G7広島サミットには、さまざまな国や国際機関が参加しました。その首脳たちの移動手段は**「政府専用機」**です。広島でこれだけ多くの国の政府専用機が一度に見られるのは非常に珍しいということで、1機1機、徹底的に深掘りしてみました。
今回、解説を依頼したのは、G7広島サミットのVIP機公式記録カメラマンを務めた航空写真家・チャーリィ古庄 さん。旅客機専門のカメラマンとして世界を舞台に活躍し、これまでに世界500以上の空港を訪れ、200を超える航空会社に搭乗した経験があります。「世界で最も多くの航空会社に搭乗した人物」として、ギネス記録にも認定されています。
それでは今回、広島にやってきた各国の政府専用機について、世界の空を知り尽くしたチャーリィ古庄さんの監修による解説です。
【★ 1つ(レア度・低)~5つ(レア度・高)】
【イタリア】★★★★ エアバスA319CJ
広島にもよく来ているエアバスA320という世界でも売れ筋の飛行機だが、その飛行機をちょっと胴体を短くして長距離を飛べるようにしている。機内はプライベートジェット仕様。同機はこれまでに何度かイタリア首相特別機として日本に飛来経験はあるが、コーポレートジェットという機種自体が世界でそんなにないので★4つ。
【日本】★★ ボーイング777-300ER
千歳基地が拠点の機体で広島空港にやってくるのは珍しいが、首相が海外に飛ぶ際にはほぼ毎回使用されるため、タイミングがさえあえば羽田空港で見ることができる。また、千歳空港をはじめ飛行訓練で国内空港に飛ぶこともあり、去年、広島空港に離着陸訓練に来た実績あり。
【カナダ】★★★★★ CC-150ポラリス
型式はカナダ空軍独自の呼称で、民間機の型式ではエアバスA310と呼ばれるもの。エアバスA310はもともと製造機数が少なく、日本の航空会社も採用しなかったため、レア機。かなり年代物の機体で、30年以上が経ち、世界中で退役が進んでいる。旅客機では、わたしが知る限りなく、非常に貴重。もう見られるのは最初で最後と言っていいのでは。
【イギリス】★★★ エアバスA321Neo
A312Neoは日本だとANAやジェットスターというLCCが使用しているので型式的には珍しくないが、デザインが非常に秀逸。ほかの政府は、軍が政府専用機の運航をしているが、イギリスの政府専用機は、民間のチャーター会社タイタンが運航している。そういう意味ではレア。
【ブラジル】★★★ エアバスA319CJ
サミット前週に先遣隊としてブラジル空軍のエアバスA330型機が飛来したが、大統領を乗せてやってきた本務機は、こちらの機体。ブラジルの国旗をイメージした黄色と深緑のラインを入れていた。G20大阪サミットでも飛来した実績があり、★3つ。
**【ブラジル予備機】**★★ エアバスA330-200
サミットが始まる前の5月14・15日にも広島空港に飛来した実績があり、一度、ブラジルへ戻って大統領搭乗機の予備機として中部空港に飛来した。22日にブラジル大統領が帰路につく際には再び広島空港にやってきた。
フランスの政府専用機は、マクロン大統領の来日に加えて、ウクライナのゼレンスキー大統領の広島入りにも使われました。2つの機体の違いについて解説してもらいました。
【フランス】★★ エアバスA330-200
ホワイトボディにトリコロールを尾翼に描いたきれいな機体。フランスに製造工場があるエアバスなのでメイドイン・フランスの飛行機。政府専用機はだいたい何機もあるが、本務機はマクロン大統領が乗ってきた、こちらのカラーリングの機体。どちらかというと予備機扱いなのが、ウクライナのゼレンスキー大統領が乗ってきたカラーリングの機体。もちろん入れ替えることもある。
【フランス】★★★ エアバスA330-200
ウクライナのゼレンスキー大統領が乗ってきた機体。フランス空軍のエアバスA330型機が使用され、フランス大統領搭乗機と同型機ではあるが、カラーリングが少々異なる。サウジアラビアのジッダから広島空港に到着し、帰路はポーランドのジェシュフ(現在のウクライナの玄関口)へ北回りで飛行した。日本にも飛来実績があるため、★3つ。
【フランス予備機】★★ ファルコン7X
帰路のみ広島空港に飛来した機体でフランスのダッソー社が製造しているプライベートジェット。これまでも羽田や関西・中部などに飛来実績あり。ただし、機体が小ぶりで撮影しづらい面はある。
【オーストラリア】★★★★ KC-30A
オーストラリア空軍名称KC-30Aと呼ばれる機体で、旅客機で使用されるエアバスA330を軍の輸送/空中給油機にしたモデル。そのため、地味なグレーの軍用機塗装となっている。同型機は小牧基地に飛来した実績があるが、VIP機使用となっているこの機は2019年導入で、日本は羽田に数回しか飛来した実績がない。
【ベトナム】★ ボーイング787
