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元大学助教はなぜ女性浴場にカメラを仕掛けたのか「盗撮すれば人生も終わらせられる」一方で “証拠隠滅” も 裁判で明かされたこと

女子浴場にカメラを設置し盗撮した罪などに問われた元・大学助教の男に広島地裁呉支部は25日、懲役2年・執行猶予5年の判決(求刑懲役2年)を言い渡しました。

児童買春・児童ポルノ法違反や性的姿態等撮影などの罪に問われたのは、事件当時・大学助教の男(41)です。

判決によりますと、男は23年、当時理事を務めていた団体の研修中に訪れた、広島県江田島市の宿泊施設で、女性浴場に侵入し、脱衣所のロッカーに設置した携帯電話で撮影、さらに広島市内の宿泊施設でも女性浴場にカメラを設置し女性の体を撮影するなどしました。

これまでの裁判で、男は動機について「盗撮をすれば自分の人生を終わらせられると思った」と話しました。

「団体の活動に対して絶望」男が話した盗撮の動機とは

検察側や弁護側によると、男が加入していたのは、次世代のリーダー育成を目的とした団体の活動でした。

男は高校1年生のころから、この団体に所属。ライフワークとして活動していました。事件当時、協会では「理事」を務めていて、「指導者」の立場で研修に参加していました。

研修には、小学生から大学生など幅広い年代が参加していて、男は、捜査段階で、浴場で盗撮をすれば小中学生の体が写ることは分かっていたと供述していたといいます。

8月28日の公判で行われた被告人質問。男は犯行の動機について、「盗撮をすれば、協会の活動も、自分の人生も終わらせられると思った」などと話しました。

弁護側:特定の女性を盗撮しようとした?
男:いいえ
弁護側:小さい女の子に性的な関心は?
男:いいえ
弁護側:盗撮データはどうするつもりだった?
男:どうするつもりもなかった
弁護側:犯行の原因は?
男:協会の活動に「絶望」する中で「自暴自棄」になった
弁護側:自暴自棄でなぜ盗撮を?
男:盗撮でなくても良かったが、協会の活動への絶望から逃れるために
弁護側:違法行為でなぜ盗撮?
男:自暴自棄のとき、知人から盗撮のカメラのことを聞いた。小型の中に技術があって盗撮カメラにも興味を持った。盗撮をすれば、協会の活動も自分の人生も終わらせられると思った。

「人生を終わらせられる」と語る一方で、証拠を隠滅

裁判では、男が証拠隠滅を図っていたことが明らかになりました。

検察によりますと、ある女子学生が浴場でカメラを見つけ、男の元にやって来たといいます。男は「後で警備員に渡そう」とカメラを預かりました。しかし、その後、捨てていたことが、捜査で判明しました。

弁護側:カメラか何かを投げ捨てて、証拠隠滅を図ったのではなかったか?
男:図りました
弁護側:(バレても良いのなら)する必要はあった?
男:なかったと思う。実際は、その場でパニックになってバレたくないと思ってしまった。衝動的に捨てた。しかし、それ以上の証拠は捨てなかった。

検察側は「協会が主催の研修中の犯行で、指導者の立場を悪用した極めて悪質な犯行」として、懲役2年を求刑しました。

一方、弁護側は「犯行を認め、反省し、社会的制裁を受けている」などとして、執行猶予付きの判決を求めました。

そして迎えた判決…

広島地裁呉支部

そして9月25日、判決の日を迎えました。

男はカッターシャツに長ズボンで法廷に現れました。座っているときは、両手を軽くにぎり、ひざの上に置いていました。

広島地裁呉支部の 島崎航 裁判官は、「指導者の立場を悪用したもので、常習性も認められる」と指摘しました。

一方、「大学教員の職を失うなど、一定の社会的制裁を受けている」などとして、男に、懲役2年・執行猶予5年を言い渡しました。

最後に島崎裁判官は男に、「被害者に与えた影響もですし、(被害者は)信頼していた人に裏切られたという思いも強いと思う。身を慎んで生活して、更生してもらいたい」と説諭しました。

弁護側は、控訴しない方針ということです。

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