あの事件から3年 ここがつらいよ “ウグイス嬢”

まもなく3年に1度の参議院議員選挙…。前回の参院選で思いがけなく注目された「車上運動員」。いわゆる “ウグイス嬢”という職業について今一度、確認しておきたいことがあります。

きょうのテーマは、イマシリは、『あの事件から3年 ここがつらいよ “ウグイス嬢”』。実際、どんなお仕事なんでしょうか?

6月22日公示・7月10日投開票となる参院選。前回は、選挙違反があったことで、「車上運動員」、いわゆる “ウグイス嬢” と呼ばれる人たちには、ある意味、不名誉な注目が集まってしまいました。みなさん、そもそも “ウグイス嬢” ってどんなイメージですか? およそ40年、選挙カーに乗っていた女性に “ウグイス嬢” の仕事の実態をうかがってきました。

長年、“ウグイス嬢” を務めた 小牧裕美さん
「『みなさん、候補の元気な声をお聞きください』っていうふうに言うんです。『おれか?』ってなるんですよ」

広島市に住む小牧裕美さん。同僚が町議会議員に立候補した縁で “ウグイス嬢” を務めるようになりました。6年前までおよそ40年にわたり国政選挙から町議会選挙までさまざまな候補者の選挙カーに乗ってきました。

この間、話し方の講師の資格などを取り、新たに “ウグイス嬢” になる人へのアドバイスもしてきたといいます。

小牧裕美さん
「手を振るのもただ振っているわけじゃないんですよ。せまい道だったら横にする方もあるけど、それだったら向こうから対向車が来たときに危ないないですよね。だから手の振り方も違うし、上品さも違いますよね。指を広げて振られると品がないですから」

 “ウグイス嬢” の仕事は、遊説するエリアの住所を覚えることや、ライバルとなるほかの候補者の名前を頭に入れることから始まるそうです。

小牧裕美さん
「こういうふうにすれ違いますよね、候補者同士が。そのときに、だから『山』って、ぱっと見えたとしたら、下の名前をちゃんと覚えていれば、『山下候補のご健闘をお祈りします』ってすぐ言えますよね。やっぱり候補はね、先に言ってほしいんですよ。負けたって感じになるので、こっちが先に言わないと」

― 礼儀正しいようで、要はマウントを取る?
「いや、勝ち負けじゃないですけど、 “ウグイス” はそれぐらいの気持ちでやっています」

3年前の参院選。政治とカネの問題が浮かびあがるきっかけになったのは、“ウグイス嬢” への法定額を超える報酬でした。

小牧さんは、河井夫妻の選挙を担当したことはありませんが、この点について聞いてみると…。

小牧裕美さん
「1万5000円って、すごく古いと思うんですよ。だから、時代に沿ったお金を出さないためにこんなことが起こるんですよ」

車上運動員の報酬は、それぞれの選挙管理委員会で決められていて、参議院選挙の場合は、1日の上限が1万5000円。これは、ちょうど30年前に改正されたものです。また、基準が「1日あたり」となっていて、超過勤務手当もありません。

小牧裕美さん
「だから、いつでももう取り合いっていうか。次、選挙になったときは頼むよって。だから、もう次がすぐ決まるんですよ」

 “ウグイス嬢” の成り手は、いまや決して豊富にいるわけではなく、選挙が終わった段階で多くの候補は次の予約をしているそうです。

“ウグイス嬢” の仕事がたいへんな理由は主に3つ。

“ウグイス嬢” のお仕事 かなりの重労働

▽ 1つには、かなりの重労働だということ。

小牧裕美さん
「みなさん、助手席でも後部座席でもいいですから乗ってみて、ずっと手を振って、こうして歌ってみてください。そりゃ、しんどいですよ。揺れていますし」

“ウグイス嬢” のお仕事 かなりの気遣い

▽ 1つには、あらゆる場面で四六時中、気をつかう職業だということ。場所ごとの適切なアナウンスの仕方から応援弁士へのもてなしまで…。そして、たとえば街の声に対しても…。

小牧裕美さん
「新人さんの場、よくやるんですけど、『赤いお洋服の方が手を振ってくださっています』とか言うんですよ。そしたら、あの人、何党なんだってわかるじゃないですか。だから絶対、それは言わないんです。『高いところからしっかり見えております。ありがとうございます』っていうのはいいんですけど、『赤いお洋服の方、手を振ってくださってありがとう』って言っちゃいけない」

休憩時間でも気を休めることはできません。

小牧裕美さん
「だから、1票取れるわけじゃないけど、1票減らすことはできるんですよ、わたしたちの仕事。運転手さんとチャラチャラじゃべっているわって評判が悪くなりますよね。ガムをかんでいるとか…」

“ウグイス嬢” のお仕事 かなりの拘束時間

▽ 最後は、期間限定の仕事なうえにかなりの拘束時間になるということ。

小牧裕美さん
「午前8時から午後8時まで12時間労働と思っていらっしゃるかもしれませんけれども朝立ちっていうのがあって、朝は6時過ぎ。始発からですね、駅前に立って、もう2時間働いていくわけですよ」

そんなにたいへんな “ウグイス嬢” を長年続けてこられたのには、こんな思いもあったそうです。

小牧裕美さん
「この仕事はすごくプラス思考になるよねっていうんです。候補者のいいところを見よう。嫌なところは見ないで、いいところを見て、探してあげようって。プラス思考なんですよ」

今回の選挙戦。小牧さんは1人の有権者として候補者から発せられる言葉が実行されるかどうか、長い目で見守りたいと話していました。

― そもそも選挙運動を手伝う人は「原則としてボランティア」とされていて、“ウグイス嬢” や事務員など、限られた人たちだけには報酬が支給されます。その支給額もこれだけの労働を担う “ウグイス嬢” で1日・1万5000円。 “ウグイス嬢” の環境について詳しい人の中には、こういった制度が、いわゆる「専業主婦」が多くいた時代に作られているもので、今の時代に合わなくなっているのではないかという人もいます。

― 候補者は、 “ウグイス嬢” に名前を連呼させるのではなく、自分の政策をしっかり訴えてほしいです。第26回参議院議員選挙は、来月10日投開票。期日前投票は23日からできます。

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