2月18日に始まった特別国会は、7月25日に会期末を迎え閉会しました。
およそ5か月に及んだ国会に初めて臨んだ新人の衆議院議員は、今どんなことを考えているのでしょうか。広島を地元とする2人の議員に聞きました。

自民党の山本 深(やまもと・しん)議員は、三菱商事社員を経て、祖父が創業した大進本店に勤めた後、財務省に中途入省、その後内閣府に出向しました。2月の衆議院選挙に広島5区から挑戦して初当選しました。

Q:国会議員になる前は官僚として外から国会を見てきたわけですが、議員となって初めての国会が終わりました。この経験をひと言で表すならどんな言葉になりますか?

私の場合は急に選挙に突入したので、ひと言で言えば「激動」です。今年の1月17日の夕方に声がかかって、18日には決断して、19日月曜日には退職して広島ですから。そして、27日には衆議院選挙スタートということで、私の人生はすごい勢いで変化しました。1月まで国会近くの内閣府で働いていた私が2月8日には国会議員になっている。激動ですよね、激動の数か月間でした。

Q:自民党は新人議員向けの勉強会を頻繁に開催していましたが、どんな学びや発見がありましたか?

勉強会は、基本的ながら大事なことを教わったので改めて学ぶ機会になりました。「SNSの投稿に注意しましょう」といった内容は当たり前の話なんですけど、改めて言われると「なるほど」と思う部分もありました。幸い同期の議員がたくさんいて、勉強会などでコミュニケーションを取ることができるので、「今どんなことをしてるの?」とか「辻立ちってどうしてるの?」とか、そういう悩みも相談していました。
あと、自民党は部会とか会議体がいろいろあって、先輩議員と話す機会も多いと思います。私の場合は財務省にいた経験があるので、財務省関連の会合にも結構出させてもらえますが、財務省出身の先輩議員も多いので、直接コミュニケーションを取ることができます。ありがたいですね。

Q:国会議員になって初めてわかったこと、気づいたことはありますか?

国会議員の仕事は、国会議事堂での採決で投票行動に臨んだり、委員会審議で質問して採決するなど、一般的にそういうものをイメージすると思うんですけど、それ以外にも幅広い活動があるんです。ひとつひとつの行動が選挙区を代表した行動になります。その点が私にとってすごく新鮮というか、重要な意味があるなと思っています。選挙区を代表するために、地元をまわり、いろんな人の話を聞いて、それを届けるわけですが、そうした活動をしなければ現場のことはわからないですし、人と話して初めて状況がわかってきます。一生懸命やるかやらないかは本人の裁量に委ねられていますが、頑張ってやっているところですね。

Q:実際に国会の本会議場に座って気づいたことはありますか?

例えば、緊急動議を提出しますという時に「議長ー」と叫ぶじゃないですか。あれは議場で体験すると結構びっくりするんですよ。声の大きさとか長さに。こちらはビクッとなるわけです。慣習的なもので「ただ伝統を守っているだけ」と思うかもしれないですけど、ああやって大きな声で「議長ー」とやることによって、それまでざわざわしていた人たちが喋らなくなるんですね。すると緊急動議に集中するという要素があるんだなと知りました。

Q:山本議員は最前列に座っていますね。エールやヤジなどはよく聞こえるんですか?

全部聞こえます。どの議員の声かも大体判別がつきます。特に自民党議員は音の位置などから「あの人だな」とわかります。衆議院の自民党議員は300人以上いますから、例えば「よーし」と言うときの迫力はものすごいです。それに比べると、野党からの声は相対的に小さく聞こえますね。

Q:今回の特別国会でもいろんな法案が成立しました。山本議員は農水委員会に所属しましたが、思い入れのあるものはありましたか?

広島5区は農家が多いので、コメの問題がすごく取り沙汰された中で、「改正食糧法」の審議ではいろいろ感じる部分はありました。三次市で農家の皆さんと田植えをしましたが、JAとか農業関係の方々から農業の大変さを聞きました。農業が衰退すると水田のダム機能が失われたり、田畑が荒れると用水路にも影響が出たり、再耕には何年もかかったりするといった話です。それを踏まえての改正食糧法の審議には、価格の安定とか滞留在庫がないようにすることはものすごく重要だと実感しながら関わっていました。
「コメ作りはコミュニティなんだ」と地元の人たちが言っていたんです。確かにひとりでやるものじゃないし、周りの人とコミュニケーションを取りながら一体感が生まれるわけですよね。それによって地域が維持されていくという要素をすごく感じました。水源でもあるコメの供給源のエリアが荒廃していくと、街にも大きな影響が出てしまう。かといってコメはIT産業みたいにどっと儲かるわけではないわけです。となると、やはり守らなきゃいけない。国の基(もとい)である農業を守ることは重要だと、自分の選挙区に農家が多いからという意味じゃなく、本当に思いますね。

Q:全国的に酷暑日が続いていますが、暑さの農業への影響も気になりますね。

気温が上がることによってチャンスになる部分もあると思っています。例えば、神石高原町ではトマトのハウス栽培がすごく伸びているんです。これまでは北海道から各地に供給されていたようですが、暑いのでトマトの皮がふにゃふにゃになって、しばらく置いておくとダメになると。北海道から東京なら距離が近いですけど、大阪となると遠いじゃないですか。そこで大阪向けには、神石のトマトが距離が近くて拠点として機能する可能性があるわけです。需要がなくなるものがあるものしれませんが、新しい可能性が出てくるものもある。私は商売とはそういうことだと思っていて、環境が変化したときには「もうダメだ」と思いがちですけど、チャンスは絶対にあるので、それを狙いに行くべきです。
水産資源でも、例えば三原市でタコが獲れにくくなっていると聞きますが、気候の変化によって何か違うことが生まれる可能性もあるわけじゃないですか。そういうのを追求していかないといけないんです。世羅町の大麦はウイスキーの原料として付加価値がついてきています。
元気がなくなったときに、そこに喝を入れていくというか、「みんなで頑張ろう」と呼びかけていくのも国会議員の務めだと思いますし、一緒になってやっていきたいですね。

Q:初めての国会を終えた今、改めてどんな国会議員になっていきたいと考えますか?

我々は代議士とも呼ばれますが、すごく良い言葉だなと思うんです。代わりに議論する人じゃないですか。代わりに議論する信託を得ている。政策は無限にあるなか、「あなたを信じて投票します」ということじゃないですか。それはものすごく重いことなので、信託に応えるべく動かなきゃいけないなと思いますし、投票してくれた人たちと会って話して、何を求めているのかを聞かなきゃいけないし、こちらも自分はこういう考えですと言い続けなきゃいけないですね。
秘書も段々と増えてきましたし、後援会もようやく立ち上がってきました。やはり地域の声を吸い上げられる体制、組織の力をつけていくことはすごく大事です。私は山本深事務所という組織の経営者でもあります。ベンチャー企業を立ち上げるのと一緒だなという感覚がすごくあって、かつて事業経営でいろいろやっていたことを生かすことができています。地元の国会議員が駆け回らないとわからない情報はあります。とにかく地元を回って、皆さんの声を国に届けていきたいです。
 

RCCの単独インタビューに答える自民・山本 深衆院議員(広島5区)

衆議院農水委員会で質問する山本議員

山本議員「改正食糧法などの審議で地元の農家の声が参考になった」