広島市に住む1人の小学生が書いた作文が先日、全国最高賞に当たる「文部科学大臣賞」を受賞しました。テーマは、ダウン症がある妹について。「和美のお姉ちゃんで良かったです」そう語る姉の越智友葵さんと妹の和美さん。2人の日常と、作文に込めた思いを取材しました。
越智家の朝は午前6時すぎから
広島市内の住宅街。午前6時すぎ、越智家の朝は始まります。
小学6年生の友葵さんは、起きてすぐに、1年生の和美さんの登校の準備を手伝います。
「早く食べて。あと10分しかない」
和美さんの髪をセットしながら、声をかける友葵さん。
先日、「障がい福祉ふれあい作文コンクール」で、全国最高賞にあたる「文部科学大臣賞」を受賞しました。

友葵さんの作文より
「私には心臓の病気と知的障害を抱えた、ダウン症の和美という妹がいます。今年から小学生になりました」
「かわいい妹に違いない」 ダウン症でも自分のペースで歩む和美さん
和美さんには、生まれつき心臓の持病があり、ダウン症による知的障害もあります。母・詠子さんは、和美さんが生まれた当時の心境をこう振り返ります。
「娘に対してかわいそう。元気に産んであげられなかったという罪悪感が正直強くて、申し訳ない気持ちが強かった」

1歳半で大きな手術を経験した和美さん。しかし、その後は、家族の愛に包まれ、すくすくと成長しました。昨年、小学校に入学。一歩ずつ、自分のペースで歩みを進めています。
母・詠子さん
「娘には違いないし、きょうだいにとってはかわいい妹に違いない。彼女なりに遅いけど、成長もしていっているのでそれでいいと思っている」
「障害を強みに変えて」父の言葉がきっかけに
友葵さん
「大好きな妹のために作文を書いて、表彰されるのはすごくうれしかったです」

友葵さんの作文には、和美さんがバス通学に励み、少しずつ自立していく姿がつづられています。
この作文を書くきっかけをくれたのは、父・尚さんでした。
父・尚さん
「妹がダウン症という障害を持っているので、それを強みに変えて、障がいについてしっかり考える機会を作ってほしい」
そんな父の願いは、友葵さんに伝わっています。
一人でバスに乗る妹 「自分よりすごい」と尊敬する姉
入学当初は、両親が交代で付き添っていたバス停までの道のりも、今は、友葵さんが付き添います。
近所の人に挨拶を交わしながら、バス停に向かう2人。バス停に着くと、友葵さんに見送られ、和美さんはここから1人でバスに乗り込みます。
友葵さんの作文より
「バスに乗り、降りる前には自分で降りますボタンを押していて、にこにこしていました。降りるときには、運転手さんに「ありがとう」と言っていました」
バスを降りた後も、30分ほどの道のりを1人で歩いて学校へ向かいます。

友葵さんの作文より
「通学路では、声をかけてくれたり、手を繋いで歩いてくれたりする上級生もいて、たくさんの人たちに見守られながら登校をしていました。成長している姿を見て、私は「すごいな」と思い、嬉しかったです」
そんな妹の姿を見て、友葵さんは言います。
「私はあんまり1人でバス乗ったことないから、妹の方がすごいなって思う」
喧嘩もするけれど、一番の「大切な支え」
夕方、学校から帰ってきた2人はすぐに着替えて、並んで宿題に取りかかります。
友葵さん「「り」も違う」
和美さん「えー」
宿題の日記に取り組む和美さん。友葵さんは自分の宿題をしながら、妹の宿題にも目を配ります。
母・詠子さんは、2人の関係を次のように語ります。
「さっきまで仲良く遊んでいたかと思えば、取っ組み合いの喧嘩したり…。でもごく普通のきょうだいで、妹の存在はすごくやっぱりかわいいみたいです」

友葵さんにとっても、和美さんの存在は、「大切な支え」になっています。
「学校で嫌なことがあった時、妹にこんなことがあったんよって話を聞いてもらう。意味はわかっていないかもしれないけど、聞いてくれる感じがある。その後、一緒に遊ぶと、嫌なことも全部パーッと忘れられる。勇気づけてくれる存在です。」
作文に込めた「伝えたかったこと」
友葵さんの作文を見て、笑顔でひらがなを読もうとする和美さん。
「以前は日本語を読めなかったのに、読めるようになっているし、文字も書けるようになっているからすごい。」と、友葵さんは話します。
今回、作文で妹のことを綴る中で、友葵さんには「伝えたいこと」がありました。それは、障がいがある人への「向き合い方」でした。

友葵さん
「障がいがあるからずっと付き添わないといけない、と思っている人がいるかもしれない。でも、一緒に練習をいっぱいして、1人で行かせたりすることも、本人の自信や成長につながるんだよ、ということを伝えたい」
作文は、こんな言葉で締めくくられています。
友葵さんの作文より
「妹がいるおかげで、学べることがたくさんあります。けんかをすることも、腹が立つこともありますが、私は笑顔がいっぱいの妹が大好きです。和美のお姉ちゃんで良かったです。これからもよろしくね」
支え合いながら成長していく2人の姉妹。友葵さんは、中学生になっても、和美さんの見送りを続けたいと考えています。












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