2023年の夏はとにかく暑かった。広島市では9月4日、体温超えの37℃台を観測。9月としては、統計が残る過去144年間で初めてのことです。
さらに県北・庄原市でも8月、観測史上初めての猛暑日となるなど、各地で記録的な暑さとなりました。
一方、何かと近くによって来る、ひときわ不快な “アレ” も夏バテに!?
街の人たち
「外に出ていたが刺されていない。いつもよりは刺されていない感じがして」
「庭に出るので刺された。2022年よりあまり多くないような気がする」
そう、『蚊』です。「ことしは蚊に刺されなかった」という声も聞かれる中、はたして蚊の数は減ったのでしょうか? 猛暑が蚊の活動にどう影響したのか。研究のため、実際に蚊を飼育している広島・廿日市市のフマキラーを取材しました。
水の中で泳ぐ無数のボウフラ…。殺虫・防虫剤メーカーのフマキラー 広島工場です。
人を襲う蚊は2種類。家の中にもよく出没する「アカイエカ」と、朝や夕方、外に多くいる「ヒトスジシマカ」です。
活動時間帯は蚊の種類によって異なりますが、気温と密接に関係しています。
フマキラー 基礎科学研究部 佐々木智基 部長代理
「30℃~35℃を超えてから、刺す蚊はガクッと減る。蚊は動けなくなる」
広島市中心部での最高気温を表したグラフです。2023年は平年より気温が高く、8月中、30℃を下回ったのはわずか1日だけ。一方、35℃以上を記録したのは、2022年より9日多い、12日間でした。
蚊は、暑すぎると活動が鈍くなり、日陰や水辺でヒトが来るのをジッと待っているそうです。
フマキラー 基礎科学研究部 佐々木智基 部長代理
「今、日陰になっている。蚊にとって幸せ。水たまりがあれば、わんさか発生する」
記者も、蚊がよく出没する場所に案内してもらいました。
日陰で待機していると…
宮本学知 記者
「もう刺されています。来て1分も経っていない」
ヒトスジシマカが腕にとまり、動かなくなりました。さらに…
宮本学知 記者
「足元、すごいです」
フマキラー 基礎科学研究部 佐々木智基 部長代理
「服が黒いから。足のにおいも相互的に関係ある」
見ている方もなんだかかゆくなってきます。佐々木さんによると、蚊はヒトの熱や吐く息を感知して飛んできます。熱をよく吸収する黒っぽい服を着ると温度が高くなるため、寄ってきやすいそうです。さらに足の裏などにある常在菌や汗のにおいにも反応するそうです。
ものの3分で10匹以上の蚊に刺されました。猛暑で、蚊の数自体は例年と比べてどうだったのでしょうか。
フマキラー 基礎科学研究部 佐々木智基 部長代理
「よくわからないという表現が正しい。われわれも研究はしているが、体感的には変わっていない。人も暑いと日陰に行く。日陰に行くと刺されるが、そもそも外に出る機会が減ったのではと考えている」
2023年夏、蚊が少なく感じたのは、▽猛暑で蚊の活動が鈍って、人と出会う機会が減ったこと、▽人間も暑すぎて外出を控えたことが原因のようです。蚊自体の数が変化したかどうかは「わからない」ということです。猛暑で夏バテしたのは、人間だけではなかったようです。
フマキラーの佐々木さんによりますと、ヒトスジシマカは水辺をよく好みます。例えば、お弁当の空の容器にちょっとした水がたまっていて、そこからボウフラが繁殖したケースもあるそうです。植物を育てるプランターも気をつけてくださいとのことでした。
これからの季節ですが、「気温が30℃そこそこになると、蚊がよく動く。当然、刺される機会が増えてくるだろう」とのことです。秋になったと油断せず、気をつけてください。さらに、ちょっとおもしろいんですが、「もうじき蚊の幼虫を食べる蚊『カクイカ』(人は刺さない)が出てくるため、11月になると、刺されるリスクがほぼなくなるだろう」ということです。
来週は、秋の彼岸。お墓参りに行くと花立にも蚊は多いそうです。気をつけましょう。
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