radiko:田口麻衣noみみコミ | RCCラジオ | 2022/05/08/日 17:00-17:15
出演者:劇団四季俳優 タング役のおひとり 前田更紗(まえだ・さらさ)さん
広島には18歳までいました。夏休みやお正月に帰省する祖父の家がお寺なので、年末は夜11時45分頃から鐘をついて年を越すというのが恒例でした。「新しい年が来たな」と思える場所です。
実は、私が習っていたクラシックバレエのスタジオも、劇団四季がよくツアー公演で使わせていただいている劇場で公演をするんですよ。劇団四季に入団して初めて、私にとっては初舞台でもある『裸の王様』でその劇場に入ったときに、「バレエ教室の生徒じゃなくて、劇団四季の人としてきたんだな」と。すごい感慨深いなって。毎回、劇場を訪れるたびにそれは感じていますね。
小さいときは舞台に立っていても、先生に言われるがままで、視野もそんなに広くなかったと思うんです。でも、劇団四季では俳優自身で舞台上の立ち位置をとる際に、客席の椅子を目安にしたりするんですね。(こどものときは)劇場を隅々までみることはなかったな、と思います。
この作品は本当に温かい作品で、すごく日常に近い。「こういうことある」「それ私も経験ある」って思える部分がたくさんあります。その共感できる部分が主人公・ベンだけではなく、どのキャラクターにもいっぱいあるんです。誰もが何かしら傷を持ってる、でも他者との触れ合いを通して前に進もう、と思うことで話が動いていく、そんな部分がとても温かくて。「小さい幸せってこんなすぐそばにある。だけど、普段感じてないな」って、何かに気づかせてもらえる温かい作品です。
劇中でも「これで何で動いてるのかわからない」って博士が言うぐらい、すごく見た目はシンプルなんですよね。その辺にありそうなもので作られてるんです。ロボットだから人間みたいに顔が感情で自由に動くわけじゃないんですけど、ちょっとした光の当たり方とか、私達がどう動かすかによって見え方がもう何万通りもあって、それも魅力の一つだと思うんです。見る人によって感じてもらえるタングの感情っていうのも一つの魅力かなと思います。
撮影:阿部章仁
そうですね。でも演出家の方から「お客様に委ねる部分を持っていい」とおっしゃっていただいたんです。自分たちの感情はもちろんあるんですけど、「演じる側があまりやりすぎなくても、お客さんはすごく沢山のものを受け取ってくれるから大丈夫だよ」って言われていたので、安心して演じています。
まず、タングは2人で操作しないといけないので、稽古開始前から2人で合わせて練習をしていました。本番前にもタングを動かす時間をいただいて、今日の感覚をチェックしています。
姿勢が中腰だったり、座ったままだったり…。極力私達は操作してる側の人間なので、タングがどう見えているか、をとても大事にしています。「この体勢、すごい格好してるな」って思うときもあるんですけど、タングが私達のことも助けてくれるので。
タング役を演じている俳優ペアは複数組いて、劇中、タングによって、やってることが違うんです。「このチームはこうしてる、このチームはこうしてる」というように、そのペアによって任されてる部分があるんですよ。そういう場面は何回ご覧いただいても楽しめるかなと思います。
あと、2幕後半のナンバー「地上の星雲」は、舞台上に出演者全員が上がるんです。お客様と一体の空気を共有できる瞬間があるので、ぜひそこを楽しみにしていただけたらと。
私の出身地でもある広島での公演。コロナ禍ではありますが、舞台と客席で一緒に作品を創っていけたらなって思います。この作品の温かさを、小さな幸せをたくさん感じてもらえたら嬉しいです。
撮影:阿部章仁
広島公演 5月24日(火)~27日(金)上野学園ホール
福山公演 5月31日(火)ふくやま芸術文化ホールリーデンローズ大ホール
料金:S席9,900円/A席6,600円/B席3,300円 ※3歳以上有料、2歳以下入場不可。
お問合せ:SHIKI ON-LINE TICKET
※IRAW掲載にあたり、放送から編集を加えている部分があります。
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