RCCアナウンサーの稲垣貴大です。
11月1日に開催された広島県高校駅伝。
私はラジオ中継の「2号車バイクリポーター」として、選手たちのすぐ真横や後方を走りながら、レースの息づかいをお伝えしました。

ラジオには映像がありません。
だからこそ、私がバイクの上で必死に見て、耳を澄ませていたのはタイムや順位だけではありませんでした。
選手たちがどれほどの覚悟で地面を踏みしめていたか、そして沿道からどんな思いが注がれていたか――。
走り抜いたランナーの皆さん、そして一番近くで支え続けてこられたご家族の皆さんに、バイクの上から見えた姿、そして放送の時間内ではどうしても出しきれなかった取材のこぼれ話をお届けしたくて、ペンを執りました。

中継前、各校の選手たちに取材をさせていただく中で、私の心に強く残ったチームがありました。
広島皆実高校の女子チームです。
全5区間のうち、3年生が走るのは3区の河村捺希さんただ一人。
あとの区間を走るのは、すべて2年生たちでした。
その2年生たちが取材で口々に語ってくれたのは、唯一の最上級生である河村先輩への真っ直ぐな想いでした。
2区(4.0975km)を任された松尾怜衣紗さんは、普段は400mハードルを主戦場とする短距離専門の選手です。
「自分は短距離専門なので、2区の4キロは正直長いです。でも、3区の河村さんに少しでも良い形でタスキをつなぐために、頑張って走りたいです。」
さらに、アンカー5区(5km)を託された戸石美月さんも同じく短距離の選手でした。
「自分も普段は短距離で、400mと400mハードルが専門です。大会前日に試走したんですが、距離が長くて、坂もきつかった。でも、河村さんのためにも明日は頑張って走りたいです。」
普段、トラックの1周(400m)を駆け抜けている彼女たちにとって、駅伝の4キロや5キロ、しかも起伏のあるロードコースは、未知の苦しさと恐怖があったはずです。
前日の試走で坂のキツさを肌で感じてなお、彼女たちの口から出たのは「先輩のために走りたい」という言葉でした。
生放送の時間の都合上、中継内ではこの熱い背景をすべて言葉にして伝えることは叶いませんでした。
しかし、歯を食いしばり、必死に前を睨みつけて坂道を踏みしめる彼女たちの姿を見た時、私にはその強い決意が痛いほど伝わってきました。
結果の明暗はあっても、仲間のために、チームのために限界を超えて走ったその姿は、すごく眩しかったです。
バイクの真横で皆さんが見せてくれた一歩一歩の気迫と温かい絆は、ラジオを聴いていた多くの人たちに勇気と感動を届けました。
走ったすべての選手の皆さん、本当にお疲れ様でした。
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