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9日の県知事選を前に、広島県の課題をお伝えする「広島の声」。きょうは「出産・子育て」を考えます。お産を取り扱う医療機関がない“分娩の空白地帯”が全国的に広がる中、母親と赤ちゃんを支えようと、東広島市で開業した助産院を取材しました。
◇ ◇ ◇
落ち着いたたたずまいの木造家屋。ことし1月に東広島市で開業した助産院です。院長で助産師の入江寿美代さんが、自宅の1階を改修して温かい空間にしました。

シャローム助産院 助産師 入江寿美代 院長
「よく皆さんが言ってくださるのが、おばあちゃん家に帰ってきたみたいとか、くつろげるとか」
シャローム助産院 助産師 入江寿美代 院長
「分娩室はこちらになります。畳の部屋です ここに布団を敷いて…」
分娩台はありません。ここでは産む人が最も楽だと感じる自由な体勢で、お産に臨みます。

シャローム助産院 助産師 入江寿美代 院長
「腰が痛ければクッションに寄りかかってさすったりとか。本来、昔から分娩台があったわけではないので、助産院では畳の上での出産となります」
1月の開業以来、扱った分娩は2件。家族立ち会いのもと、思い思いのお産ができたようです。

娘がシャローム助産院で出産した人
「好きなスタイルで、横になったまま産もうが何かにつかまって産もうが、とにかくお母さんが産みたい体勢で産めるのもすてきだなと思ったし、むっちゃよかったです、本当に」
シャローム助産院 助産師 入江寿美代 院長
「病室は2部屋。こちらは和室です」
「産後ケア」で使う宿泊できる個室もあります。出産後、母親が心身のケアや育児のサポートを受ける「産後ケア」。提供される食事は全て入江さんの手作りです。

開業からの利用者は、のべ45人となりました。
Oシャローム助産院 助産師 入江寿美代 院長
「この分娩のできる助産所を開設しようと思ったのは、東広島の分娩施設が2023年に2施設になったんですね」

実は、東広島市では分娩ができる医療機関が激減。2023年度には5か所ありましたが、短期間で閉院や分娩中止が相次ぎ、現在は2か所。医師の高齢化などが要因とみられます。
シャローム助産院 助産師 入江寿美代 院長
「お母さんたちから、分娩するところがない、2施設で自分たちが望むお産の選択肢がすごくせばまってしまったとのお話を聞いたので、それだったら助産所を開業しようと」

講師の公認心理師 大下幸恵さん
「『北風と太陽』という話のように『どうなん?どうなん?』と聞かれると私たちは心を閉ざす」
入江さんは地域の子育て家庭を訪問し、一緒に家事をしたり悩みを聞いたりする支援を始めます。共に子育て家庭に寄り添うのは、地域の“先輩母”たち。この日は、子育て家庭の悩みに耳を傾け、深く理解する方法を公認心理師から学びました。

受講した地域の人
「子どもに母乳をあげるとき、おむつをかえるとか、これどうしようって思ったときに気軽に聞ける人が近くにいたらすごく助かると思ったんですよね」
入江さんは、次の知事には「産後ケア」の利用促進や助産院の活用などを期待しています。

シャローム助産院 助産師 入江寿美代 院長
「子育て支援であったり少子化であったりとか、医療であったりとか、そういったところも充実できる県知事さんが現れるといいなと思っています」
助産師として母親たちを支え続ける入江さん。“安心して生み育てられる地域”の実現を望んでいます。

◇ ◇ ◇

こちらをご覧下さい。現在、広島県内23市町のうち、出産できる医療機関や助産院がない自治体は約半数の11の市町にのぼります。
分娩施設の減少や集約化が進んでいますが、出産・子育て環境の充実は少子化・人口流出対策、定住促進にもつながる重要な課題です。一層の取り組みを期待したいと思います。

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