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「家の近くは激戦区…」待機児童ゼロでも“保活”は不安…解消のカギは保育士経験のあるアドバイザー 最新保活事情

「保活」。働きながら子育てをするため、保育園に子どもを入れるための様々な活動のことです。

21日から新年度の入園に向けて申し込みが始まった広島市では、10年前、447人の待機児童がいました。しかし、この年をピークにだんだん減少し、ことし4月、初めてゼロになりました。広島市の今年の保活がどうなっているのか取材しました。

子育て世帯の多い広島市安佐南区で、0歳の子どもが保育園への入園を控えている母親たちに、「保活」について聞きました。

母親たちの声
「自分に合いつつ仕事に復帰しつつ最適なところを選ぶのがいいけど、(同僚に)『そういうところに限って空いてないからね』って言われて…」
「(広島市では)希望の所に入れようと思ったら難しかったりするのはあるのかなと。第一希望に入れることはなかなか、ないのかな」
「家の近くが激戦区って言われてるので…安佐南区は。っていうのが怖いですね」

「待機児童がゼロ」になった今年も、多くの母親が「希望する保育園に入れられるのか?」という不安を感じています。

10年前より保育園は入りやすく でも解消されない不安…

一方で、10年ほど前からこうした広場を運営するなどして多くの母親と会話をしてきたNPO法人の猫田さんは実感として、保育園には入りやすくなっていると感じています。

NPO法人e子育てセンター事務局長・保育士 猫田久美子さん
「(10年前は)待機になりましたって声もあったし、年度途中で入れましたって声はまず聞かない印象だったんですけど、最近は『年度途中でも入れました』『来月から保育園です』って声を聞くようになりました。」

実際に、10年前と比べると保育施設の定員は大幅に増えました。県や広島市は県庁や商業施設といった様々な場所に保育園などを設置したり、保育士の確保に力を入れたりと深刻な待機児童の解消に取り組んできたからです。

しかし…。

NPO法人e子育てセンター事務局長・保育士 猫田久美子さん
「お母さんたちの保活に対する不安は全然変わらない印象があります。まず何をしていいか分からない。入れるかどうか不安。」

「保活」に対する不安は解消できていないのです。

初めての保活 保育士経験者のアドバイザーが丁寧に

栗栖千尋記者
「保育園を探す助けになるのが保育サービスアドバイザーです。こちらにいらっしゃいます」

広島市内の区役所では、保育士の経験がある人が保活をサポートするために相談を受け付けています。

この日、相談に来ていた女性は、初めての保活を前に保育園の見学や申し込みについて聞きにきました。

相談に来た女性
「どういう風に入れたらいいかなというのが全然分かっていなかったので、そこら辺の流れが聞けて良かったなって思います」

ライフスタイルを聞いて、具体的な園の名前を提案することもあります。

保育サービスアドバイザー 大門句三江さん
「できるだけ多くの保育園を入所希望園として選択肢に上げていただくことで(入園の)可能性がひろがりますので通勤途中とか職場近くの保育園を紹介しています」

ただ、入園がゴールではありません。大門さんは気になる保育園には必ず自分で見学に行くよう伝えています。

保育サービスアドバイザー 大門句三江さん
「保護者は先生との信頼関係も大事ですよね。まず保育園の見学をしていただきながら希望の順位を保護者、家族のなかで決められることになるかなと思います」

「ハコ」を増やすのではなく選択肢を増やす

広島市は、アドバイザーによるアドバイスが、保活のサポートだけでなく、待機児童解消のカギにもなったとみています。

いま、広島市では入園希望児童数に対する保育園の定員が1割ほど空きがあります。少子化が進み子どもの数が年々減っているなかで、保育園をこれ以上増やすのは得策とは言えません。そのため、「ハコ」を増やすのではなく利用者の選択肢を増やすことが待機児童解消のカギになっています。

だんだん保育園にもゆとりが出てきているのに、なぜ、保活に対する根強い不安が残っているんでしょうか?

「待機児童ゼロ」でも実際は、希望する保育園に入れなくてやむをえず保育料の高い認可外保育園に預けたり、きょうだいが別の保育園に通うことになってしまった人がいることも事実です。さらに、この10年で子育てを巡る環境も大きく変わっています。

10年前は、男性の育休取得率は2、3%でした。これが、23年度は約30%に。また、テレワークが普及するなど職場環境も大きく変わりました。

変化が激しい分、数年前の情報や体験があてにならないことも多いため、そこに不安を感じる母親が多いのではないかということです。

保育サービスアドバイザーと同じような制度は、広島市以外の市町にもあるようなので、そういった制度を頼ることや、子育てに関わる家族で情報を集めたり、相談したりして、みんなで保活に取り組むことが大事なのではないでしょうか。

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