熊本地震の発生から2か月が経ちました。地震を引き起こしたとされるのは「活断層」です。活断層は全国各地に分布しています。熊本地震の教訓と足下に潜む地震リスクについて考えます。

7月28日午後4時27分―。熊本県熊本地方でマグニチュード7.1、最大震度7の地震が発生しました。

この地震で38人が犠牲になり、住宅被害は7万棟以上に及んでいます。(26年9月29日現在)

熊本県で最大震度7を観測したのはこの10年間で3回目。まさに復興の道半ばでした。

熊本地震を引き起こした「活断層」 全国に2000以上分布

今回の熊本地震を引き起こしたとされるのは、”日奈久断層帯”と呼ばれる「活断層」です。

「活断層」は数千年から数万年の周期で、過去にくり返し地震を起こしてきた痕跡です。全国に2000以上あるとされています。

日本ではこうした「活断層」の上に街が作られています。

広島大学大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「赤い四角が今回の熊本地震で動いた断層のエリア。断層直上付近の地域で古い建物が非常に被害が大きかったという印象」

活断層の上に広がる街 10年前と共通する住宅被害の特徴

「建築防災学」が専門の広島大学・三浦弘之教授は、熊本の住宅やインフラなどの被害状況を現地で調査しました。

10年前の熊本地震と同様、古い建物の被害が顕著だったといいます。

広島大学大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「古い建物は1階部分に壁が少ない。出入り口や駐車場を作るケースが多い。商店街などでは店が1階にあって壁が少ない構造が多い。そういう建物は1階部分の耐震性が低く1階がぺしゃんこになってしまう」

一方で、新しい住宅の被害は―。

広島大学大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「震度7の揺れであっても耐えられた。2000年以降に建てられた建物は、非常に耐震性が高いと言われている」

高速道路などインフラの地震対策 ”揺れ”の対策はできるが…限界も

今回の熊本地震では高速道路など交通インフラも大きな被害を受けました。これは南九州自動車道を走る車のドライブレコーダーの映像です。

画面が揺れ始めた瞬間、目の前の道路に亀裂が入り、その後も道路が左右に揺れる様子が確認できます。

広島大学大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「”落橋防止装置”が働いたことによって、この橋が落ちずに済んだ」

ハード対策には限界も

1995年の阪神・淡路大震災では、高速道路の高架が倒れ甚大な被害が出ました。この地震をきっかけに「落橋防止装置」の整備が進み、効果を発揮しているといいます。

しかし、ハード対策にも限界があると三浦教授は指摘します。

広島大学大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「この断層が走っている直上に橋の柱がある。その直上で高速道路がずれたという位置関係になる。一般的な建物や橋などは『地震の揺れ』には安全に設計されている。一方で『断層による地形の変化』によって生じる被害は予測が難しい。100%の安全性を確保するのは現状難しい」

中国地方の地震リスク 広島県南西部には危険度最高ランクの活断層も

活断層は中国地方にも複数存在しています。特に「広島県南西部」には密集しているエリアもあります。

「安芸灘断層帯」は今回熊本で地震を起こしたとみられる「日奈久断層帯」と同じく、30年以内の地震発生確率が最高ランクに位置づけられている活断層です。

「岩国ー五日市断層帯」は広島市・廿日市市・大竹市など、まさに私たちが暮らす街の足下に潜む活断層です。

山陽新幹線や山陽道など主要な交通網もある地域

広島大学大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「山陽新幹線・山陽自動車道など主要な交通網がある地域で、断層の直上・近傍に住宅地が広がっている」

三浦教授は今回の熊本地震の被害は、広島県にとって「決して他人事(ひとごと)ではない」と強調します。

広島大学大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「緑の線の山陽自動車道とも交差している。熊本地震と同じように高速道路の寸断、新幹線のトンネルなどで被害が起きると不通になる。西側からの支援が途絶える予測はできる」

三浦教授は熊本地震の「教訓」を、次の地震への備えとして生かしてほしいと話します。

広島大学大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「広島は比較的地震は少ないが活断層があり、動く可能性はゼロではない。それを認識して建物の耐震性見直しや、避難ルートを確認するなど対策を考える必要がある」

「安芸灘断層帯」・「岩国ー五日市断層帯」被害想定 活断層の確認方法は?

広島県独自の活断層地震の被害想定です。

「岩国―五日市断層帯」は街の直下で大きく揺れるタイプの地震です。住宅や交通インフラの甚大な被害が懸念されます。液状化も多数発生するなど、建物被害が多い想定になっています。

「安芸灘断層帯」は海に分布しているため、津波被害も想定されています。死者・建物被害のほとんどが津波によるものだと試算されています。今回熊本で地震を起こしたとみられる「日奈久断層帯」と同じく、30年以内の地震発生確率が最高の”Sランク”に位置づけられています。

こうした活断層の場所は、防災科学技術研究所のウェブサイト、「JーSHIS(ジェイシス)」で確認できます。

地図は拡大できるため、自分の住んでいる地域の活断層リスクも知ることができます。

街の足下に潜む活断層 住宅被害の傾向と対策は?

これは10年前の熊本地震の建物被害です。

最も被害が大きかった益城町では、1981年以前に建てられた住宅の「28.2%」が倒壊。1981年以降は「8.7%」。2000年以降は「2.2%」まで下がっています。建築された年代によって、倒壊の割合に大きく差があることが分かります。

住宅の耐震基準は「1981年」を境に厳しくなっています。広島県の耐震化率は2025年度末時点で、「87.4%」です。

耐震化率は近年伸び悩んでいます。耐震診断を受ける人が少なく、実際に改修工事をする人はさらに少ないという課題があります。

広島県は「古い住宅で耐震性に不安がある場合は、 建築課に相談してほしい」としています。

熊本地震から2か月が経ちました。こうした節目に地震について考えることが次への備えにつながります。