秋の食卓に欠かせない「あの味覚」に、異変が起きています。去年まで回復傾向にあった水揚げが、今年は一転して厳しい状況になる見通しです。記録的な猛暑も影を落とす中、地元の市場や飲食店はどのような対応を迫られているのでしょうか。

「カランカラン」

早朝から活気にあふれる広島市中央卸売市場です。今が旬の魚が次々とセリ落とされていきます。

広島魚市場・鮮魚部 右近浩二 部長
「これタチウオになります。今年6月ぐらいからずっと型の大きいのが中心で上がってきてる、今年は絶好調の感じ。大きいものは刺身、切り身にした状態で塩焼きにしてもらっても美味しいですよね。何でも使い勝手はいいと思います」
「アジです。体高が良くて、目がきれいなのが、かなりあがってきています。活魚のトラックで広島に入荷して、ここの前で魚を締めているので、鮮度がバリバリで、おいしい魚です」

入荷減少で一転…秋の主役「サンマ」に出された不漁予測

しかし、その一方で秋の味覚の代表格であるあの魚をめぐっては、不安の声があがっています。

白山貴浩 記者
「秋の主役と言えば、こちらのサンマなのですが、例年に比べて、入荷が少ないとのことです」

全国さんま棒受網漁業協同組合によりますと全国のサンマの水揚げ量はここ数年増えていて、2025年にはおよそ6万5000トンまで回復していました。しかし、水産庁の今年の予報によりますと、日本近海にやってくるサンマの量は、去年の水準を下回ると見られており、不漁となる予測が出ています。

「大きいサイズは3倍以上」価格高騰と、漁師を直撃する猛暑

広島魚市場・鮮魚部 右近浩二 部長
「前年のほうが大きい。全体的に小ぶりなので…値段が高騰しているのもあるし、脂の乗りも、去年がかなり良かっただけに、それに比べるとっていうのは、ちょっと残念なところとは思ってます。販売するのに難しい年になるだろうなと思うところがある」

今年のサンマの価格については、例年に比べて5割ほど高くなっていて、大きなサイズについては3倍以上するものもあるそうです。さらに関係者を悩ませているのは、サンマの不漁だけではありません。

広島魚市場・鮮魚部 右近浩二 部長
「資材・発泡スチロールの原料もそうですし、燃料代も軒並み上がってますので。で、輪をかけてこの猛暑。漁師が漁にでられないんですよ、体力を奪われるので。2日でたら1日休むとかやらないと、漁師の体力がもたないとの話を聞きますので…ちょっとどうにかならないものかなと」

「仕入れてない」「利益が出ない」飲食店の苦悩

一方、こちらの創作料理店「たけみつ総本家」でも、秋の魚をめぐり苦心の対応が続いていました。

たけみつ総本家・大将 永見武史さん
「(今日サンマありますか?)今日は、サンマ仕入れてないんですけど…身が痩せててウチは今使ってないですね」

以前、仕入れたサンマは大きさも小さく、身の入りがあまり良くなかったそうです。

たけみつ総本家・大将 永見武史さん
「高いのはあります。高いの買ったら利益がでないんで…。(ブリなど)大きな魚も暑さで、僕の見解ですけど、身がだれてる感じがあったので…」

なぜサンマが小さい? 今年の水揚げは「0歳魚が8割」

現在こちらの店では、地元の漁師から仕入れた地魚やタコなどを刺身などで提供しています。

来店客
「去年はおいしいサンマをここで食べさせてもらって、今年も期待するけど、獲れないといったら、食べれないのかとがっかり」
「やっぱりね、時期のものは食べたいですよね。食べれるものなら食べたい」

たけみつ総本家・大将 永見武史さん
「サンマを楽しみにしているお客さんもいますけど、おいしい時期に一番良い状態で召し上がっていただきたいので、それまでは我慢していただいてる状態。他の魚でもおいしいものがいっぱいあるのでそれを楽しんでもらうようにしてる」

なぜこんな異変が起きているのでしょうか?サンマの寿命は、ほぼ2年と言われています。ある調査によると、サンマの1歳魚の割合が前の年を下回っているそう。
スーパーなどに並ぶ1歳魚の割合は、▼去年は59.6%、しかし、▼ことしは17.2%となっている。つまり、ことしは生まれたばかりの0歳魚がおよそ8割を占めているという状況です。

資源量も「過去最少」へ激減…深刻化するサンマの現状

サンマの資源量も減っています。水産研究・教育機構が6月から7月にかけて行った調査によると、ことしのサンマの資源量は前の年から6割減った42.9万トンと予想。これは2003年の調査開始以降、最も少ない数字です。