広島市の高校生が、被爆者の証言をもとに描く「原爆の絵」の制作が、ことしも始まりました。

「原爆の絵」は被爆体験を後世に伝えようと、広島市立基町高校・創造表現コースの生徒が毎年制作しています。今回で20年目を迎えたこの取り組みは、これまでに236点が原爆資料館に寄贈されています。

ことしは、15人の生徒が被爆者8人の体験を描きます。

「天皇陛下万歳」と叫び息絶えた父親 あの日みた光景を絵に

去年に引き続き参加する内藤愼吾さん(87)は今回、被爆で全身をやけどした父親が、息絶える寸前「天皇陛下万歳」と、叫んだ時の様子を絵に残してほしいと伝えました。

内藤愼吾さん
「親父も辛かったんだろうと思うが、一言も弱気なことは言わなかったんですよ。絵を見る人に『戦争は大変だったんだ』と感じて貰いたい」

基町高校2年 福場芽依さん
「人の心のなかを描くような絵は難しいけれど、描いてみたいと思った」

「描いてもらえてうれしい」探していた兄と再会

一方、今回初めて参加した辻靖司さん(84)は3歳のときに被爆。母に背負われながら街を歩き、探していた兄に再会できた瞬間を絵にします。

辻靖司さん
「自分で工夫して作った画像で被爆講話をしているけれど、聴講者にイメージが沸かないところがある。描いてもらえて、とてもうれしい」

基町高校2年 持田惟月さん
「自分が思った恐怖を、絵だからこそ幼い子にも伝えられる。原爆の絵で発信していきたい」

原爆の絵は来年の6月ごろに完成し、証言活動などで活用されます。