最近、小銭を使う機会がめっきり減った―。そう感じる人も多いのではないでしょうか。財布の中身はカードと数枚の紙幣のみ。以前使っていたコインケースはクローゼットの奥へ。そんなキャッシュレス決済が当たり前になった昨今、私たちの生活に「硬貨の居場所」がなくなりつつあります。

とはいえ、完全に現金が消えたわけではありません。電波の届かない地下の店舗や、現金のみの個人店。あるいは、子どもにお使いを頼んだ際、お釣りでパンパンになった財布を見て、改めて「硬貨」の存在を思い出すこともあります。

ところが先日、この「増えすぎた小銭」を巡って、驚きの現実に直面しました。

街のATMでは「硬貨」が拒絶されている?

財布が重くて使いづらい。そう思い、小銭をまとめて入金しようとスーパー併設のATMに向かいましたが、そこには硬貨の投入口がありませんでした。

実は今、多くの銀行がコスト削減やメンテナンス負荷を理由に、店舗外ATMでの硬貨取り扱いを廃止しています。

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硬貨を預け入れるには、銀行の「有人店舗内」にあるATMまで足を運ぶ必要があります。

さらに銀行も、店舗の役割は、従来の「現金を扱う場所」から「ローンや資産運用の相談業務」へとシフト。物理的に硬貨を扱う「場所」を探すハードルが年々高くなっています。

「1円を50枚預けると280円の赤字」という逆転現象

ようやく店舗型ATMに辿り着いても、さらなる壁が立ちはだかりました。

「入金手数料」です。

例えば、ある地方銀行では、ATMでの硬貨入金は1日最大50枚までは無料になっています。しかし、それを超えると枚数に応じて手数料が発生します。51枚以上の入金には330円の手数料がかかるケースもあります。

仮に1円玉50枚と50円玉1枚の計100円を入金しようとすると、手元から230円が消えて赤字になってしまうという、笑えない逆転現象が起きているのです。

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ある70代の女性は、次のように時代の変化を嘆きます。

「どこでも両替ができなくなって、家にどんどん小銭が溜まっていくの。孫たちにあげるって言っても、今時の子は、お札がいいとか使うのが面倒だって喜んでくれないし……」

「硬貨を溜め込まない」ことが護身術に

かつては「チリも積もれば山となる」と喜ばれた小銭貯金も、今や「溜め込むと損をする」リスクになる可能性もあります。

レジ横の募金箱を活用する、あるいはセルフレジでこまめに硬貨を投入するなど、日々の生活の中で「硬貨を循環させる」意識を持つことが、これからの時代に必要な”護身術”と言えるかもしれません。

あなたの家の引き出しにも、居場所を失った硬貨が眠っていませんか?大変なことになる前に、「使い道」を検討する時期に来ているかもしれません。