いよいよ、12月1日のホーム最終戦で引退セレモニーを迎えるサンフレッチェ広島の 青山敏弘 選手(38)。21年のプロ生活で大切にしてきたのが、サポーターとの絆でした。
サンフレッチェ広島 青山敏弘 選手(10月21日 引退会見)
― 「これぞ青山敏弘」というナンバーワンプレーを挙げると?
「う~ん。“ファンサービス” かな(笑) ファン・サポーターのみなさんとのふれあいというのがあって初めて応援してもらえる。同じ目線で戦っていけたことが、ぼくの一番の成功の秘けつじゃないかなと思っています」
11月22日の広島県安芸高田市での練習。平日にもかかわらず200人を超えるサポーターが集まりました。視線の先にいるのが、青山敏弘、38歳。この日がサポーターに公開される最後の練習でした。
チームは残り2試合で首位・神戸と勝ち点3差の2位。ただ、ここにきてリーグ戦3連敗と9年ぶりの優勝へ向けて足踏みが続いています。
青山敏弘 選手
「苦しんでいるのは間違いないですし、だからこそ、それを乗り越える強さが必要で、そこが一番成長するタイミングだと思いますし。だからこそ優勝というのは、すばらしいものなので、ぜひ乗り越えてもらいたい。ぼくもいっしょにみんなと乗り越えたいと思っています」
10代のころから練習してきたこのグラウンドで「最後まで出し切る」と若手といっしょに激しい練習をこなす青山。その様子をサポーターは目に焼き付けます。中にはこんなサポーターも…
サンフレッチェユニホームを着た犬 マロン(4歳 メス)
飼い主 福間統子 さん
「(2012年に)スタジアムを作りたいっていう署名があったんですけど、そのときに青山選手が「(署名を)してください」と来て、そのときの印象がすごく強くて、プレーとかはあんまり詳しくないんですけど、それからずっと応援しています」
90分の全体練習が終わると1人、グラウンドに残った青山。ここからは “いつもの光景” ―。ボールを蹴ったり、コーチとコミュニケーションを取ったりすること50分間…。
そして、青山が “大切にしてきた時間” がスタートします。
サポーター
「高校生のときに友だちとバスを乗り継いで、ここまで来たんですよ(笑)」
青山敏弘 選手
「何年前?」
サポーター
「10年くらい(前)とか…」
一人ひとり会話をするのが、青山のファンサービス。そして、犬のマロンも…
マロンのユニホームにサインをする 青山敏弘 選手
飼い主 福間統子 さん
「ありがとうございます」
青山敏弘 選手
「どこから来たんですか?」
飼い主 福間統子 さん
「(マロンも)喜んでいます(笑)かどうかは…」
別のサポーター
「香川県から」
青山敏弘 選手
「ええっ。そうなんです。きょう?」
サポーター
「最終戦、来られないので」
青山敏弘 選手
「そう。よく来たね」
気がつけばサッカーの試合時間と同じ90分が経っていました。涙ぐむサポーターの姿も…
午後2時7分 “最後” のファンサービス終了
青山敏弘 選手
「ありがとうございました」
「きっと、これが(自分の)力になると思いますし、だからこそ一緒に喜べると思うので…。まず、やっぱり勝ちたい。ホームで最後、勝ってね、優勝の望みをつなげたい。勝ちたい…。それだけですね」
◇ ◇ ◇
小宅世人 アナウンサー
最後だから長く会話をしたのではなくて、このコミュニケーションこそが青山流っていうところなんです。昔は数えるほどだったというサポーターがこれだけ増えたのは「本当にクラブの成長と誇りを感じる」と本人も語っていました。
28日はアジア・チャンピオンズリーグ、フィリピンでも試合があってハードスケジュールではあるんですけど、ホーム最終戦の前の日曜日にのぞみをつないでの引退セレモニーということになっています。青山選手にも注目です。
青山高治 キャスター
なかなかできることではないですよね。
コメンテーター 木村雅俊 さん
(中国新聞社 編集委員室 特別委員)
ぼくもサッカー担当だったころ、お客さんいませんでしたもの、(安芸高田市)吉田に。「バスを乗り継いで来ました」って本当に遠いところだったんですけど、吉田にあれだけの人が集まってきて、最後にエールを、力を青山選手に送っているわけですから。それが1日、もうひとつ先の最終戦に向かっていくようにしてほしいです。
(RCC「イマナマ!」カーチカチ!テレビより)
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