50年前の甲子園で広島商業を率い全国制覇を果たした迫田穆成監督は、「メモ魔」である。大きな紙を広げては、ポジション図に選手の名前を書き込んでいく。もちろん、打順も添える。
毎日である。
「面白いもので、毎日書き込むと、どんどんポジションや打順が変わっていきます。そうやって書面にすると、選手の変化やこちらの求めることがはっきりしてきます」
迫田監督は、毎日のメモを保管している。ファイルを見ると、頻繁に選手のポジションは変わり、打順も更新されていく。
選手の長所を探す。生かし方を考える。そのバリエーションの試行錯誤が、メモの数なのである。
昨年、入院を余儀なくされたこともあったが、病床でも、この「日課」は続いていた。選手を見ることはできない。それでも、身長・体重・出身チームなどの情報の断片を集め、チーム編成を頭の中で行っていた。
これが、そのままチーム作りのベースにはならない。しかし、あらかじめ「予習」をしているからこそ、迫田は、復帰後も選手の把握が早かった。
勤務表や担務表をAIで・・・
そんな時代である。しかし、事務作業の中にも「馳せる思い」と「想像力」がある限り、意義は深いのである。
83歳、高校野球の名監督は「メモの魔力」を、無意識に活用している。
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