相次ぐ食品の値上げ電気代やガス代などのエネルギー価格の高騰が市民の味、お好み焼き店を直撃しています。あるお好み焼き店の現状を取材しました。

広島市西区の「鉄板酒場 とも コンパーニョ」です。香ばしいソースの香りが漂う店内は地元の人々で賑わっています。しかしその営業の舞台裏では、かつて無いコスト高との戦いが続いています。

鉄板酒場とも 中尾朋子さん
「全部上がっていますね、上がっていないものがないかも…厳しい状況です」

例えばお好み焼きの具材です。欠かせないキャベツは最新の小売り価格では、1キロあたり387円と平年に比べ94%アップ…。さらにねぎや小麦粉などの食材費の上昇は続いています。キャベツは年間契約でしのいでいますが…

鉄板酒場とも 中尾朋子さん
「キャベツが年間契約でも1回値上がったことはあります」

キャベツ以外も軒並み上昇 プロパンガスやソースも

食材だけではありません。プロパンガスは、10立方平方メートルあたりの平均価格でも1万210円となり、中東情勢の影響で6月以降1万円を超える過去最高水準となっているほか、生ビールを注ぐために必要な炭酸ガスの価格も倍になったといいます。

さらに11月2日からは、味の決め手であるオタフクソースの「お好みソース」も値上がりします。オタフクソースはこれまで調達や生産を工夫してコストカットしてきましたが、円安による輸入食材の高騰などで3年5ヶ月ぶりに値上げとなります。

鉄板酒場 とも 中尾朋子さん
「広島ならではのオタフクソースさんはこれまでがんばってこられた。お店にとって開業後初めての値上げなんで仕方ない。お店も頑張るしかない」

今のところお好み焼きの値上げは考えていないそうです。

値上げをせずにどうやって乗り越える?

鉄板酒場 とも 中尾朋子さん
「仕入れ先だったり食材を日々変えて工夫して乗り越えているところ」

このお店を開業したのはおよそ2年3ヶ月前。当初は、お好み焼きが売り上げ中心となる「お昼」の営業も行っていました。しかし光熱費や原材料費が高騰する中で、値上げをせずに営業することが難しくなりました。そこで今年6月から、昼の営業をとりやめ、お酒やサイドメニューも出る夜の営業に集中することにしました。

鉄板酒場 とも 中尾朋子さん
「どうしてもお好み焼きだけだとそれだけで終わってしまう。先にお刺身食べられたり、そしてお肉を食べられたり、最後の締めで、お好み焼き食べれたりっていう3本柱でやっていくといいかなと」

繁華街ではなく住宅地の近くに立地しているが故の決断です。地域の人に値段を維持した手軽な値段でゆっくり食べてもらいたいという思いです。

お客さん「おいしい!これを食べに毎週通っていますからね」

お客さん「なんでもかんでも値上がりしているので、こういうものも値上がりしてもしょうがないのかなと思っていますが、でも値上げせずにがんばっておられるので、私は近所なのでありがたい」

地元のファンに支えられ、原材料高騰の中でも開店以来値段を変えていない「お好み焼き」。肉玉そば850円、この値段は据え置きたいと話します。

鉄板酒場 とも 中尾朋子さん
「(どこまで耐えられそうですか?)どこまで耐えれるんでしょうか。地域の方に支えられているので、極力今まで通りの価格でがんばっていきたい」

ソウルフードの立ち位置が変化していく可能性も…

お好み焼き店の経営を研究している広島経済大学の細井教授は…

広島経済大学細井謙一教授
「物価高が始まったあたりから、じわじわとそういう営業形態変更するというお店増えてきているような気がしますね」

そして今後値上げせざるを得ない状況が続くと、ソウルフードの立ち位置が変わると話しています。

広島経済大学細井謙一教授
「毎日食べるものというよりもですね、何か特別なことがあった時にちょっと食べるものという形に、もしかすると変化していく可能性はあるという気がします」

あらゆるものの価格が上がっていてコストが上昇しています。

値上げ食材まとめ・お好み焼き店はどう変化しているか?

年間300枚お好み焼きを食べる広島経済大学の細井謙一教授によると、物価高の影響でいまお好み焼き店は変化しています。観光客メインのお店と地域のお店では対応の仕方が異なりますが、トレンドとして、営業形態の変更をして利益率の高いお酒やサイドメニューも出す夜の鉄板居酒屋スタイルに切り替えるお店や、ノーマルな「肉玉そば」は据え置いたまま、トッピングを豪華にしたスペシャル系のお好み焼きをメニューの中央に据える工夫をすることで乗り切ろうとしているお店もあります。

「一銭洋食」から始まったお好み焼きもいまや「千円洋食」と表現されるケースも出てきました。しかし値上げをした場合、店の収益や維持を考えれば妥当な価格でも、消費者の財布の紐は固くなります。そのためお店は値段を上げず耐えているところが多いとのことでした。