトしたお土産物がたくさん置かれています。写真は石見銀山産のノンカフェインの「こおか茶」。天仁庵のランチの時に出されるお茶で、すっと体に染み入る優しい味わいです。
ランチは「プレートランチ(税込1,590円)」「Shunpuランチ(税込1,990円)」と、写真のお肉とデザートをグレードアップした「スペシャルランチ(税込2,750円)」など。
丁寧にとった出汁と地元の素材を使って一品一品手作りされたおかずは体に優しく、滋味深い味わい。
お庭を眺めるゆったりした店内で、音戸という町が醸す長閑な空気とともに、美味しいランチを味わってください。
天仁庵
住所/広島県呉市音戸町引地1-2-2
電話/0823-52-2228
営業時間/10:30~18:00
定休日/木曜日
駐車場/あり
http://tenjinan.jp
天仁庵のある路地の端っこ、音戸駐車場のすぐ横にあるのが、ドライフラワーの専門店『月の森花店』です。
店主の森脇佳世子さんは生花店で働いていたそうですが、ドライフラワーの可愛らしさや扱いやすさに惹かれ、ドライフラワーの専門店を開くことに。子どもの頃から漠然と描いていた「自分の店を持ちたい」という夢を、ここ音戸町で叶えました。
アンティーク雑貨が好きという森脇さん。店内に置かれた足踏みミシンなど、昭和レトロな什器がドライフラワーの世界観とぴったりマッチしています。
ドライフラワーは1本ずつ購入できるものから、リースやスワッグになったものまで様々あります。
ここ音戸でお店を始めたきっかけは、天仁庵の斜め向かいにある雑貨店『anneau(アノー)』にお客として訪れた際に、自分もお店をやりたいという話をしたら、天仁庵の数田さんを紹介され、そのあとは導かれるように開店までこぎつけたそう。
3児のママでもある森脇さん。今は火曜日と金曜日(不定期で土日もオープン)の週2日のみの営業ですが、タイミングが合えば、ぜひ訪れてみてほしいお店の一つです。
月の森花店
住所/広島県呉市音戸町引地1-2-15
営業時間/11:00~15:00
定休日/月・水・木曜日(土日は不定期オープン)
Instagram @kuu_kuu_kuuka
ここ音戸町にギャラリー兼工房『アトリエ壱』を構えるのは、佇まいがとても美しい佐々木しずさん。もともと布団屋さんだったという建物の使い勝手の良さと、創作活動に専念できる音戸という町がとても気に入っているそう。
佐々木さんが作る作品は、スポイド型の専用器具粘土を絞り出して模様を描く「イッチン」という技法を使っているのが特徴。日常づかいの器、小物を中心につくっています。
アトリエ壱のギャラリーにある作品は購入できます。写真はティーポット(15,000円前後/税別 ※1点もののためサイズにより値段が異なります)。鉄瓶を思わせる繊細な文様が印象的です。
海から聞こえるポンポンという船の音に心和ませながら、旅の思い出に好きな器をゆっくり選んでみてはいかがでしょう。
アトリエ壱
住所/広島県呉市音戸町北隠渡1-7-35
電話/080-1558-4340
営業/不定休(来房の際は要連絡)
メール/sizu0701@outlook.jp
https://www.atelierichi.com
※陶芸教室・体験陶芸(予約制)についてはお問い合わせください。
旧国道沿いにある『榎(えのき)酒造』は、明治32年(1899年)創業の老舗蔵元です。
1974年、榎酒造が全国で初めて製造した貴醸酒〈華鳩貴醸酒8年貯蔵〉は、世界最大のワイン品評会IWCのSAKE部門古酒の部で、金賞と、金賞より価値あるトロフィー(賞の名前)を通算9度も受賞した逸品。
店主の真理子さんはフランスでお仕事をしていた経験もあり、フランス語も堪能。凛としてとてもお洒落な女性です。
榎酒造のお酒のラベルもいくつかデザインされたそうで、そんなセンス抜群の真理子さんに美味しいお酒やギフトにぴったりのお酒を選んでもらうのもいいかもしれません。
事前に予約すれば、蔵の中の見学も可能です(ただし、時期によってはできない場合もあります)。私も少しだけ拝見しましたが、100年以上の歴史を感じさせる重厚さと、蔵独特の神聖な空気に感動しました。
音戸に行くなら、ぜひ足を運んでほしい場所の一つです。
榎酒造株式会社
住所/広島県呉市音戸町南隠渡2-1-15
電話/0823-52-1234
営業時間/9:00~19:00(土曜日のみ10:00~18:00)
定休日/日曜日・祝日
https://hanahato.ocnk.net
瀬戸内Finderフォトライター イソナガ アキコ
▼記事提供元
「瀬戸内Finder(ファインダー)」は、瀬戸内を共有する7県(兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県)の魅力を世界に発信しています。
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