ベトナム航空の定期便で使用されているボーイング787型機が飛来。カラーリングは深緑でベトナムの蓮の葉を金色で尾翼に描いた美しいデザイン。広島空港では見慣れないペイントだが、成田や関西空港では毎日のように見られるため、★は1つ。
ここからは、星5つの激レア機体が再び登場です。
【韓国】★★★★★ ボーイング747-8
去年まで製造されていた、いわゆるジャンボ機ボーイング747の最終モデルB747-8という型式。同型機の広島空港への飛来は初めて。同機は以前、大韓航空で使用されていたもので、最近、韓国政府専用機に改修された。中東の王族はけっこう購入しているが、旅客型としてはそれほど売れている機体ではない。韓国の政府専用機の日本への飛来はまだ2度目なので新鮮味がある。
【インドネシア】★★★ ボーイング737-BBJ2
ベストセラーの旅客機ボーイング737をプライベートジェット仕様にした機体でB737-BBJ2という型式。 インドネシアの特別機として何度も日本に飛来実績はあるが、去年、インドネシア国旗の赤白にペイントが塗り替えられた。
【インド】★★★★★ ボーイング777-300ER
インド政府の特別機といえば、インドの航空会社エアインディアの機体が長らく使用されていたが、2020年より元エアインディアで使用されていたボーイング777型機を政府専用機として導入。去年、羽田空港に飛来した実績はあるが、なかなか見るチャンスは少なく、わたしも初めて撮影できた。近くで見ると、窓枠に1個1個、タージ・マハルだと思うが、全部ペイントが入っている。よく見ると凝った塗装をしているなと興味深い。
【クック諸島】★ グローバル7500
帰路のみ広島空港に飛来。小さいプライベートジェットで大リーグの 大谷翔平 選手の来日時や岸田総理のウクライナ電撃訪問などで乗っていた機体と同型機。羽田でも毎日のように見ることができる。
アメリカの政府専用機は、広島県に隣接する山口県岩国市のアメリカ軍岩国基地に飛来。その後、ヘリコプターで広島市内の広島へリポートに移動しました。
【アメリカ】★★ VC-25
「エアフォースワン」とは、大統領搭乗時に無線で管制と通信する際に使用するコールサインで機体の名称ではない。日本に来るときはアメリカ軍名称VC-25型機。ジャンボ機と呼ばれていたボーイング747の初期型。1990年から使用されているベテランの機体で、別型式の機体に大統領が乗れば、それがエアフォースワンと呼ばれる。何度も日本に飛来実績があり、2016年にも岩国に来たことがあり、レア度は★2つ。しかし、飛行機ファンの間での人気は絶大。
【アメリカ】★★★ VH-3Dシーキング
エアフォースワン同様、「マリーンワン」は大統領搭乗時のみ使用されるコールサイン。運用はアメリカ海兵隊。型式はVH-3DシーキングとVH-60Nプレジデントホークの2機種が使用されているが、今回、広島に来たのはVH-3D。G7伊勢志摩サミットのあと、オバマ前大統領が広島に来た際に使用された機体はVH-60Nだった。
アメリカ
アメリカ
アメリカ
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イギリス
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イタリア
イタリア
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インド
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インドネシア
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オーストラリア
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カナダ
カナダ
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ドイツ
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ブラジル
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フランス
フランス
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フランス(ゼレンスキー大統領搭乗機)
フランス(ゼレンスキー大統領搭乗機)
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ベトナム
ベトナム
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韓国
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